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ミスコン開幕

『さぁさ皆様お待ちかね! ミスコン開催です! 司会進行は、私、エルナ・セルアデスが行います! ミスターコンもです! え? 知ってた? そりゃまぁこういうの全部私ですもんね!』

 相も変わらずハイテンションなエルナの言葉で、学園祭二日目の目玉、ミス&ミスターコンテストが幕を上げる――


++++++++++


『出場者の紹介――は、面倒なので、目玉の子達だけ紹介したいと思います!』

 ズラッ、と、出場者が全員壇上に揃ったところで、エルナがそんなことを言い始める。

(そんなでいいのか司会……)

 観客席の一番前にしれっと居座っているユウシア。リルの晴れ舞台(?)見たさにラウラ(分身体)に店を任せ、自分は【偽装】で姿を変えてやって来たのだ。

『いいんです、皆知ってるから! 私がこういう性格だって!』

 そんな彼の呆れた視線に気が付いた訳でもないだろうが、エルナは開き直ったように胸を張る。

『……まぁ、前置きはここらにして。早速行きましょう、まず最初は! 昨年度優勝者の、イザベラ・フォルベーナです! 大本命!』

 その紹介に応えて、舞台の真ん中に立つ、絶世の美女という言葉が相応しい少女――イザベラが、ドレスの裾を摘まみ、微笑みながら優雅に一礼する。

 たったそれだけの動作で沸き立つ観客の男共。うるさい。

『さてさて続きまして……これまではずっと参加を断っていた彼女が! 待望の参戦です! シオン・アサギリ!』

 ユウシアにとってはよく見慣れた人であるシオンが、小さく会釈をするように目を伏せる。

「美しい」

「クール」

「踏まれてもいい。むしろ踏んでください」

 ……何やら、隣から変な声が聞こえた。そちらには、舞台を食い入るように見つめる三人の男の姿が。……実は、先程のイザベラのときも、彼らは何か言っていた。近くにいたユウシアでさえ、大歓声にかき消され聞き取ることが出来なかったが。

(とりあえず、最後の人は危ない。色んな意味で)

 そんなユウシアの考えは露知らず、エルナの紹介は続く。

『さてさて、ここからは怒濤の一年生祭りです! いやぁ、ユウシア君といい、今年の一年生は様々なジャンルで有望株ばかりで困っちゃいますよ! ――と、いう訳で最初は、皆のアイドル兼ムードメーカー! アヤ!』

「いぇいっ!」

 なんて言いながらブイサインを作るアヤに、

「天使」

「眩しい」

「笑いながら罵られたい」

 ……やはり、最後だけ危険度が違う。なんだこいつは、とつい思ってしまうユウシアである。

『まだまだ行きますよー! クールさならシオンさんにだって負けない! シェリア・リィル!』

「…………」

 無言で、どこか不服そうに頭を下げるシェリア。……こういうのに出るタイプには思えないのだが、一体どうしたのだろう。

(出なきゃいけない理由でもあったんだろうなぁ)

 後半は乗り気になっていたとはいえ、自分に取られた手口を思いだし、ユウシアは遠い目に。

「……俺はシェリアちゃんの方が……」

「はぁ? 普通シオンちゃんだろ!」

「冷たい目を向けてほしい」

「…………」

 ユウシアはもう何も考えないことにした。

『次! 皆のマスコット、ニーナ・フェンデル! 可愛い! うちで飼ってもいいですか!?』

「よ、よろしくお願いしますっ!」

「欲しい」

「愛でたい」

「純粋そうなニーナちゃんに汚物を見るような目で見られたい」

『はいっ! 微妙にツンデレになりきれてないお嬢様! リリアナ・マクロード!』

「誰がツンデレよっ!」

「ポンコツそうで可愛い」

「いいよな、お嬢様」

「口汚く罵って欲しい」

『ささ、次で最後の紹介です! 誰もが知ってる超有名人! 我らが姫様、リル・ヴィレント・ジルタ第一王女! 本気が伺える正装で登場です! なんだこれ! 超高そうなドレス! それを完璧に着こなしちゃうあたり流石としか言えませんね! ――ちなみに、妹のフィル様は参加を辞退されました!「私にこういうのは合わないからな」とのことです!』

「ふふっ……ご紹介ありがとうございます。皆様、今日は是非わたくしを見ていってくださいね」

「もう死んでもいい」

「めっちゃ分かる」

「あぁ……浄化される……」

(危なかった人を浄化した! 流石リル!)

 と、そんな意思を込めた眼差しでリルを見ていると、ふとこちらを見た彼女と目が合う。リルは一瞬目を丸くしたあと、小さく微笑む。

(バレてるよねこれ)

 変装――というか【偽装】は完璧だったはずなのだが、何故かリルには通じなかったらしい。今もニコニコとこちらを見ている。

(やっぱり可愛――あれ、なんだろう、急に背筋が冷たく……ひっ!)

 リルの目が、こう言っていた。

「店を放ったらかして、何をしているのですか?」

 と。

 とびっきり冷たく。

 とりあえずユウシアは、違うよ、と首を振っておくことにした。何が違うのかは、本人にも分からない。

『あれ、なんかフェルトリバークラスの子多いような……学園長、牢屋に放り込んだほうがいいですかね』

 エルナがボソッと言っていた気がするが、気にしないことにした。

 ――ともあれ、ミスコンテスト、開幕だ。

 なんで始まるだけで一話使ったの? バカなの? ねぇバカなの? 尺どんだけ使う気なの?

 ……「あれ? イラストないと大して需要なくね?」と思ったのは内緒。

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