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ワールドクルセイダーズ  作者: ビジョンXYZ
ギリシャ アテネ
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第15話 『完全』なるコットス

『ふむ……これは確かに誤算だったな。しかし即時修正(・・)可能なレベルの些細な誤算だ。2人まとめて叩き潰してやろう』


 気を取り直したコットスがこちらに向かってくる。2メートル半を越える身体中に『眼』が付いた異形の巨人が迫ってくる絵面は、それだけで異様な迫力を醸し出している。だが天馬もぺラギアも今更そんな物で怯むような精神は持ち合わせていない。


「ここは二対一のセオリー通りに行かないかい? 挟撃が最も合理的と判断するよ!」


「同感だ! じゃあ俺は右から攻めるからアンタは左から頼む!」


 手早く意思疎通をした2人は左右に分かれてコットスを挟撃する。天馬は赤い光を刀に纏わせ、ぺラギアは雷の束を剣に纏わせて、ほぼ同時に斬り掛かる。


『かあぁぁっ!!』


 コットスは両手を広げて、2人に対して同時に念動波を撃ち込んできた。瓦礫を撒き散らしながら衝撃波が迫るが、天馬は素早いドッジでそれを躱し、ぺラギアは『アイギス』を掲げて衝撃波を受けきった。


 そのまま勢いを殺さずにコットスとの距離を詰める2人。だがこのまますんなりと近寄れるはずがない。



『我が力を見せてやろう!』


「……!」


 コットスの身体中の目が妖しい光を発する。すると驚くべき現象が起こった。アクロポリス上に散乱している大小様々な瓦礫や岩塊が一斉に(・・・)浮き上がったのだ。それはまるでここ一帯だけが急に無重力空間にでもなったような錯覚を、見ている者に与えた。


 コットスのサイコキネシスだ。ただしその力は人間の時とは比較にならないらしい。


「おいおい、どんだけの力で操ってんだ!?」


「……! 来るよ……!!」


 ぺラギアの警告と同時に浮遊していた大量の瓦礫が渦を巻いて『竜巻』となる。そしてその『竜巻』が背後から天馬達に襲い掛かってくる。


「ちぃ……! 『鬼刃連斬』!!」


 天馬は『竜巻』に向かって真空波を連続で飛ばす。すると『竜巻』を構成する瓦礫がいくつも裁断されたが、それはただ瓦礫が細かくなっただけで『竜巻』自体は全く勢いを減じる事無く迫ってくる。


『無駄だ。君達では私の力を破る事は出来ん』


「……! ならやはり本体を叩くしかないね!」


 天馬が『竜巻』を引き付けている間にぺラギアが、『竜巻』から距離を取りつつ迂回してコットスを狙う。奴は逃げずに『眼』の1つをぺラギアに向けてきた。その『眼』から赤い麻痺光線が射出される。


「二度も同じ手は食わないよ!」


 彼女は盾を掲げてその光線を完全に遮断する事に成功する。そのまま盾を翳しながら剣を構えて突っ込む。


『ケラウノス・サンダー!!』


 『ニケ』から雷の束が迸る。しかしコットスも別の『眼』を向けて、そこから青い色の光線を発射する。その青い光線は物理的な攻撃力を伴っているようで、ぺラギアの雷と拮抗する。


「ぐぬ……!」


『無駄だよ、墜ちたアスリート君。君の力だけでは私は倒せん。……そういえば借金(・・)は返し終わったのかね? 違約金を支払う為に方々に借金して回ったと何かの雑誌で読んだ記憶が……』


「……ッ! 黙れと言っている!!」


 ぺラギアが怒りに柳眉を逆立てて更に雷の圧を強めるが、コットスもそれに対抗して光線の魔力を強めてくる。徐々に青い光線が雷の奔流を押し返し始める。


「……!!」


『ふぁはは、無駄だと言っただろう? そして私の力はこれだけではないのだよ』


 コットスが嗤いながら空いている手をぺラギアに向けてくる。そこから念動波を放つ気だ。青い光線とせめぎ合いをしているぺラギアは防御はおろか動く事もできない。結果コットスの念動波をまともに喰らった。


 大きく吹き飛ばされて、小鈴達が閉じ込められている赤い結晶に背中から激突する。


「がは……!!」


「ぺラギア!? しっかりして、ぺラギア!」


「ぺラギアさんっ!!」


 閉じ込められていて手が出せない彼女達は、ぺラギアや天馬を叱咤して見守ることしか出来ない。勿論その間にもアリシアやラシーダが必死に脱出しようとしているが、今の所成果は挙がっていなかった。



『さて、彼の方はどうか…………何!?』


 ぺラギアが倒れた事でターゲットを変更したコットスが天馬に向き直るが、すぐにその顔が驚愕に彩られた。いや、コットスだけではない。小鈴達も同様にその光景に驚いて目を瞠った。


 『竜巻』が止まっていた(・・・・・・)。比喩ではない。『竜巻』を構成する無数の瓦礫が、『竜巻』の形だけ維持したまま完全に静止していたのだ。


 いや、完全に静止しているというのは誤りか。無数の瓦礫は小刻みに振動して動こうとしているが、それが別の強い力(・・・)によって阻まれているのだ。


 その止まった『竜巻』の中心にいるのは……天馬。『瀑布割り』を天高く頭上に掲げるような姿勢で屹立している。そしてその身体からは凄まじいまでの濃密な神力が発散されていた。この神力が『竜巻』の動きを止めているのだ。


「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………!!!」


 彼が気合の咆哮を上げると更に神力が高まっていく。やがて『竜巻』が内側からの圧力に耐え切れなくなり、徐々に膨張し始める。


『馬鹿な……私の力が……!?』


『怒号烈波ッ!!』


 天馬の気合と共に大量の神気が爆発し、『竜巻』を跡形もなく吹き飛ばした。瓦礫の雨が周囲に降り注ぐ。



「ふぅぅぅ…………やってみりゃ出来るモンだな」


 天馬は大きく息を吐いて呟いた。あの『竜巻』はコットスの魔力で構成されて動いていたのだから、神力によって干渉できるのではないかと考えたのだ。結果は上手く行った。


『……君の力は危険すぎるな。仲間にならない以上、何としても君をここで殺しておかねばならん』


「はっ! どのみち殺す事には変わりないだろが! 御託は充分だ!」


 天馬は刀を構えて一直線にコットスに迫る。今はもう邪魔な『竜巻』もない。コットスも正面から迎え撃ってくる。


 まずは牽制とばかりに奴の『眼』から赤い麻痺光線が放たれる。だが何度も見た事で既にその発射のタイミングや軌道は見切っていた。


「そいつはもう見飽きたぜ!」


 麻痺光線を躱しつつ動きを止めずに肉薄した天馬は巨人の脚に斬り付ける。コットスは意外に素早い動きで天馬の斬撃を避ける。天馬は間髪入れず追撃する。


『図に乗るな!』


 コットスが吼えると、奴の身体中の『眼』が再び明滅した。すると今までは手を突き出して放っていた念動波が、その身体自体から全方位(・・・)に向かって放射された!


「……っ!」


 さしもの天馬も意表を突かれて、回避が困難な攻撃だった事もあり衝撃波をまともに喰らった。


「ぐはっ……!!」


 至近距離でもろに衝撃波を喰らった天馬は血反吐を吐きながら吹き飛ばされた。閉じ込められている女性陣から悲鳴が上がる。



『その力、ウォーデンとなればあの『王』を名乗る不遜な男をも越えられように、愚かな選択をしたな!』


 コットスが倒れた天馬に追撃を仕掛けてくる。一際巨大な瓦礫を浮かせると、それを全力で叩きつけようとする。衝撃波を喰らった直後の天馬に躱せるタイミングではない。


『ははは! 終わりだ――――ごぁっ!?』


 とどめの一撃を加えようとしていたコットスの動きが止まる。奴の胸から……雷を纏った剣(・・・・・・)が生えていた。


『き、き、貴様……』


「……テンマに気を取られ過ぎて、私の存在を忘れたのが命取りだったね!」 


 ぺラギアであった。一度は吹き飛ばされてダメージを負ったものの神衣の防御力で重傷は免れており、倒れたままコットスの隙を窺っていたのだ。


 そして天馬の予想以上の奮闘にコットスの意識は完全に彼に割かれ、ぺラギアの接近と奇襲を許したのだ。



『ケラウノス・サンダー!!』


 コットスの背中から胸を貫いた『ニケ』から迸る雷撃が、多眼の巨人の身体を体内(・・)から焼き尽くした。


『ゴアァァァァァァァァァァァッ!!!』


 強靭な肉体と魔力を誇るウォーデンも体内から直接電撃と神力で焼かれては致命傷は免れない。聞くに堪えないような絶叫が奴の口から迸った。そして更に駄目押しとして……


「くたばれ、目玉野郎がっ!!」


 ダメージを押して立ち上がった天馬が跳躍して、コットスの首を一刀両断に跳ね飛ばした! 宙を舞った奴の首が地面に転がり落ちると、元の人間の顔に戻っていく。


 決着だ。


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