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VSヴェルム

 お 待 た せ

『さぁさぁ早速行きましょう第一試合は! 武闘大会トップスリーの間でノリで決まったという対決! ユウシア・アラン・シオン・アヤVSヴェルム! やったれ皆! 学園長をボコせ!』

 開会式(?)後、試合の準備を完了すると、エルナがそんなことを。

「ちょっとぉ!?」

 思わず叫ぶヴェルム。毎度毎度のことだが、生徒からも教師からも扱いが酷い。

『ほらさっさとしてくださいよ。皆あなた待ちですよ』

「くぅっ……学園長なのに、学校で一番偉いのに……」

『はいはい。もういいですね? 準備はOKですね? じゃあ始めますよはい開始ー』

「ちょっ、まだ全然OKじゃなっ……」

 なんて言っているヴェルムは置いておいて。

 ユウシア達は、全力で突っ込む。

「君達もですかっ!?」

 ヴェルムが驚いている間に、ユウシア達は攻撃を仕掛ける。

 ユウシアは、早速〔殲滅ノ大剣〕を取り出し、全力で薙ぎ払う。

 が、ヴェルムはそれを跳んで難なく回避。

(っ……速い!)

 思わず目を丸くするユウシアだったが、これで終わりではない。

 続いてアランが、ユウシアに壊されて新しく作り直した、本数を倍に増やした飛剣で空中にいて身動きの取れないヴェルムを襲う。

「っと、容赦ないですね!」

 だがヴェルムはそれも、小言を言いながら飛剣を足場にして更に上空へ逃れてしまう。

「くっ、こんな避けられ方は初めてだ……!」

「先輩!」

 アランが歯ぎしりする中、ユウシアはシオンに声をかける。

「分かっています!」

 シオンはそう答えると、先程の攻撃の勢いそのまま振られるユウシアの大剣に足をかけると、思い切り跳び上がる。もちろん、ユウシア自身跳ぶ方向に力を加えた上で、だ。

「ちょっ、それありですか!?」

「ハァァアアアッ!」

 シオンが大上段から大太刀を振り下ろす。今度こそ避けようのないそれをヴェルムは、

「そいっ!」

「真剣白刃取り!?」

 見事に挟みとった。

「シオン先輩、避けて!〔アイス・レイン〕!」

 間髪入れずアヤの声が響く。それに素早く反応し、大太刀を捨てて離脱するシオン。同時に下に蹴り飛ばされ、落下するしかないヴェルムを棘状になった氷の雨が襲う。

「この程度!」

 言いながらヴェルムはなんと、シオンの大太刀で自分に当たる分を全て弾いてしまう。

「うっそ!?」

 アヤが驚きの声を上げるが、攻撃の手が緩むことはない。

 次はユウシアが、ヴェルムの行動にヒントを得て、〔蹂躙ノ光刃〕を足場に彼の下に潜り込む。

 そのままユウシアはヴェルムに下から短剣を突き立て――るが、ヴェルムは体を捻って回避。しかしユウシアはすれ違いざまにシオンの大太刀をかすめ取る。

 そして今度は、重力に身を任せヴェルムの腹に思い切りドロップキック。

「ぐふっ!」

 流石にここまで来るとどうしようもなかったのか、ここで初ヒット。

 ヴェルムの上に乗ったままユウシアが振るう大太刀を、しかしヴェルムはどこから取り出したのか直剣で防ぐ。

「チッ……アヤ!」

 ユウシアはそれに軽く舌打ちしつつ、アヤに声をかける。

「任せて!『風よ、開放せよ』!〔エアロ・ボム〕!」

「っ、もうそこまで省略しますか!」

 限界まで省略した詠唱でユウシアとヴェルムの間に放たれた魔法は、直前に跳んでいたユウシアを更に上に押し上げ、ヴェルムを地面に思い切り叩きつける。

「かはっ!」

 これには堪らず声を上げるヴェルム。

「〔殲滅ノ大剣〕! 滅す――齎せ!」

 力を引き出す起句を二つ連続で口にし、落下してきたユウシアは破壊の嵐を纏う大剣をヴェルム目掛け叩きつける。

「ちょっ、だからそれはマズいやつ……!」

 ヴェルムは汗を浮かべながら叫び――

 轟音、そして爆風。

 視界は完全に土煙に包まれ何も見えない。が――

「まだだ!」

 その中心からユウシアの声が届く。

「あれで、まだ……!?」

「これ程の攻撃を防いだというのですか……」

「とにかく、増援に行かないと!」

 アヤの言葉に頷き合い、三人は土煙の中心へと向かう。しかし、そこには――

「……流石です」

 膝をつくユウシアと、そんな彼の首に直剣を当てるヴェルムの姿があった。

「いやぁ……生徒にこう追い詰められると、少し自信を失いますね」

「よくもまぁそんなことを……全然全力出してなかった癖に」

「あれ、バレてました? でもまぁ、それはユウシアさんもでしょう?」

 ヴェルムの言葉に、ユウシアは小さく息を吐いて答える。

『……な、何があったのかはよく分かりませんが、ユウシア君は敗北ということになります! 早くも――かどうかは微妙ですが、一人脱落です!』

「あらら」

 エルナの言葉に、あまり残念ではなさそうに言うユウシア。残る三人に「頑張ってください」と残し、邪魔にならないように移動してしまう。

「さて……あんなことを言われてしまいましたし、少し本気を出してみますかね」

 そう言うヴェルムの背後には、アヤが得意とする〔ブレイド・ダンス〕が、彼女とは比べ物にならない程多く並んでいた。

「無理だこれ」

 アヤは思わず呟いた。

 ヴェルムさん本当はめちゃくちゃ強いんですよってお話でした。


 更新情報、っていうか休載情報とかあとどうでもいいこととかポロッと漏らすと思うんで、ツイッター、どうぞ。

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