表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールドクルセイダーズ  作者: ビジョンXYZ
スウェーデン ゴットランド島
98/175

第5話 遭遇戦闘

「ミネルヴァ、人々を操り邪悪な魔力を浸透させていたあの空間は、旧市街全体を覆い尽くしていた。『ヴィスビューの輪壁』を境目とするようにな。お前にはこうなるように仕向けた者の心当たりはないか? 恐らくそ奴がこの事態の黒幕……つまりは『敵』だ。そ奴を斃せばこの事態を解決できる可能性が高い」


 広い自然公園の森を駆け抜けながらアリシアがミネルヴァに敵の情報を確認している。この街に住んでいた彼女であれば、天馬達が知らない情報を持っているかも知れない。問われたミネルヴァは一瞬考え込むような姿勢となる。


「……輪壁は今のベルセリウス市長になってから急に補修が始まった。他の遺跡に関してもそう。『観光客を沢山呼び込む為』という理由で。それが関係あるのか解らないけど」


「……! 観光客を? ふむ……」


 アリシアが思案顔になる。あの旧市街の魔力は市民だけでなく観光客にも浸透していた。というより輪壁から出た後も魔力が取り付いたままだった事を考えると、むしろそっち(観光客)がメインの可能性さえある。


「その市長、臭そうだな」


 就任してから急に輪壁の補修が始まったというのもタイムリー過ぎて怪しい。暫定的にだがそのベルセリウスとやらをウォーデンと仮定して行動すべきだろう。



「……! テンマさん、奴等です!」


「ち、もう見つかったか……! ミネルヴァは下がってろ!」


 走りながらも周囲を警戒していたシャクティからの警告。間を置かずして森の前方から警官が2人ほど駆け向かってくるのが見えた。周囲に他の敵はいない。森の広さはそれなりにあるので少人数で分散して捜索していたようだ。


 ならば他の仲間が駆け付けてくる前に素早く各個撃破が常道だ。天馬はまだ覚醒出来ていないミネルヴァを下がらせて前に出る。


「俺が一方をやる! アリシアとシャクティはもう一方を頼む!」


「了解した!」「わ、解りました! 任せて下さい!」


 手早く指示してそれぞれの相手に向かう。攻撃こそ最大の防御だ。警官達が警告なしで銃を発砲してくる。だが既に神器を抜き放って臨戦態勢の天馬達に銃など通用しない。全ての銃弾を斬り払いながら肉薄する。


 警官達は銃を捨てるとプログレスとしての本性を露わにした。一瞬で身体が肥大して、あの白い剛毛に覆われた凶悪なビッグフットの如き姿になる。旧市街ではミネルヴァを庇いながら、かつ殺す訳にはいかない群衆たちに動きを阻害されて思うように戦えなかったが、今はそれらの問題点はない。


 ある意味でこれが奴等との正面切っての初戦といえた。



『鬼刃斬!』


 牽制で真空刃を飛ばすが、案の定プログレスは多少怯みはしたものの身体が斬断される事はなかった。やはり高い防御力を持っている。だが一瞬動きを止められればそれで充分だ。その間に距離を詰める天馬。


 プログレスが野獣の咆哮を上げながらその剛腕で殴りかかってくる。天馬が躱すとその拳撃はそのまま後ろにあった木の幹に激突する。


「……!」


 天馬の肩幅以上の太さの幹が一撃でへし折れて横倒しになった。特殊能力がない分、肉弾戦能力に優れているという見立ては間違いではないようだ。


 プログレスは間髪を入れず、今度は両腕を頭上に振りかぶってのハンマーナックルで追撃してきた。天馬はそれも後ろに跳ぶようにして回避する。


 巨拳によるハンマーが地面を抉り、大量の土砂が飛散する。威力も速度も凄まじいが軌道が単純なので、慣れてしまえば避けるのは難しくなさそうだ。そう判断した天馬は怖れることなく大胆に敵の懐に飛び込む。


「ふっ!」


 一閃。『瀑布割り』で敵の胴体を横一直線に薙ぐ。だがやはり高い防御力に阻まれて、薄い切り傷を付けるのが精一杯だ。プログレスが反撃に腕を薙ぎ払ってくる。天馬はそれを屈むようにして躱すと再び刀で斬り付けた。


 一刀両断には出来なくても浅い傷なら付けられる。プログレスが怒りの咆哮を上げて殴りかかってくるが、天馬はそれを冷静に避けつつ着実に反撃の刃を当てていく。一撃でダメなら効くまで何度でも攻撃すればいい。単純な理屈だ。


 その戦法は功を奏し、やがてプログレスの動きが目に見えて鈍くなってきた。小さいとはいえ身体中にいくつも切り傷を穿たれ、そこからの出血がダメージを蓄積させていたのだ。


『鬼神三鈷剣!!』


 動きの鈍ったプログレスは致命的な隙を晒し、当然天馬はそれを見逃すような事はしない。その首筋目掛けて全力の一撃を薙ぎ払う。既に自慢の防御力に綻びの生じていたプログレスは、その一撃を受けきれずに首と胴が泣き別れとなった。


 再生能力の類いは持っていないようで、大量の血を噴き出しながら倒れて消滅していくプログレス。最初こそ手強く感じたが、肉弾戦しかしてこないので慣れてしまえば左程の脅威には感じなかった。



 一方、天馬が戦っている横でシャクティとアリシアもプログレスとの戦闘を繰り広げていた。


『ドゥルガーの怒り!』


 シャクティは光のチャクラムによる先制攻撃を仕掛けるが、プログレスの硬い防御の前に弾かれてしまう。間髪入れず後ろからアリシアの神聖弾による追撃が撃ち込まれるが、やはり怯ませただけで決定打を与えられない。


「く……厄介ですね」


 天馬よりも直接的な火力に劣るシャクティはプログレスの防御を突破できずに歯噛みする。だがアリシアは後衛型で接近戦は不得手なので、敵の攻撃は自分が引き付けるしかない。


「シャクティ! しばし時間を稼いでくれ!」


「……!! わ、解りました!」


 後ろからの声に了承の意を示すシャクティ。アリシアは恐らく何らかの大技を使う気だ。それには多少の溜め(・・)が必要になるので、その間敵を引き付けておかねばならない。


 白い野獣が太い腕を振り回して襲い掛かってくる。一撃でも貰ったら相当のダメージは免れない。シャクティは必死になって躱しながらチャクラムで反撃に斬り付けるが、やはり有効なダメージを与えられない。


(ア、アリシアさん、まだですかーーー!!?)


 シャクティは遠近両用こなせるが、その分肉弾戦能力は天馬や小鈴、ぺラギアなどの前衛型と比べると劣る。いつまでもこの怪物の猛攻をいなせる自信がなく内心で悲鳴を上げるシャクティだが、幸いにも後方から再び声が掛かった。


「伏せろ、シャクティ!!」


「……っ!」


 何も考えずに反射的に身を大きく屈めるシャクティ。プログレスからすれば大きな隙になるが……


神聖連弾(ホーリーマシンガン)!!』


 眩い閃光が煌めいた。一発の神聖弾には耐えられても、同じ箇所に連続して神聖弾を撃ち込まれ続ければ話は別だ。強烈な神力の連弾はプログレスの頑強な防御を貫通する事に成功した。


 丁度心臓の辺りを撃ち抜かれた怪物は大きく吹き飛んで、そのまま消滅してしまった。どうやら倒す事ができたようだ。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=518476793&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ