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駆け巡れ

 そういえばもうGW後半なんですね。めっちゃ暇なんすけど。その分全部執筆に費やそうかなぁ……珍しく。

 同じ手が通じるとは思っていない――それは確かだが、とはいえユウシアが得意とするのはやはり隠行だ。だからまず手始めに、【隠密】で気配を絶つ――が。

「そこ!」

「ッ!?」

 ハイドは、ユウシアがいる場所に確実に剣を振るう。

「……言ったはずだ。同じ手は通じんと」

「そういう次元じゃない気がするんですけど……」

 【隠密】スキル。【第六感】がなければ破れないはずなのだが、ポンポン破られている気がするユウシアである。

(しかし、となると……確か前戦った時は【隠密】と【毒生成】を使ったはずだから……あ、まだまだあるじゃん。それに、【隠密】も【偽装】と組み合わせればまだどうとでもなるだろうし、【毒生成】と言っても使ったのは麻痺毒だけだったはずだし……うん、なんだ、問題ないや)

 大した問題ではなかったらしい。

(あとはそうだな。〔殲滅ノ大剣〕も一瞬しかみせてないし、〔蹂躙ノ光刃〕も――あ、でも、一応さっきの先生との戦いで見られてるのかな……? まぁいいか)

 言ってしまえば、ただ破壊力がバカみたいに高いだけの大剣と空飛ぶ剣だ。対処も何もあったものではないだろう。

 そこまでの思考を一瞬で終わらせたユウシア。そんな彼に向け、ハイドが声を上げる。

「次はこちらから行くぞ!」

 双大剣を手に走り込んでくるハイド。その当たれば一溜まりもない猛攻を、ユウシアは紙一重で躱し続ける。【完全予測】の成せる技だ。

 だが――

(避けてばかりじゃ埒が明かない……けど、クソ、こっちの攻撃も当たらない……!)

 そう。相手の攻撃の合間を縫ってユウシアも攻撃しているのだが、その攻撃が全くもって当たらないのだ。

(なら……!)

「〔蹂躙ノ光刃〕!」

 当たらないのなら、手数を増やせばいい。そう言わんがばかりに光刃をハイドの周囲に出現させ、そちらの対処に意識を割き始めた彼に今度はユウシアが猛攻を仕掛ける。攻守交代だ。

「ちぃっ、面倒な!」

 思わず悪態をつくハイド。しかし状況は変わらない。変わらない、のだが――

「これでも、まだ当たりませんか!」

 ハイドの体には未だ傷一つついていない。自らを襲う無数の剣を、全て躱すか弾くかしているのだ。

「あまり、騎士を舐めるなッ!!」

 左の剣で光刃を遠くまで弾き飛ばし、右の剣でユウシアの持つ短剣を大きく弾いて体勢を崩させたハイドが、ユウシアの懐に潜り込む。

(大剣でこの間合いは不利じゃ……ッ!)

 そう、考える間もなく。ハイドに、大剣の柄頭で顎を思いきり殴られる。体勢の大きく崩れたユウシアに回避は出来ず、衝撃で脳を揺さぶられ、更に動きが制限される。

「ここッ!」

 ハイドは叫び、がら空きの体に思いきり双大剣を叩きつける――

「奔れ! ――駆け巡れ!」

 体が、動かずとも。

 口は、動く。

 口さえ動けば、状況をひっくり返す一手が打てる。即ち――〔蹂躙ノ光刃〕の、力の解放。

「う、おっ……!!」

 離れた位置に、少なくともハイドにはすぐには届かない位置にあったはずの光刃が、瞬間移動でもしたかのように、そこにあった。

 速度だけでなく威力をも増したそれは、たったの一つでハイドの大剣を易々と弾き飛ばし、残り全てが彼の首に切っ先を当てる。そしてユウシア自身もまた、丁度心臓のあたりに短剣を押し当て――

「俺の勝ち、ですね」

「っ……確かに、これが実戦だったら間違いなく俺の負け、か……だが、悪いな」

 ハイドは、ニヤリ、と笑うと、ユウシアの右手を掴み、捻り上げる。

っ……」

「俺は、もっと戦いたい!」

 思わず短剣を取り落としたユウシアを蹴り飛ばし、しゃがんで光刃の包囲から抜ける。

「審判!!」

『ひゃいっ!?』

 ハイドが張り上げた声に、実況兼審判のエルナが驚きの声を上げる。

「俺はまだ戦闘不能になった訳でもなければ、負けを認めてもいない! 続行して問題ないな!?」

『あ、はいっ! ええと、一応敗北の条件は「戦闘不能になるか負けを認めること」ですので、問題ありません!』

 その言葉に、ハイドはもう一度笑みを浮かべる。

「……全く……流石に横暴じゃないですか……? っていうか、なんで敗北条件に審判の判断を加えなかったんだ……」

『それは今思いました!』

「はぁっ……」

 思わずため息を吐くユウシア。不可抗力である。

「ふっ、条件をしっかり確認しなかったお前の詰めの甘さだろう」

「そういう問題じゃないような……まぁいいや。だったら、負けを認めざるを得ないくらいに叩きのめすだけです」

「ほう、気絶ではなく降参を……それも叩きのめすと来たか。大きく出たな」

「あなたは、例え気絶させられようとも負けを認めはしないでしょうからね。――〔殲滅ノ大剣〕」

 短剣は未だハイドの足元にあり、手を離れている以上能力を使用して取り返すことも不可能。その代わりにユウシアは大剣を産み出し、光刃を消す。

「……さぁ、やりましょうか。今度こそ・・・・、全力で」

 その言葉に、ハイドはただ不敵に笑い――

「あぁ、そうだな。……殺す気で、行かせてもらおう」

 ――そして、第二ラウンド、本当の戦いが始まる。

 多分次回の前半だけで決着着きます。今回でそこまで書いてもよかったとも思うんですけど、ほら、今これ書いてるときもう日回ってるんで……(知らない)。

 次回後半中途半端に残りそうなんだよなぁ……何書こうか。

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