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巫女の異世界転移録  作者: 江蓮 蒼月
第一部 RPG攻略序盤、物語が現実に
16/20

城での報告

 城門の前でテーサと待ち合わせる。どうやら先に着いていたようで、テーサが待っていた。

「ねえ、何があったの?」

魔物(モンスター)の群れを発見した」

 ……ん? いや、テーサ強いんだし、討伐してくればよかったんじゃないの?

「さすがにテーサに任せると土地が半壊するからな。それより、軍勢ってどのくらいなんだ?」

「少なくとも大隊が三つ分くらいか?」

「知性があるやつが絡んでるだろーな……」

 この世界では知性のある魔物、有識魔と、生きていくための必要最低限の欲しかない魔物、野生魔の二種類がいる。今回のように軍勢を率いているものは有識魔である場合が多い。だって、指揮してるってことだもんね。つまりは軍師的存在ってこと。

 ってか、大隊が三つってどれくらいの規模よ?


「王に話がある」

 通された玉座の間で、テーサは臆さずそう言った。それはいいけど敬語を使わないのは無礼ではないのだろうか。

「ああ、竜神殿の御令孫(ごれいそん)の__テーサ殿か。(こっち)に出てきているとは珍しい。それで、話とは?」

 テーサって竜神の孫息子なの!? 初耳なんだけど! その前に、竜神って何? 誰? 竜の神様?

「ゴブリンの群れを発見した。有識魔が絡んでいると思われる。すぐに軍事準備を頼みたい」

「了解した。……だが、テーサ殿が見つけた時点で対処できなかったのか? それに、その者も見覚えが……?」

「……冒険者ギルドでは多少有名な身ですので。蛋白石(オパール)とお呼びください」

 あ、フォゼは敬語使うんだ。しかも、本名は名乗らないんだ。それに関しては人のこと言えないんだけどね。こっちの世界では(いのる)って名乗ってないもん。

「先程テーサも申し上げたように有識魔が関わっているため、迂闊に手出しができません。恐らく、精鋭の中規模戦闘(スモールレイド)以上の戦力は必要かと」

「なるほど、有識魔が何体いるか不明だということか。蛋白石(オパール)、詳細な情報、感謝する」

 あれ? フォゼってずっとわたしと一緒にいなかったっけ? 現場は見てないはずなんだけど。


 小会議室に通されて、わたしとフォゼ、テーサ、王様、そして緊急招集がかけられた軍団長は円形の机を囲って座った。

「名乗りの済んでいない者たちもいるし、呼び名は必須だろう。簡易的にはなるが、自己紹介をしよう。私はこの帝国を治める帝王ディーゼルだ。普段通り王様と呼んでくれればいい。帝王なんてガラじゃないのでな」

「あー、俺から言っとくか? 竜人族の王、現竜神の孫のテーサだ。同じくいつも通りテーサって呼んでくれ」

「冒険者十二秀宝石(ドゥーズリトス)蛋白石(オパール)冒険者階級(ランク)通り蛋白石(オパール)と呼んでいただきたいです」

「あの、そこのお嬢さんと私はどっちが(さき)ですかね?」

 なるほど、身分順で挨拶してるのか。フォゼとテーサは幼馴染になれただけあって身分も近いってことなのかな。

「実力だけでいえば彼女だろーけど、身分的にはおっさんじゃないか?」

「テーサ様、おっさん呼びはやめていただきたい。私は帝国軍軍団長ヴァルハザク。呼び方は私とわかればおっさん以外なら何でもいいです。以後、お見知りおきを」

「ほら、レサルも。おじさんの挨拶終わったから」

「やっぱり軍団長かヴァルハザクの二択で呼んでください」

 ……今のはテーサが悪いね、うん。

「わたしは冒険者紅水晶(ローズクォーツ)のレサルといいます。レサルって呼んでください」


「なるほど、ワディ高原に向かっているのか」

 フォゼとテーサに状況を聞いた王様が頷く。

 それはともかく、どこよそこ。

 えっと、地図を見せてもらったけど、この城の東のことだってことしかわからないけど……。東の方にある森の奥に潜んで動き出したゴブリン軍が、城の方__森と城の間がワディ高原っぽい__に向かって進軍中らしいことだけは把握できた。

 え、待って? まずいんじゃないの……? ランウェールのときと同じだ。一般の人たちがいるところが狙われてるんだ……!


「あ、そーだ。こいつを指揮官に置いてもいいか? 俺がやってもいいにはいいけど、めんど……適材適所ってやつだ」

 王様にタメ口使う理由はわかったけど、軍団長もいるんだから立ててあげなよ。そして今、めんどくさいって言おうとしてなかった? めんどくさいことをフォゼに押し付けようとしてない? てか、軍に指揮官くらい普通にいるでしょ。その人に任せればいいんじゃないの?

「テーサ殿と親しい者なのだろう? 視覚共有ができるという認識で間違っていないだろうか」

「ああ。こいつとは幼馴染だからな。視覚共有くらいできる。それに__巨大スライムの討伐は知ってるだろ? あの時の司令官は他でもない、蛋白石(オパール)だし」

 実績が最近過ぎない? でも、たしかに彼の指示は的確だった。フォゼは状況把握能力が高い。ワイバーンのときも、スライムのときも、__クラーケンのときも。

「そうですか。指揮官長には私から話を通しておきます」

 その言葉とともに軍団長が部屋を出ていったのを合図に、会議が終わった。普通は身分が高い人から退出するものだと思うけど、緊急事態だし仕方ないよね。

 わたしたちは軍と合流すべく、外に出た。


 ついに軍が動き始めた……らしい。テーサが言ってたけど、見えないはずだよねぇ。フォゼはテーサとの視覚共有で見えてたらしいけど、テーサ自身がここにいる今はどうやって見てるの?

「視認できる有識魔は何体だ? ……ゴブリンってんだから、人型の可能性もあるか。せめて異形型だったら楽なんだが」

「……多分人型だろ。確認してみる、竜視瞳(ドラゴンウォッチ)

 テーサの右目が、黄色に輝く。

「え、なにこれ、綺麗」

「竜神特権の遠視能力だ。こいつはまだ成人してないから、その能力は半分しか発揮できないが」

 竜神特権って何!? かっこいい!

「今確認できる有識魔は六体。そのうち二体が人型、四体が異形型だ」

「人型か……。厄介ですね」

 軍団長と最終打ち合わせの最中だったため、彼もその言葉を漏らす。

 人型の方を警戒してることから考えてもこっちのほうが強いんだろうけど、逆に人型じゃないやつってどんな感じなんだろ。異形型、だっけ? 獣とか? 獣って本能で行動すると思うんだけどなぁ。

「異形型なら帝国軍に任せられるだろ。俺たちは人型と()る。指揮官はどっちかわかるか? そっちから仕掛ける。指示だけ届けばいいんだろ? 遠隔発声使う」

「こっちの指揮官さんは攻撃的だな。標的は最奥にいる。随分と保守的なやつだ。もう一体は軍の中央くらいかな」

 話を聞く限り、だいぶ切羽詰まった状況のはずなのに、テーサはいつも通りフォゼをからかう。なんか、安心した。なんとなく大丈夫だって思えた。

 クラーケン戦で受けたショックは忘れられない。あの時のようには決してしない。その思いを胸に、わたしたちは戦場になるワディ高原を見つめた。空が怪しく曇っていた。

 今回はテーサの正体がわかりました! レサルは竜人だと思っていたようですが、実際は竜神(竜人の上位種族)です。

 ちなみに大隊とは、500〜600人(今回の場合は体)の軍勢のことです。1500〜1800体のゴブリンがいるということですね。


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