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校内新聞

 最近、読んでないラノベが積み上げられてるんです。早く読みたい。

 翌朝。

 ユウシア達が教室に入ると、リリアナが駆け寄ってきた。手には何やら紙を持っている。

「ユウシア! 昨日の決闘、校内新聞に載ってたわね!」

 とどこか嬉しそうに言うが、ユウシアは首をひねるばかり。

「校内新聞?」

「あれ? ユウシア、寮のポスト見てないの? 全員に配られてるはずだけど」

「あぁ、そういえば、見てなかった気がするなぁ……皆は知ってた?」

 ユウシアは振り返りながらそう問いかける。

「とりあえず十回は読み返して来ましたわ。帰ったらまた読むつもりです」

 リル、重い。

「読んだ。読んださ。しかし、あれは……」

 フィル、何やら怒っているようだ。

「ていうか、寮にポストなんてあったの?」

 アヤ、そこからか。

 リリアナが、何やらニヤニヤしながらユウシアに持っていた新聞を差し出す。ちなみに、日本の新聞と同じように、複数枚の紙が重なっており、そこそこの厚さがある。校内新聞というくらいだから内容は校内に関することだろうが、よくもまぁここまでネタがあるものだ。伊達に広い訳ではないということか。

「しっかたないわねぇ。ほら、あたしの貸してあげるわよ」

「ん、ありがとう」

 ユウシアは、受け取った新聞の一番大きな題を見る。そこには、

「何々……『首席新入生ユウシア、入学早々に決闘! 相手はAランク首席ノルト・フェネス。激闘の末ユウシア勝利!』……か」

 一面の、一番大きな題。そんなところに載っているということは、誰かは知らないが、この新聞の発行者はユウシアの決闘に、あるいはユウシア自身にそれだけ注目しているということなのだろうか。それか、他に大したニュースがないか。

「それすごいのよ? 戦いの様子も書いてあって――」

「凄いものか」

 リリアナの言葉を遮り、フィルは腕を組み、頬を膨らませながら言う。

「何が『始めはユウシアの猛攻をノルトが見事に防いでいた』だ。ユウシアが手加減していただけではないか。何が『形勢逆転し、ユウシアは防戦一方になる』だ。ユウシアが様子を見ていただけではないか」

「そ、そうだったんですか? あたしも見てたけど、上手く書けてると思った……」

 フィルの言葉に目を丸くするリリアナ。どころか、さりげなく話を聞いていたクラスメイトの中にも、同様に驚いている者がいる。

 そんな彼女達に、フィルは不満気にふんっと鼻を鳴らして、

「大体、ユウシアが本気になれば、あんな決闘一瞬で終わったのだ。入学式で先生が『この場の全員を纏めて相手に出来る』と言っていたのを忘れたのか」

「いや、フィル? さすがにそれはちょっとキツいかなって……」

「時間帯と場所を指定出来るとしたらどうだ?」

 頬を引き攣らせながらツッコむユウシアに、フィルはそう問いかける。ユウシアは真面目な顔に戻ると少し考え、口を開く。

「……夜、障害物の多い場所なら、行けるかもしれない」

「やはりな」

「視界が悪くなるのは自分も同じなのに……」

 信じられない、といった様子で声を上げるリリアナ。しかしフィルはそんな彼女に目を向けると、

「それが出来てしまうのが、ユウシアという男なのだ。私も前に、訓練に付き合ってもらったことがあるが……手も足も出なかった」

 その言葉に、クラスがざわつく。フィルが騎士であることは周知の事実だ。そんな彼女が手も足も出ないとなると、ユウシアはこの学校での戦闘訓練を必要としていないことになる。

「――っと、話が逸れたな。何の話だったか……そうだ、決闘の記事の話だ。とにかく、あの内容は正確ではない。多分、皆も戦ってみれば差が分かるだろう」

「ちょ、フィル、そういうのは……あーほら、何人かやる気出しちゃってるよ……はぁっ」

 疲れたように、面倒くさそうにため息を吐くユウシア。Aクラス首席には勝ったので、決闘の申し込みはあまり来ないだろうと考えていたのだが、まだまだ終わらなさそうだ。

「皆さんおはようございます、席に着いてください! ……あれ、ユウシア君、そんな早くも疲れきった顔でどうしました?」

「何でもないです……」

 首を傾げるヴェルムであった。


++++++++++


 それから数日が経ち、ユウシアは決闘三昧の日々を送っていた。予想通り、フェルトリバークラスの面々が次から次へと決闘を挑んできたのだ。その全てをヴェルムが許可してしまうのだからたちが悪い。

 そして今日。

「フェルトリバークラス、ユウシア……同じくフェルトリバークラス、ゼルト・キャスターが、決闘を申し込む」

「! ……まさか、ゼルトが決闘を申し込んでくるとは思わなかった」

「皆やっているのを見て、我慢出来なくなってな。これでも俺は、ラインリッヒ様の護衛も務めている。そう簡単には行かないぞ」

 ゼルトの言葉に、ユウシアは小さく笑う。

「……初めて、自分の意思で決闘を受けることになるかな」

「その言葉を待っていた」

「ふっふっふ……僕は聞きましたよ」

「「!?」」

 どこからともなく現れたヴェルム。真面目に話していたユウシアとゼルトは、雰囲気をぶち壊した彼を恨みがましい目で見る。しかしヴェルムはそんなことはお構いなく、

「ヴェルム・フェルトリバーの名において、フェルトリバークラス、ユウシアと、同じくフェルトリバークラス、ゼルト・キャスターの決闘を認めます。丁度いい。明日は学校が休みなので、決闘は明日行いましょうか。場所や細かい時間は後で通知します」

「「分かりました」」

「では二人とも、休むことも忘れないでくださいね」

 そう言ってヴェルムは去っていく。ユウシアとゼルトもまた、互いに何言わず帰っていった。

 ユウシアにはもうちょっと戦ってもらいます。しかし、どうでもいいモブとの決闘は書きません。もう終わりました。

 なんで校内新聞に関して伝えるのがリリアナだったかって? いや、彼女は出せるところで出す方針なので。決闘は……やるならアヤですかね。あ、それいいかも。書けるときがあったら書こうかな。

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