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気持ち悪い

 私に休みをください。あいうぉんとほりでぇ。

「――ユウシア、そろそろではないか?」

 ミスコンの出場を辞退し、店で仕事をしていたフィルが、クラスメイトでありこの後に行われるミスターコンに出場予定の少年に声をかける。

「あら、そうですね」

 それに答える、少……年?

「……ユウシア、何故そんな女みたいな喋り方を……」

「え? あっ! い、いや、ず、ずっと女性客の相手してたから移っちゃったのかもな! あはは……」

「……? まぁいいか。とにかく、そろそろ行った方がいいと思うぞ。ゼルトとラインハルトはもう上がっているからな。私も後で休憩を貰ったら見に行く」

「そ、そうか。じゃあわた――俺はこれで」

 あはは、と、引き攣った笑みを浮かべながら、ユウシア――に、変装しているラウラは、スタッフルームとなっている部屋へ向かうのだった。


++++++++++


「誰もいない、かな……?」

 ユウシア(本物)が、ラウラと合流するためスタッフルームに入る。

 扉を開ける前に軽く確認した通り、室内には誰もいないようだ。

「……ラウラ、ボロ出したりしてないかな……あれで意外とテンパりやすいからなぁ……」

 多分ギリギリ。

「まぁ、そこは信じるしかないか……」

 と、椅子に座って寛ぎながら呟くユウシア。

 と、そこへ。

「ん、誰か来た……この気配は……」

 ガチャ。

 扉を開けて入ってきたのは、執事服を着た、水色の髪の少年。その容姿はユウシアと瓜二つ、というか全く同じ。つまり、

「……お疲れ、ラウラ」

「へ? あっ、ユウさん!」

 パアッ、と花が咲くような笑顔を浮かべ、駆け寄ってくる――自分。

 ユウシアは普通に避けた。

「へぶっ」

 勢い余って壁に激突するラウラ。

「ちょっ、なんで避けるんですか!」

「自分の外見を思い出してから言ってほしい」

 そんなユウシアの言葉に、首を傾げながら鏡を見て――

「あ」

 気づいた。

「そりゃあさ、自分があんな風に笑ってハグを求めてきたら避けるよ」

「……なら、見た目を私に戻してください。やり直しましょう」

「この空気の中やりたい?」

「…………」

 ジト目を送るユウシア。ラウラはそっと目を逸らした。

「……まぁいいや。店の方は平気だった? ……ボロ出したりとか、してない?」

 その問いに、ラウラは胸を張り――

「だいじょ――うぶだと、思います!」

「うわぁ心配」

 説得力皆無である。

「にゃにおう! 私はこれでも女神ですよ!?」

「ごめんちょっと待って気持ち悪い。えっと……【偽装】」

 自分の顔、自分の声で、頬を膨らませてあんな口調で……普通に吐きそうだったので、【偽装】を使っていつものラウラの見た目に戻す。声は――諦めるしかない。

 と思っていたのだが、そこはラウラの方で直したらしい。よく聞きなれた声で、彼女は話す。

「……分かります。そうでしょう、それは、自分にあんなこと言われたら気持ち悪いに決まってますし、忘れていた私も悪いと思いますよ。……でも、ユウさん! ちょっとは考えてくださいよ! いきなり『気持ち悪い』とか言われた私の気持ちぃ!」

「あ、うん、それはごめん。でも、ちょっと堪えられなかった」

「うぅ……今日のユウさん冷たくないですか……?」

 そう言われて、はたと気づく。

「……あぁ、ごめん。多分、ミスターコンのことで――」

 と、そこで一度言葉を切るユウシア。ラウラは、緊張してるんでしょうか、可愛いところもありますね、なんて考えていたが――

「今更ながら、上手いこと口車に乗せられたことを考えると軽めに殺意が……」

「全然可愛くなかった!?」

 小さく震える手は、衝動を抑えてのことだったらしい。矛先? ヴェルム一択です。

「おーい、ユウシア、いつまで準備してるんだー。いい加減遅れてしまうぞー」

 と、部屋の外からかかるのはフィルの声。ユウシアが遅いので、様子を見に来たのだろう。

「今行くー」

 それにユウシアは短く返し、立ち上がる。

「それじゃあラウラ、また。お礼は必ずするから何か考えておいて」

「はい。無理難題押し付けてやりますから、期待しててください」

「……今朝も言った気がするけど、ホント、お手柔らかにお願いします……」

 ニッコリと笑うラウラに、ユウシアは頬を引き攣らせた。

 ミスターコンは多分一話で終わります。この格差。

 関係ないけど、ユウシア達はいつ卒業するんでしょうね。この作品学園モノじゃないんですが。卒業後のネタの方が浮かぶんですが。ざっくりだけど。

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