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“元”暗殺者の転生譚!  作者: 浅野陽翔
オーブ集めの旅へ
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取り調べ

 前回よりも投稿ギリギリなんすけど……。

 あ、ユウシアの口調を少し変えました。だってアヤと似てるんだもん。

 ユウシアがあっさりと捕まってから十分程。

 街門の脇にある衛兵用の詰め所でどこか遠い目をしている彼のもとに、取り調べのためか二人の人が現れる。

 片方は、ユウシアを捕えた衛兵だ。そしてもう片方。

(女の人……? っていうか、この鎧、騎士、だよな……?)

 ユウシアが考えた通り、今目の前に座ったのは、女性騎士だ。

 肩程までの長さの赤い髪を緩く纏め、同じく真紅の鎧に身を包んでいる。惜しげもなく晒された顔は、少し攻撃的な印象を受けるもののとても美しい。

 その騎士は、隣の衛兵を見ると、小声で問いかける。

「彼が、暗殺者の職業を?」

「はい。間違いありません」

 それにこちらも小声で返す衛兵だが、ユウシアにはバッチリ聞こえている。

(どうしましょこれ……)

 気づかれないようにため息を吐くユウシア。

「はじめまして。私はフィル。ジルタ王国騎士団に所属している」

「はぁ……どうも」

 ユウシアが気の抜けた返事をした直後、彼とフィルと名乗った女性騎士の間にある机がバンッ! と叩かれる。

「貴様ッ! 自分の立場が分かっていないのかッ!!」

「落ち着け、ガルド。私のような女性に騎士だと言われても、戸惑うのは当然だろう」

 叩いたのは、フィルにガルドと呼ばれた衛兵だ。

 ガルドはフィルに窘められ、渋々といった感じで引き下がる。

「……さて。ユウシア、だったかな。君は何故こんな状況になっているのか、理解しているね?」

「……職業、ですよね?」

「そうだ。君の職業が暗殺者になっているのは間違いないね?」

「不本意ながら」

 フィルに確認され頷くユウシア。否定する理由がない。

「ふむ……この街に訪れた目的は?」

「旅の途中、です」

「旅、か。何のための旅か聞いても?」

「言えません」

 発言を拒否したユウシアに再びガルドが眉を吊り上げるも、何かを言う前にフィルに抑えられる。

「第一王女殿下がこの街に来ているのは知っていると思うが、彼女の暗殺が目的ではないと?」

 いきなりの核心を突く質問に、ユウシアは冷静に答える。

「はい。そもそも、王女殿下がこの街にいる、ということ自体つい先程知りましたし、俺が自分の職業を知ったのも一週間程前のことです。それに、俺はこの職業を、魔獣専門の暗殺者である、と認識しています。実際、魔獣との戦闘時は、暗殺に近いやり方で戦っていましたから」

「ふむ……嘘をついているようには見えんな」

 ユウシアの言葉にそう呟きながら、フィルは顎に手を当てて考える。彼女の斜め後ろに控えるガルドは、未だにユウシアに鋭い目を向けているが。

「嘘ではありませんよ。もし俺の前に門を通った男性に話を聞けるようであれば、聞いてみて下さい。俺は、彼からこの街に王女殿下がいることを聞きましたから」

 そして、ユウシアのさりげない仕返し。面倒を他人に押しつける……というより、無駄に広げている。

「そうか。ではガルド、彼の言ったことを確認してきてくれ」

「しかし、それではフィル様お一人に……!」

「私は仮にも騎士だぞ? そう簡単に危険な目にあうと?」

「……確認、して参ります」

 部屋を出ていくガルド。ユウシアはそんな彼の言動に眉をひそめる。

「彼……ガルドさん、でしたか。やけに心配するんですね」

 そんなユウシアの言葉に、しかしフィルは何も言わず、苦笑するだけで答える。

「……実は、な。ガルドにも秘密にしていたが、私は今、とある魔導具アーティファクトを使用していたんだ」

魔導具アーティファクト、ですか?」

「そう。これだ」

 そう言ってフィルは、おもむろに籠手を外す。あらわになった白く美しい指に嵌められていたのは、彼女の髪と同じ赤色の宝石をあしらった指輪。

「これは……まぁ、簡単に言うと嘘発見器、のようなものだな」

「嘘発見器……? それって、つまり……」

「そう。君の疑いは既に晴れている、ということだよ」

「なら何でわざわざ……」

 ユウシアが首を傾げながら聞く。

「あぁ、ガルドのことか? 彼はこうでもしないと納得してくれなくてな」

「はぁ……」

 そんなユウシアの様子にフィルはクスクスと笑う。

「ガルドが戻ってくるまで暇だな……何か知りたいことはあるか? 私に答えられることであれば答えよう」

 フィルにそう言われ、ユウシアは気になっていたことを聞くことにした。

「じゃあ、アヤ――俺の後にいた女の子はどうなりました?」

「あぁ、彼女なら、君の同行者ということで、検査を受けずに別室で待機してもらっているよ」

「……あの、一つお願いしたいことがあるんですが……」

 フィルの言葉を聞いて、ユウシアは丁度いいとばかりにそう言う。

「お願いしたいこと? 言ってみてくれ」

「実は、彼女の検査をパスして欲しくて……彼女も俺と同じで、あまり人目につきたくないような職業なんです。あ、もちろん、何か悪巧みをしている訳ではありません。これは断言出来ます」

 フィルは指輪にチラ、と目を向けて答える。

「嘘はついていないようだな。分かった。彼女の検査はパスしよう」

「ありがとうございます」

 ユウシアが頭を下げる。

 と、その直後だった。部屋の扉が大きな音を立てて開く。

「何事だ!?」

 立ち上がるフィル。

 入ってきたガルドとは違う衛兵が、顔中に汗をかきながら口を開く。

「たっ、大変です! 南の方から――」

 しかし、最後まで言い切ることはなく。

 ドォォオオンッ!

 何かが落ちるような、そんな大きな音がした。

 さて、最後、何が起きたんでしょうね?

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