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祝福(ギフト)を駆使して目的探し  作者: 齊藤 或蘭
第一章
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先ず、御覧戴いている皆様に感謝を。ここから先は以前投稿していたものと大分変わる予定です。

頑張って更新していきますので応援よろしくお願い致します((⊂(∩///˙ω˙///∩)⊃))フンフン

 戦闘している様子がハッキリと見える距離になって確認出来た事は村人や冒険者が善戦していること、しかし敵の人数の方が遥かに多いため、押し切られるのも時間の問題といったところであった。

 しかし、まだしっかりと全てを確認できてはいないが━━妙なぐらつき方をする動きにスヴェンは違和感を覚える。


 (妙だな……「観察」)


 走りながら小声で呟きギフトを発動させると違和感の正体に気付く。“生きている人間“でなかった故に感じていたのだ。


 近付く程に腐敗した悪臭が強まってくることから、アンデット系のモンスターがほとんどを占めているのであろう。先程確認した時に村から上がっていた煙は臭いを誤魔化す香と敵がそれ以上入るのを防ぐ為のモンスター除けのものを併せて焚いたものだったことも判明した。


 ここまでの道中にノンノからコッコ村は多く獣人が住んでいることを聞いていたスヴェンは、数だけでなく臭いも原因で劣勢になっているのではないかと仮定した上で訊ねる。


 「ノンノさん、ある程度の自衛は出来ますか?」


 「武器もあるし多少は出来るで。ただ得意ではないから迂回して村の中に待避することにするわ。傷薬もいくつかあるし」


 「わかりました。では先に行きますね。━━━━━コッコ村の方、加勢致します!」


 彼女が頷いたのを確認すると、武器を抜いた鞄を荷車に載せ、そこへ当てていた追い風()を自身のみに当てて加速する。

 小型で両端に滑車がついている機械的な見た目をした弓を構え、矢をあてがいながら距離を詰め、村人達へ声が届く距離まで一気に駆け寄って叫ぶと同時に後方で術を唱えている複数のモンスターへと矢を浴びせた。

 敵が倒れ、術が来なくなったのを確認した冒険者達は「たのむ!」と短く返すと、再び目の前の敵に集中しはじめる。

 その間にスヴェンは少し離れた距離を維持しつつ敵の真横にあたる位置まで移動し、術を発動しようとしている、もしくは今斬りかからんとするモンスターに対して味方や敵の間を縫う様に矢を()り続けた。


 しばらく続けると形勢も巻き返し始め、徐々に村側が敵を圧し始めたのを見たスヴェンは未だに集団で残っているグループを見やり、矢に霊力を込めながら狙いを定める。


「そこを崩せば一気に決まるか……? 《ファイアブラスト》」


 術の発動と同時に弦から放たれたその矢は、炎の渦を纏いながら凄まじい速度で飛翔し爆風を巻き起こす。横型の火炎竜巻とも言えるそれは、瞬く間に射線上のモンスターを飲み込み、駆逐した。


 散り散りになったモンスターの殲滅へと移行し、解決するのも時間の問題であると判断したスヴェンは辺りを見回し、村に入っていくノンノを確認しつつ思案する。

 ただのアンデットであるならここまで村側も苦戦していなかったであろう。というのも、敵として確認できたスケルトンやゾンビの一体一体は決して強くはない、動きの単調な低級モンスターとされるものだ。

 にも関わらず冒険者パーティーを含めた彼ら苦戦していた理由はそれらが武器を持ち、まるで意志を持っているかのように統率された動きを行っていたからであろう。

 それなのに指揮官となる人物が見当たらないこの状況は明らかにおかしいと考えを纏めながら残っている敵の背後を取っては確実に首を落として始末していった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 少し離れた崖上からこの戦場を眺める者が居た。

 全身を包む漆黒のローブから時折緑の肌を覗かせるその者は、眼下の光景を見て口角を上げる。


 「あの弓使い、中々のやり手ですね……。これは見直さないといけない部分もあるでしょうか」


 顎に手を当てつつ呟き一人納得した“それ”は踵を返そうとした際、ふとこちらを見る視線へと気付く。

 “喚び出した”モンスターを悉く屠った者がこちらへ顔を向けていたのだ。


 「少しばかりお相手をしましょうか」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 最後のモンスターを倒し皆が勝ち鬨を上げる中、未だ違和感を拭えていないスヴェンは“観察”をしながら近くの崖の上へと顔を上げると、黒い衣服の者が踵を返そうとしているのが見えた。


 「すみません、少し崖上を確認します!飛翔(フライ)


 近くに居た村人へ声を張り上げて伝えるや否や、術を発動し崖上へと一気に向かう。するとそこにはまるで待ち構えていたかの様にこちらを見詰め笑みを浮かべる者が居た為、距離を取って着地し弓を構える。


 「あなたがこの件の犯人……とみて間違いないですか?」


 「おや、そう確信したからこそやってきたのでしょう? 異な事を仰るお方だ」


 「モンスターは全て駆逐しました。降伏するならば命までは取りません」


 そう伝えるとローブの男はクスクスと笑い出し、おもむろに指先をスヴェンへと向け……“聞き取れない何か”を呟く。

 途端に電流が走ったかの様な錯覚を覚え、全身から冷や汗を噴き出したスヴェンは矢を急いで放ちつつその場を全力で飛び退いた刹那━━━━━放った矢を呑み込んだ赤黒い塊が着弾し爆音を響かせた。


 爆風に飛ばされながらも受け身を取り立ち上がったスヴェンが見たものは、先程まで立っていた地面がえぐり取られている光景である。


 ━━掠る事すら許されぬ攻撃を放った人物を急いで捜すも、土煙が晴れると既に姿はない。


 (見逃された、か……)


 “観察”を使用しても足跡すら掴ませず行方を眩ませた相手へ警戒するも、飛び退く際無意識に術を行使し霊力の限界に達していたスヴェンは意識を失い崩れ落ちた。

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