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“元”暗殺者の転生譚!  作者: 浅野陽翔
武闘大会(デカい方)
215/217

ネタバラシ

 また二週間開いてしまった……一気に書ける時と書けない時の差……。


 ところで前回書くのを忘れてしまったんですが、前々回の内容を少し弄ってあります。簡単に言うと大会の日程変更についてなどを追加したんですけど、ぶっちゃけわざわざ確認する程のことでもないと思います。変わってるのは最初の部分だけなので、気になる方はチラッと。

「それで、聞きたいことというのは?」


 食堂を出てすぐ、外で食事を取れるように用意されたスペースに、ユウシアとニアはいた。


「なんとなく予想は付いてるんじゃない?」

「まぁ、付いてはいますけど……間違ってたら嫌なので」

「あまり余計なことは話したくないものね」

「……そんなところです」


 分かるわ、と言って小さく笑うニア。


「実は……って前置きする程のことじゃないのだけど、単純に、今日の試合の最後、どうやって私の攻撃から逃れたのか気になったのよ。試合の後、あなたは確実に取ったはずの右腕も無事だったようだし。……どう? 予想通りだったでしょう?」

「……そうですね。予想通りです。さっき、手の内を、と言っていた時点で半ば確信はありましたけど」

「……あら。そんなこと言ってたかしら」

「言ってましたよ。……そもそも、他人にというか対戦相手に知られるのも嫌なんですけど……まぁいいか」

「……すんなり教えてくれるのね。私の方は予想外だったわ」

「早く戻りたいんで、いいですか」

「あ、ごめんなさい」


 ユウシアのジト目に、ニアは口元に手を当てて申し訳なさそう……な雰囲気は全くないが、とりあえず謝る。

 その誠意ゼロの謝罪には特に反応することなく、ユウシアは話し始めた。


「改めてネタバラシする程のことでもないと思うんですけど、まぁ一言で言うとスキルですね」

「……あぁ、なるほど……スキルのおかげで、みたいなのは久しぶりに聞くわね」

「普段はスキルがあるからどうこう、ということはそうありませんからね。使ったスキルは【隠密】と【偽装】。両方ともおおよそ名前通りのスキルですけど、今回の肝は【偽装】ですね」

「……まさか、自分の姿を偽装――作り出したというの?」

「その通りです。攻撃を受ける直前、言ってしまえば分身体を作り、俺自身は【隠密】を使ってニアさんの意識の外に逃れました。あれだけの高速の動きに、意識の全ては付いてこれていなかったんでしょうね」

「間違いなく、腕を切った手応えがあったのに……」

「それについては痛いところで……実を言うと、攻撃自体は当たっていました。完璧に避けたつもりだったんですけどね。あの速さは予想以上でした。腕を切り落とされるまではギリギリ行きませんでしたけど、その寸前、本当に皮一枚で繋がってるような状態でしたよ……」


 ユウシアは、その時の痛みを思い出したように表情を歪めながら自分の右腕に触れる。


「ただ、さすがに腕が取れかけの中あれだけの精密な分身体を維持することは出来ないし、もしかしたら最後仕留めきれない可能性もありましたから、傷は治させてもらいましたけど」

「……なるほど、それで最後は無傷だったのね。謎が解けたわ」

「それはよかったです。戻っていいですか?」

「あなたね……少しは会話を楽しもうとは思わないの?」

「思わないこともないですけど、あまり遅くなると彼女が拗ねちゃうので」

「聡明と名高いリル王女にも可愛らしいところがあるのね」

「可愛らしいところだらけですよ。……そういう訳なので、俺はこの辺で失礼します」

「あら、レディを一人放置するつもり?」

「……お手をどうぞ、お嬢様」

「ふふ、ありがとう」


 面倒そうな表情のユウシアと、楽しそうに笑うニア。二人は腕を組んで食堂へと戻って行った。……戻って来た二人を見てリルが結局拗ねていたが、ユウシア的にはそんな表情も可愛いのでアリだった。


++++++++++


 翌朝。

 各国の代表達を見送るため、ユウシア達ジルタ王国代表は騎士学校の正門へとやって来ていた。代表達はここから王都ジルティスの東西南北門いずれかを通り出立することになる。


「今回は一方的にやられたが、次はああは行かんぞ」


 ジェノスがユウシアに声をかける。


「来年だ。来年の武闘大会、俺はそこで貴様に勝つ。首を洗って待っているといい」

「……もっと鍛えれば、もっと伸びると思うよ、お前は。素質はある。王子だから、公務だなんだで時間が足りていないだけだろう。……そうだな、次は全力を出させてくれ」

「フン。あまり調子に乗っていると、足元をすくわれるぞ」

「なら、俺が余裕を持てない程に強くなって来ればいい。せいぜい期待してるよ」


 ジェノスは面白くなさそうに鼻を鳴らすと、軽く手を振って立ち去ってしまう。


「随分打ち解けたみたいね」

「……盗み聞きですか。趣味が悪いですね」


 次に声をかけてきたのはニアだ。どうやらジェノスとの話が終わるのを待っていたらしい。しかし、そんな風に気を使うことが出来ない人もいて、


「面白そうなのが集まってんじゃねぇか」

「あー……まぁ来るよなぁ」


 そこにグラドまでやって来て、ユウシアは思わずため息を吐いてしまう。


「今回はしてやられたからな。来年はてめぇら二人ともぶっ潰す」

「あら。受けてあげたいところだし、私もユウシア君にリベンジしたいところだけど、あいにく私は五年だから、今年で最後よ」

「……チッ、そういやそうだったな。ならいい、来年はユウシア、てめぇだ」

「今日はよくリベンジ宣言される日だな……いや、上等だ。来年を楽しみにしておくよ」

「それなら私は、また機会があれば、といったところかしら? ユウシア君、その時はきっと、私に手の内を明かしたことを後悔することになるわよ」

「手札はまだまだありますから、問題ありませんよ。それにその頃には、俺ももっと強くなってる。強くなりますから」

「面白ぇこと言うじゃねぇか。ますます来年が楽しみだ」

「ふふっ、私も差を広げられないように頑張らないとね。また会えるのを楽しみにしてるわ。……さて、私はそろそろ行くわ。それじゃあね」

「……えぇ、また会いましょう」


 そろそろ行かなければ、と手を振るニアに、ユウシアも手を振り返す。


「俺以外の奴に負けんじゃねぇぞ」

「お前にも負けないよ」

「言ってくれるじゃねぇか。……さっさと戻って鍛えるとするか……」

「また来年だな」


 ニアの後を追うように、グラドも自国の馬車へ向かう。


「……ああは言ったものの……これは、俺もうかうかしてられないな」


 順に学校を出ていく馬車。そこに乗っているライバル達の顔を思い浮かべながら、ユウシアは小さく呟いた。

 やっとのことで第七章は終了になります。話数はいつも通りおよそ三十話。毎日投稿すれば一ヶ月、もう一作と交互に投稿しても二ヶ月で終わる量なんですけど……一年以上かかってますね……自分の執筆の遅さが怖い。が、頑張ります……っていつも言ってる気がする……。

 第六章は新登場のキャラがいなかったので幕間もなかったんですけど、今章はガッツリいますね。十人以上。多いな。

 という訳で次回は登場人物紹介とネタがあればおまけ。その次回から第八章開始です。第八章はまた今までとは毛色の違った話になる……かも?

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