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“元”暗殺者の転生譚!  作者: 浅野陽翔
武闘大会(デカい方)
214/217

パーティー

 もう大晦日ですよ。早いですね。そして私の更新も急に早いです。昨日もう一作の方を更新したばかり。……いや、前はこれが普通だったんですけども……。年明けは書く時間取れるかなぁ。

 ユウシアがニア、グラドの両方に勝利したことで、五国間学生武闘大会の優勝は、ジルタ王国に決定した。その後にアルトゥス共和国、ディオネス帝国、クレイド王国と続き、大事件を引き起こしたレーラン教国は途中棄権という形になる。

 そして表彰式、閉会式を終え、夜。大会が始まる前に選手達の顔合わせをしたのと同じ学園内の食堂で、選手のみならず各国の貴族達も参加するパーティーが行われている。

 勝った選手にとっては祝勝会、また負けた選手にとっても打ち上げとなるこのパーティーだが、国を代表するだけの強い力を持つ、つまり将来騎士や戦士として有望な学生と、同じく国を代表してこのパーティーに参加出来る程の権力を持つ貴族が集まるこの場所では、当然ではあるが貴族によるスカウト行為が行われる。というか、参加している貴族のほぼ全員と、一部の選手達の目的はそれだと言ってもいいだろう。

 何せ、貴族にとっては国に縛られない、お抱えの強い戦力を予約出来る場であり、選手にとっては声をかけられれば将来の成功が約束される場なのだ。このパーティーがきっかけで一貴族に仕えることになった者も少なくない。

 だが――今年は少し、今までとは様子が違った。

 今年の大会で特に目立ったのは、言わずもがな、ユウシア、ニア、グラドの三人だ。

 だが、グラドに関しては、言ってしまえば扱いづらいことが目に見えているので、声をかける貴族は一人としていない。これは去年までもそうだった。

 また、ニアについても、例年声をかける貴族が尽く断られており、彼女をスカウトすることは出来ないというのが暗黙の了解のようになっていた。今回声をかけているのは、今までこのパーティーに参加していなかった者くらいだし、彼らも当然のように断られている。

 となれば、残るユウシアのもとに貴族が集まるかと言われれば――そんなこともなかった。というのも。


「ユウシア様、こちらなどいかがでしょう。わたくしが作った訳ではありませんが、試食させて頂いたときに参考にしたいと思えるほど美味しかったですわ」

「ありがとう。……うん、確かに美味しい。でも俺はやっぱりリルの料理が食べたいな」

「ユウシア様ったら……仕方ありませんね。ええと、こちらと、こちらと……はい、あーん」

「あーん」

「……相変わらず、よく飽きないな、二人とも。というか、隠すのではなかったか……?」


 当のユウシアはずっとリルとイチャついているし、そんな二人にフィルが横から呆れた視線を向けている。そう、大国、ジルタ王国の第一、第二王女が、である。

 二人とも王位継承権が高い訳ではないが、国王への、そして国への影響力は言わずもがなだ。そんな二人を無視してユウシアに声をかけることなど当然出来ないし、そもそも下手に彼女達の前に出て粗相でもしようものなら……考えるだけで恐ろしい話だ。

 そんな訳でユウシアに声をかける貴族も現れず、今大会出場者のトップスリーのもとに貴族がほぼいないという、異例の事態になっていた。

 ちなみに、他の選手のところにはちらほらと貴族の姿が見えるので、言い方は悪いが妥協してそちらへ行った貴族もいるのだろう。


「お父様曰く、公表する訳ではないが、ある程度関係を見せておけば縁談の話も減るだろうと陛下が仰っていた、とのことです」


 と、フィルの疑問に答えたのはリリアナだ。彼女も侯爵令嬢であり、有力貴族である、というこのパーティーの参加資格を満たしている。

 ちなみに、選手でも貴族でもないアヤは残念ながら留守番である。ハクと一緒に。色々と文句を言っていたが、こればかりは仕方のないことだろう。


「縁談か……確かに、私のところにも時々来ているな。私でこれなら姉上は更に多いだろうし……噂程度にでも流れれば縁談を減らすことも出来るか」


 と、納得したように頷くフィル。

 ユウシア達も当然その話は聞いていて、だからこそ今までは必ずしていた【偽装】を今は使っていないのだ。


「……それにしても、いつ終わるんでしょう、これは」

「さぁな。二人の気が済むまでだろう。口の中が甘ったるくて仕方がないので早く終わりにしてほしいが」

「そうですね。そのせいでさっきから味の濃いものばかり取っちゃってます。太っちゃったらどうしよう……」

「トレーニングなら付き合うぞ」

「……お、お手柔らかにお願いします……」


 なんて、ユウシアとリルがイチャついている傍らで話す二人。その声にはどこか元気がない。


「少しよろしいですか?」


 ――と、二人きりの空間を形成しているユウシア達に声をかける猛者が現れる。


「あれ、ニアさん。どうしたんですか?」


 一瞬前までリルにデレデレしていたとは思えない表情と声でユウシアが答える。


「切り替え早いわね……」


 横から何か聞こえたが無視である。


「いえ、今日の試合について少し聞きたいことが、ね。お邪魔して悪いと思ったのだけど、中々終わらなそうだし……パーティーが終わってから個人的に訪ねる方がよくないでしょう? という訳で、少し彼をお借りしてもよろしいでしょうか。リル王女殿下」

「もちろんですわ。わたくしにユウシア様の行動を縛る権利はありませんから」

「ありがとうございます。――それじゃあユウシア君。そうね……少し外で風に当たりながら話しましょうか。あまり手の内を人に知られたくもないでしょうし」

「分かりました」


 頷いたユウシアは、ニアについて歩き始めた。


「……姉上、初めて偽装をせずに堂々と人前でイチャついた感想は?」

「は……恥ずかしくて、仕方がないです……」

 それでは皆さん、よいお年を。

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