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“元”暗殺者の転生譚!  作者: 浅野陽翔
夏休み、帰郷
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高圧電流

 久しぶりにちゃんと戦闘した気がする……。

「ッ……さすがにこれは多すぎるだろ……! リル、魔法は!?」

「魔力がもう残り少なくて……! 集めるのに少し時間がかかります!」

 敵の真っ只中。ユウシアは後ろから聞こえたその言葉に、思わず舌打ちする。

 魔法を使うには魔力が必要だ。潤沢にある間は簡単に集められるそれだが、減れば減る程、集めるのに時間がかかってしまう。コップ一杯に水を注ぐのに、水滴を使っているのに等しい行為なのだ。

「大剣が使えばまだし、もッ!」

 横から飛んできた爪撃を、短剣で無理やり弾き返す。

「短剣でこの数はいくらなんでも……!」

 辛い、などというものではない。短剣など、相手の懐に潜り込んで、一体を相手にするのがせいぜいなのだ。どれだけ早く倒そうとも、これだけの――百体を優に超える数の魔獣をその場に留めておくのが、どれ程大変なことか。当然殲滅な不可能。全てはリルの魔法頼みなのだ。

「ッ!」

 後ろに回り込んでいた魔獣が噛みついてくるのを躱し、すれ違いざまに首を掻き切り、絶命させる。連携、仲間意識、そんなものは全くなく、たった今物言わぬ死体となったその魔獣を踏みつけ、別の魔獣が襲いかかる。人型のそれが振るう腕をしゃがむようにして躱し、脚の腱を断ち切る。立てずにもがくそいつの頭に足裏に仕込んでいた刃を突き立てながら、それを踏み台に【集中強化】により強化された脚力で跳び上がり、同じ要領で空中にいる鳥型の魔獣の頭を貫いていく。

「ここからなら……!」

 最後の一羽を絶命させると共に、一際高く跳び上がったユウシアは、即効性の致死毒を塗りたくった無数のナイフを眼下の魔獣達に向かって投げつける。そのナイフは確実に、更には全てが別の魔獣に突き刺さり、魔獣によって時間に差はあれど、投げたナイフと同じだけの数の魔獣が倒れ伏す。

「行けます!」

 最初に跳び上がった場所のすぐ側に着地したと同時に聞こえるリルの声。ユウシアはその場にしゃがみ込み、「撃て」と行動で指示する。

「『繋ぐは水、水の精霊。汝、その激流にて、全てを喰らい、飲み込み、我が敵を排除せよ』〔アクア・サーペント〕!」

 現れた大蛇が、敵を喰らっていく。やがてそれが消えたあとには、しかしまだ半分近い魔獣が残っていた。

「まだ、こんなに……! すみません、ユウシア様……」

 まだ大部分が残っていることに、謝罪の声を上げるリル。しかしユウシアはまっすぐに魔獣達を見据えたまま、

「いいから! 言った通りには!?」

「は、はいっ! ちゃんと、塩水・・に!」

 ――本来、魔法で生み出される水は、不純物の一切含まれていない純水だ。

 しかし、ある程度熟練した魔法使いであれば、水を油に、とまではいかないものの、水に多少何かを混ぜるくらいは可能なのだ。

 もちろん、普通であればわざわざそんなことをする必要はないのだが、今回ばかりは違う。

 不純物が無ければ、水は絶縁体だ。しかし、何かしらの不純物を――特に塩、塩化ナトリウムを含む場合は、導体へと変化する。

 つまり、だ。

 ユウシアは、ダメ押しとばかりに手に持っていた短剣も魔獣の中に放り投げると、短剣とナイフ、全ての能力を発動する。

 選択した属性は、雷。

 武器から発生した電気は、水を伝い、大蛇の直接的な被害は逃れつつも水浸しになってしまった魔獣達に襲いかかる。

「いくら魔獣でも、高圧電流を受けて無事じゃいられないだろ……!」

 ユウシアの目論見通り、武器の能力で扱える限り最も強力な電流は、叫びを上げてジタバタともがく魔獣達を、容赦なく焼き尽くしていく。

 火や電気に強い魔獣は、ユウシアが予め倒していた。

 電流の猛威から、逃れられたものはいなかった。

 理系っぽい話ちょっと出してみました。なんか間違ってたら教えてください。倒し方書き直しレベルでなければ直します。書き直しは面倒なので見逃します。自分で。


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