可愛い過ぎる私の婚約者 婚約者とヒロインの迷走2
なぜ?なぜ?なぜ?????
あの時は、それしか思い浮かばなかった。
意地悪はされていた。
ゲーム通り、拐われそうになった。
けど、ティッオ様たちはイハヤタカ侯爵令嬢の関与を否定する。
それも絶対違うと全面否定。
それでは、ゲーム通りに行かない。
エドヴォルト様のルートにならない。
だから、中庭に行った。
イハヤタカ侯爵令嬢が無理矢理レオンクラウド様を誘い、中庭を散歩するはずだから。
イハヤタカ侯爵令嬢が転生者だったらどうする?
不安はある。
転生者でもある程度ストーリー通りに動いているだけだから、大丈夫、どうにかなると思っていた。
「あ、あの、私はティッオ殿下と親しくしておりません。」
そう言われた時は、びっくりした。
従兄弟でしょ、悪役令嬢でしょ、そんなことウソに決まっている!!
レオンクラウド様の同情を引かなければならない。
私は泣き出した。
「ティッオ殿下と私は確かに従兄弟ですが、前世持ちの私は嫌われておりますわ。」
えっ?なんて言った?
「ぜんせ?前世持ち?転生者?」
やっぱり同じ転生者だったんだとしか思わなかった。
邪魔をしている悪者としか。
イハヤカタ侯爵令嬢がティッオ様に嫌われているという言葉は、頭の中に残っていなかった。
数日後、父のシャリーブロン子爵と一緒に呼び出された。
学園の応接室には、レオンクラウド様と婚約者が座っていた。
レオンクラウド様の問いを父が必死で弁解している。
自分の娘がヒロインなんて認められないのだろう。
この国に来ていたワナミタ国のルミ殿下というお婆さんが、乙女ゲームをバラしていったらしい。
お婆さんは年寄りらしく大人しくしていたらいいのに。
あれ、レオンクラウド様の様子がおかしい。
このまま話が終わってしまえばいいのに。
「そ、うかな・・。わたしは、なんども、ぎかいで・わだい・・に、しよ、う、と・・・。」
話もまともに出来なくなってきている。
この調子で・・・。
なんで持ち直すの!!
あの婚約者は、何なの?一瞬でレオンクラウド様を元に戻してしまったじゃない!!
転生者の力?そんな力あるの?私には無いのに!
追い詰められていく。
このイハヤカタ侯爵令嬢のせいで。
許さない。許さない。許さない!!
「何故、ゲーム通りに進まないか教えてあげようか?」
そんなのイハヤカタ侯爵令嬢のせいに決まっているじゃない!
「努力しなかったからだよ。ゲーム通りに進めるのに一生懸命で、この世界で生きていく努力をしなかった。」
なにそれ。私は、この世界のヒロインなのよ!!
ゲーム通りに進むに決まっているじゃない!
なのに何故?何故?うまくいかなくなったの?
「ワナミタ王妃曰く、ヒロインは『善人』なんだ。」
ゲームのヒロイン?ヒロインは、私よ!
「思惑などなく何事も一生懸命に生きている。成績が悪ければ、いい点数が取れるように勉強をする。ダンスが下手なら上手になれるように練習する。」
思惑?推しに会おうとすることは悪いことなの?
一生懸命?ゲームではヒロインは頑張っていた。嫌がらせをされても実力で認めてもらおうと・・・。
「ゲームのヒロインは、攻略対象者と恋するためだけに学園に来ていなかったはずだ。」
ヒロインは勉強出来ることに喜んで・・・、今までは勉強出来なかったから・・・。
私と違う。ヒロインと私はちがう!
「そんな、私はヒロインじゃないというの。うそよ。そんなの。ここは『月明かりのワルツ』にそっくりなのよ。」
名前もストーリーも同じだったわ。私がヒロインじゃないって有り得ない!
「あんたのせいよ。あんたがレオンクラウド殿下に告げ口したんでしょ。悪役令嬢マリークライスを失脚させたのもあんたでしょ。」
イハヤカタ侯爵令嬢が何かしたに決まっている!
レオンクラウド様に大切そうに庇われて、本当なら嫌われているはずなのに!!
「あなたは、何故、そんなにゲームに拘るのですか?」
静かな声が聞こえた。
「私がヒロインだからよ。」
はっきり答えてやる。
「ヒロインだから、何をしてもいい?当たり前?ゲームの世界だから許される?みんなこの世界で必死に生きているのに!」
それが何?みんな私の引き立て役のハズよ!
「あなたのせいで、何人もの女性が泣いています。攻略対象だか何だかしりませんが、婚約者の様子が変わってしまって。」
それがストーリーだから仕方がないんじゃない。
「ヒロインだからって全て許されると思っているのですか?」
「私は、ゲーム通りにしただけよ。」
当たり前でしょ。ストーリーがそうなっているのだから。
「それは、ゲームの世界だけでしょう。ここは、現実世界です。ゲーム世界ではありません。
助けられる人がいても、ストーリー通りだから助からなくて当たり前だというのですか?」
助けられた人?この世界のお母さん。
「そっ、そうよ。」
もし医師が側にいたら・・・、助かったかもしれない。
けど、それじゃあゲーム通りに進まない。
「私は、戦争が起きると分かっていたら、起きないようにしたい。ゲームとよく似た世界なら、その前世ちしきを生かしてこの世界を少し良くしたい。それでストーリーが変わってしまっても人が死ぬのは嫌です!」
あなたがヒロインじゃないからよ!
「それでバットエンドになったらどうするのよ!」
ヒロインなのに平凡に生きなきゃいけなくなるかもしれないのよ!
余計な知識を持っていると殺されるかもしれないのよ!
「ならないように頑張ります。」
何をどう頑張るというのよ!
「リセットボタンは無いのよ!やり直しきかないのよ!!」
「だからです。一度しかないから、私は後悔しないようにしたい。」
一度しかない?
一度しかないからストーリー通りに、ストーリー通りに進めたのよ!!
小話が思い付かない・・・。(T_T)
ヒロイン自体か小話?