異世界の街での出会い
ぐううううぅぅぅーーーー
「あ。お腹なった。」
朝起きるのが遅かったため、もうお昼過ぎになっていた。マップを見ながら異世界の露店で何か食べてみることにした。
街マップに載っているのは、大きな噴水を中心に、ずらーっと円に並ぶ露店街。衣類、雑貨、食材を売っているお店がが集まっている通りと、武器、防具、魔法道具を扱っているお店が並ぶ通り、冒険者ギルド、商業ギルド、銀行、宿など施設が集まっている通り、飲食店、スナック、娯楽店が並ぶ通り、この4つの通りがメインになって噴水広場に繋がっていた。それ以外が街で暮らしている人たちの住宅かな。
街マップに載っている場所の他にも、富裕層地区、平民地区、多種属混合地区、領主様のいる豪邸もあるみたい。かなり大きい都市だ。
街はとても賑わっていた。人は多いし馬車まで走ってる。そうだ!アイテムボックスにある馬車使えるかも。遠出するとき使ってみよー♪冒険者ギルドも気になる。覗いてみたいな♪衣類、雑貨のお店は外せない!
「おおー!串焼きがある。」
「クレープみたいなのもある!」
「丼ものまであるー」
「ホットドックに似たものまでー」
「可愛いお嬢さんに、はいっオマケしとくよー」
「わぁ。おじさんありがと☆」
異世界は気のいい人たちばかりだった。
『比奈様、
交渉術、街マップの使用により、熟練度がアップします。街娘の能力が少し向上いたしました。』
熟練度1→3
うわっ。簡単に上がるんだね。
気がつくと食べ物で両手がいっぱいになっていた。みんな噴水の周りに座ったり、ベンチで食べていたりしていた。噴水の所へ座ってみた。
もぐもぐもぐもぐーーー
「おおぉーーーこれが異世界の味!」
どれも美味しかった!しかも1つ200~500ゴールドと良心的な価格☆
露店のおじさんの話によると、この大都市の名は『エルハドーレム』というらしい。近くにダンジョンが複数あって、冒険者で賑わっている。
空を見上げると、日本と同じような青い空に白い雲が流れていた。鳥の声も聞こえる。ポカポカして眠くなってくる。平和なんだねー異世界。太陽は2つあるんだー。もふもふしっぽがある人やケモノ耳がある人もいるんだね。可愛いー☆
あれ?頭から悪魔みたいな黒い角が生えている人がいるー。すごい存在感ー・・。どす黒いオーラまで見える。怖っ
その瞬間、殺気を感じアラームがけたたましく鳴り出した。
「えっ?えっ??」
目の前を黒い影が覆い、上を見上げると今見ていた黒い角の人が一瞬で距離を詰めて立っていて、私を見下ろしていた。
『貴様、何者だ。オレの正体に気づいているな』
頭に直接声が響いてきた。じっと見つめてしまう。
鑑定
エドモンド デュ シュナイダー ※※※歳
レベル※※※※※
職業:魔王
スキル※※※※
うわー魔王様。私死んだかも・・。危険察知が反応しても相手が悪かった。そして視界が反転した。
比奈様ー比奈様ーーー・・
誰かが呼んでる。重い瞼を持ち上げる。
「・・生きてる?・・それとも死後の世界?てっ転生!?」
キョロキョロ周りを見ると、黒と灰色の生活感のない部屋のキングサイズのベッド上に寝かされていた。
「あーちゃん!私どうなったの??死んじゃったの?」
『比奈様。安心してください。生きておられます。驚きすぎて気絶されただけでございます。比奈様はお強いので死ぬことはないと思います。』
えっ?私、そんなに強いの?冒険者や魔王様のいるような異世界でも??さっき会った魔王様別格だよ?
ベッドから降りて窓の外を見てみる。一面真っ黒の森が広がっていた。ベランダに出てみると、どうやら大きなお城の更に高い塔の上にいるらしい。空は紫色をしていてどんよりし、空気は冬のように寒かった。完全にミニチュアタウンから出てしまっている。こんな高いところから使ったこともない飛行スキル使うのは怖いな・・。あっマイルームで帰れるか!
「いとも簡単に部屋の結界を破って、ベランダにでられるのだな。この部屋は強力な結界が張ってあるのだがな」
振り向くと、魔王様が立っていた。殺さずに連れてこられたということは、出している殺気ほど私を殺す気はないのだろう。
「どっ・・どうして私をここへ?」
少し考えている様子を見せる魔王様
「どうしてだろうな?別に害がありそうでもないし、オレを認識できる人間に興味を持った?・・とか?普通の人間にオレの存在は気づかれないのだがな。オレのことをどこまで知っている?」
素直に答える
「えーと。エドモンド デュ シュナイダー様という名の魔王様くらいしか・・」
「ほぅ。」
黒い瞳の瞳孔が縦長に動いた。じーっとこっちを見つめてくる魔王様。うわーっ。こんなイケメンに見られたことないからドキドキしちゃう(汗)怖いけど。
鑑定
比奈 21歳
レベル12
職業:街娘
スキル:生活魔法
「と、あるが・・名と歳は本当か?レベルやスキルは偽っているのだろう?隠蔽スキルか。」
さすが魔王様。当然鑑定スキルお持ちですよね。私のステータス他の人にはそう見えるんだ。
「はい。隠蔽スキルです。職業も街娘ではありませんね。アルバイトかな?それとも大学生?異世界人?この世界ことよく分かっていません。」
「フフッ」魔王様が笑っていらっしゃる。どうやら回答をお気に召していただけたらしい。良かった!!
「でも、どうして魔王様は街中を歩いていたのですか?」疑問を口にしてみた。
「そう畏まるな。敬語はなしでエドと呼んでくれ。街中にいたのはな・・」
見た目と違いフレンドリーな魔王様だった。見た目で判断してごめんなさい。そして、魔王様からお茶に誘われた。いきなり異世界で出会うのが魔王様っていうのも凄いことだ。
ミニチュアダンジョンで大量虐殺している私と、魔物の頂点に君臨する魔王様。あぁーミニチュアダンジョンで良かった・・のか??魔物にかわりないから知られると敵討ちとかされない??ぶるぶる。
今回の比奈さんの幸運
☆露店の食べ物
☆なりきりセット(街娘)熟練度3
友達?
★エド(魔王様)