殺伐とした空気
なろうのアプデで高機能執筆フォームが消えましたね。それで新しくなんか増えた。「」とか()とかも挿入出来るけど(スマホ勢)、普通に打ったほうが速いです。あらら。なんならルビ振りも基本今まで通りでいいです。あらららら。
ここ、王立ヴェルム騎士学校では、生徒達に広々と学んでもらうため――もとい、無駄に広い敷地の有効利用のため、各クラスに個別の建物が割り当てられている。
いくつか種類があるその中でも、一際豪華な建物こそ、フェルトリバークラスの建物だ。
「ふえー、すっごい。何でうちのクラスはこんなに豪華なんだろう?」
その建物を見て声を上げるアヤに、ユウシアが口を開く。
「多分、紙に書いてあったクラスランクが関係あるんじゃないかな。――とにかく、入ろう」
「あ、うん」
「えぇ。ふふっ、どんな方がいらっしゃるのか、楽しみですわね」
「あぁ。強い人はいるだろうか……」
四人は、これからの学園生活への期待を胸に、扉を開き――
「「「「…………」」」」
そっと閉める。
「……ねぇ。凄い殺伐としてなかった?」
「うん。皆席に座って、黙りこくってるだけで……怖っ」
「それに、空気も張り詰めていたな……」
「おかしいですわね……。ヴェルム様のお話では、皆仲良く過ごしている、とのことでしたのに……」
と、そんなことを話していたところに、中から扉が開かれる。
そちらに目を向けるユウシア達。現れたのは、入学試験のときから何かと突っかかってくる、金髪ツインテールの少女、リリアナ・マクロード。心なしか、目が潤んでいる。
「よかったぁ……来てくれてよかったぁ……もう無理、もうこんな空気堪えられないもん……」
ホッと息を吐くリリアナに、ユウシアは全く関係のないことを。
「あれ、リリアナもこのクラスだったんだ」
「あれ、そっち? そっちなの? ……まぁいいわ。当然でしょ! このあたしが、Sランククラスに配属されないはすがないじゃない! ……でも、そのせいで息苦しい思いをすることに……うぅ……」
「……そういえば、リリアナも点数高かったんだよな。魔法も凄いの使ってたし……アヤがこっち来れるんだから、当然か」
「ねぇねぇユウ君、今さり気なくあたしのこと馬鹿にしなかった? 気のせい? 気のせいなの?」
気のせいではない。もっと言うと、ユウシアには“さり気なく”馬鹿にしたつもりもなかった。普通に馬鹿にしてた。
閑話休題。
息苦しい思いに関しては諦めたのか、リリアナは開き直って(ない)胸を張る。
「そうよ! あなたの前だと霞んじゃうけど、あたしだって成績優秀者なの! ……そういえば、今までは気にしてこなかったけど、あなたの周りにも凄いの揃ってるわよね。そこの子……えっと、アヤ、さん? は、凄い集中力が必要な魔法を使いこなしてたし、他の二人なんて王女さ」
と、そこまで言ったところで、ピシリと動きを止めるリリアナ。
何故だろう、と一瞬思ったユウシアだったが、最近、こんな反応をする人を見たのを思い出した。
ユウシアは、リルに耳打ちする。
「ねぇ、何で、侯爵家の人って、周りをあまり見ないんだろう」
「……そういえば、前にもこんな方がいましたわね。えぇと、ラ、ラ、ライン……なんとか、さん?」
「ラインリッヒ。あんな面白いキャラしてたのにさすがにそれは可哀想だから、覚えてあげて」
「男性など、ユウシア様さえいれば十分なのです」
父親や兄はいいのか。
とユウシアが思ったところで、硬直していたリリアナが動き出す。
「お、おおおおお、王女様!? な、何でそんな方が、ユウシア――あれ、ユウシアって呼んでもいいわよね?」
「いいけど」
「よかった。ありがと。――何でそんな方が、ユウシアと一緒にいるの!?」
中々面白い子だ。ラインリッヒ? 誰それ。
「……そういえば、こういうときなんて言うべきか、考えてなかったな」
「え? 敬語はいいの? 相手王女様……」
「そうでしたわね……どうしましょう?」
「あ、いいんですか。……っていうか、無視……」
「本当のこと言う訳にもいかないしなぁ……」
リリアナは完全に無視して考え込む二人。落ち込むリリアナを、ユウシアのフードから飛び立ったハクが慰める。
「くすっ……ありがとう、ドラゴンちゃん……」
「ぴぃっ!」
「うふふ……可愛いわね……」
すっかり虜になってしまったようだ。
「……あたし達、すっかり空気だねぇ」
「そうだな。……私はな、実は中で皆が待っているのではないかと思えて仕方がないんだ」
「あ、それあたしも何となく思ってた。……さっきチラッと見えた限りだと、あの貴族さん……えっと、ライン、ライン……ラインイッヒ? さんもいた気がしたんだけど」
「……ラインクッヒではなかったか?」
「何でラインの後がどっちも笑い声みたいになってるのさ。気持ち悪いし。ラインリッヒだから、覚えてあげようよ……」
ラインリッヒの名前で悩む二人に、ユウシアが声をかける。どうやら話は終わったようだ。
「あ、どうするか決まったの?」
「いや、全く」
「あれ」
違った。
「……じゃあ、何でそんな終わった感じに……」
「いや、試しにリリアナに本当のこと言ってみたんだけどさ」
「何で!?」
「……何でだろう? いや、リルの提案なんだけどさ。ともかく、そしたら、あんな風になっちゃって……」
そう言って後ろを指差すユウシア。そちらを見ると、ハクを抱えたまま硬直するリリアナが。リルがツンツンと突っついているが、ピクリとも動かない。
「……まぁ、そうなるよねぇ」
「と言うか、今更だけど、何でリルはいきなりリリアナに言おうだなんて言い出したんだろう?」
首を傾げるユウシアに、フィルが答える。
「マクロード家は、侯爵家なだけあって有力な貴族だが、確か子供はリリアナ一人だけで、息子がいないんだ。だから、姉上の結婚相手がどうのという話とは関係ない。それに、彼女の父親、マクロード家の現当主であるラムル・マクロードは父上と仲がいいらしくてな。姉上の結婚に関しても、父上と同じく姉上の意思を尊重したいと言っていたらしい。ならば、その娘であるリリアナになら話しても大丈夫だと考えたのだろう。もしも父親に漏れても姉上が祝福されるだけだろうし、それに――」
と、フィルはそこで一旦言葉を切ると、どこか悪そうな笑みを浮かべて、
「――もしも秘匿されている姉上とユウシアの婚約について外部に漏らしたりしたら、彼女の家がどうなるか……」
その言葉に、ユウシアとアヤは思わず身震いする。怖い怖い。
フィルは、二人に「そんな顔をするな」と声をかけると、表情を普通の笑顔に変えて言う。
「それに、単純にリリアナなら信用出来ると思ったのかもしれん。見ていても、悪い人ではなさそうだしな」
「……まぁ確かに、良くも悪くも、嘘なんかは付けないタイプだろうけど」
フィルの言葉に、そんなことを言って頷くユウシア。アヤも同意のようで、うんうんと頷いている。
「――って、こんなところで話ししてないで、入ろうよ」
思い出したように手を叩くユウシア。それで、固まっていたリリアナも現実に復帰する。
「あっ、そっ、そうね! 入りましょう! 多分もうすぐ先生も来ると思うから、遅れないようにね! 初日から遅刻だなんて、シャレにならないわ!」
そう言いながら、リリアナは扉を開いた。
やべぇリリアナマジ楽しい。この前も言ったけど。この子出てくるとすげぇ筆が進む。好き。もう好き。
……え? ラインリッヒ? 知らない子ですねぇ。
Q:リリアナのお父さんと国王が仲いいなら、リリアナとリルやフィルって面識あるんじゃないの? 何で気付かなかったの?
A:あります。でも、最後に会ったのは大分前だった上、ほとんど話したこともありませんでした。それにリリアナは、勝手にライバル視しているユウシアしか見てなかったので、王女姉妹には気が付かなかったのです。という後付けの理由。
Q:リリアナルートは?
A:ないです。でも、書きたいです。ルート変更はありですか?
A':なしです。
Q:ラインウッヒは?
A:イジられ役です。是非名前を覚えてやって下さい。ラインヒッヒ君。
Q:何でいきなりQ&Aなんか始めたの?
A:なんとなく。気が向いたらまたやる。質問? 一人寂しく考える。