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ハイテンション

 いざ、祭典へ!

『激・戦っ! いやー、素晴らしい戦いでしたね! さぁさぁ、余韻に浸るのもここらにして、巻きで行きましょう! 巻きで! 早く帰って寝たいです! 叫び過ぎて喉痛くなってきました! ……え? 会場の修理に時間がかかる? あっ、はーい、じゃあしばらく休憩でーす!』

 修理、というのは、もちろんというかなんというか、大体アヤの《エーテル・マギ》のせいである。それでも前回は修理に丸一日必要としていたので、この短時間で闘技場も改良されたということになる。中々仕事が早い。

「……にしても、なんだかんだで接戦だったな」

「死ぬ気で頑張りました……あたし、もう動けないよ。明日の三位決定戦出られないかも……」

 控え室で寝転んだままユウシアに言葉を返すアヤ。力を使い果たして倒れたところを、ユウシアに運ばれたのだ。一応、ユウシアの試合が始まるまでには医務室へ搬送される予定である。

「まぁ、無理するよりは、棄権しちゃった方がいいと思うけど」

「だよねー。うーん、ユウ君と戦えるかもしれなかったのに……」

「それはない」

 キッパリと言い切るユウシア。

「ユウ君、勝ちしか見えてないね……」

「負ける気がしない。というか、負ける気がない」

「……なんか、ちょっとユウ君らしくない気がするなぁ」

「……そう、かもな」

 アヤがポツリと漏らした言葉に、ユウシアはゆっくりと頷く。

「でも、女性にあんなこと言われたら黙ってられないな。男として」

 シオンはユウシアに、「情けない」と言った。暗殺者という職は、一応捨てたつもりでいるユウシアではあるが、それとこれとは話が別なのだ。

「さて……さっき見た感じだと修理もあまり時間はかからなそうだったし、軽くウォーミングアップでもしてくるよ」

 と、立ち上がるユウシア。

「珍しい……ユウ君がウォーミングアップなんて。本気だね」

「まーね」

 ユウシアは軽く言葉を返して、控え室を出て行った。


 ++++++++++


「――っふぅ」

 ウォーミングアップ、とは言いつつも、結構本気で走ったりして体を温めたユウシア。息を整えると、控え室を通り過ぎて直接会場へと向かう。気配から察するに、アヤはもう医務室へと移ったようだ。

「おぉ……綺麗に直ってる」

 すっかり元通りになった闘技場を見て、感心したように声を漏らすユウシア。

『おや、ユウシア君、お早い登場です!』

 ユウシアの姿に気が付いたエルナ。彼女の声に釣られ、観客の注意が集中する。

 ユウシアはそれに少し居心地悪そうにしつつ一言。

「……あの、シオン先輩。近くないですか?」

「あら、気付いていましたか」

 すうっと、どこからともなく、というか実は結構前から気配を消していたのだが、ユウシアの目の前に姿を現すシオン。

『うぉわっ!? いつの間に!?』

「……やっぱり、実況気付いてなかった……」

「あなたならまだしも、一講師に気付かれる訳にはいきませんよ」

「一応、気付いていた学園長はいるみたいですけど……まぁ、例外か」

「……あの方は謎に満ちていますから……ノーカウント、ということで」

 どこか苦々しい表情でそう言うシオン。

(一体何があったんだ……)

 何かがあったことを前提で考えるユウシアだが、何かありそうなのだから仕方ない。

「……というか。これ、もう試合出来るんですよね?」

「出場者は揃っていますし、そのはずですが……実況ですね」

『は、はいっ、ごめんなさい! 急に出てくるもんだからビックリしちゃってました! ではでは、じゃんじゃか行きましょう! 続いては、準決勝第二試合、シオン・アサギリVS(バーサス)ユウシア! ぶっちゃけ私、さっきの試合よりも楽しみにしてました! だって、どっちも各学年首席ですよ!? しかも近接型! 鳴り響く金属音! 舞い散る火花! 目にも止まらぬ剣戟の応酬! うっひょーっ!!』

「……テンションたっか」

「剣戟の応酬……私、暗殺者なのですが……まぁ、隠さなければならない都合上、本来の戦い方とは変えていますけれど……」

 ぶつぶつと呟くシオン。ユウシアとしては、とりあえず半分くらいは同意したいところである。

『ハッ! ……こほんっ。すみません、取り乱しました。え? 巻き? いえいえ、巻きでは行きたいですよ? でも、私、じっくり見たいんです! ……そんなこと言ってる暇あったらさっさと進めろって? ハイ! 仰る通りですね!』

 別に誰かに聞かれている訳でもなく、そんなことを言うエルナ。確かに、観客の目はそんな風なことを訴えているように見えないでもないが……。

『ささ、行きますよ! 両者位置についてください!』

 その言葉を合図に、闘技場の真ん中に距離を取って立つ二人。

「……どうなっても知らない、でしたか。一体()()してくれるのか、楽しみにしています」

「マゾ……じゃないですよねはいごめんなさいだから睨まないで。……こほん。ま、過度な期待は厳禁、ということで」

『それでは! 準決勝第二試合――開始ッ!』

 エルナさんがぶっ壊れました。嘘です割と前から壊れてました。多分。

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