表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
“元”暗殺者の転生譚!  作者: 浅野陽翔
修学旅行? いいえ、ただの地獄です。
180/217

押し付け

 お久しぶりです。短いです。

 当然のように美味しかったリルの料理を食べた、その翌日。


「食料を確保出来たのはいいけど、ずっと肉オンリーは辛いよなぁ……」

「そうですわね……昨日はわたくし達が採ってきた野草で付け合せを作りましたが、もう残っていませんし、いつもそう都合よく見つかるとも限りません」


 ユウシアとリルは、今後の食事についての相談をしていた。……テントの中で、暖まりながら。


(……これ、ここに来た意味ない? ……まぁいいや)


 環境に適応するためにわざわざ雪山にまでやって来たはずなのに、こんなぬっくぬくしていていいのだろうか――いや、きっといいのだろう。と、ユウシアは自己完結した。


「んー……ちゃんとした生息地でも見つかればいいんだけど、少し厳しいか?」

「昨日見つけたものも全てバラバラの場所にありましたから……このような過酷な場所にあるとは思えませんわ」

「……バランスの取れた食事って、いいものだったんだな」

「あの、まだ達観するには早くないですか……?」


 早い。


「まぁいいや、なんとかなるでしょ」

「いや、思考放棄も早くありません……?」


 早い。とても。


「よーし、暇だし遊ぼっかなー」

「切り替えもはっやーい……」


 はっやーい。とても、とっても。


「まぁ、冗談はさておくとして……皆に混ざるとしようか?」

「皆様に、ですか? そういえば、皆様は何をしていらっしゃるのです?」

「ん、あぁ、先生が話す前に連れてきちゃったから、分かんないか。ほら、ここに来た第一目標は、過酷な環境に慣れるためなんだけどさ、流石にずっとサバイバル生活だけしてればいいって訳でもないんだ。俺達は、騎士になるために、なった時のためにこうしてここに来ている。と、いう訳で、まずはマッピングをするんだそうだ」

「マッピング……ですか?」

「そう。魔の森でフィルや先輩にもした話だけど、やっぱり地形の把握っていうのは大事だ。俺や二人みたいに覚えるだけでもいいけど、地図という目に見える形に直せば、その場にいる人はもちろん、そこに来たことのない人にもそこがどんな場所かが伝わる。それに、複数人で作ることで情報のすり合わせも出来るし、その人数分だけ視野も広がることになる。以上が俺の思うマッピングの利点。これこそ、人によって感じ方、考え方も違うけどな。……あと、ここでそれをやる利点としては、単純に足場の悪い中探索する練習っていうのもあるかな。まぁ、それは昨日の食材探しも同じだったけど」

「ユウシア様……既に大凡把握しているのですか?」

「ん? この修学旅行の内容について? それだったら昨日先生に大体説明されたから。最終日の予定まで、事細かに。……多分あの人、面倒な雑務は俺に押し付けてサボるつもりなんだろうなぁ。まぁ、そうはさせないけど」


 ユウシア、悪そうにニヤリと笑う。……実際、昨日説明された段階で今日の監督役を押し付けられそうになったのだが、「リルと食糧事情について話したいから」と断ったのだ。いつの間にか食事全般の担当になっていたリルである。


「さて、それじゃあ俺は……えっと、逃げ切れなかった山頂部のマッピングに……」

「……それだけは、押し付けられてしまったのですね……」

「あはは……」


 どこか乾いた笑いを漏らすユウシアであった。

 あっついんだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他の作品はこちら

どこかゆる〜い異世界転移ファンタジー!
ぼっちが転移で自由人。

一目惚れ合いから始まる学園ラブコメ!
ひとめぼれ×ひとめぼれ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ