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軽口

 まさかの二話連続で遅れる。いやね、予約投稿したつもりでいたんです。

「……よし。怪我は治ったし、疲れも抜けた。体調は万全!」

 翌朝。目を覚ましたユウシアは、軽く体を動かして調子を確認すると、満足げに頷く。

「さて……ハク、行くぞ」

「ぴー……」

「ほら、眠いのは分かったから……それとも留守番するか?」

 フルフルと首を振ると、フラフラとした足取り(飛んでいるが)で定位置であるユウシアのフードへと移動するハク。すぐさま寝息を立て始める。

「全く、よく寝るなぁ……まぁいいや。決勝戦、いっちょ頑張ってみますか!」

 ユウシアは気合を入れると、闘技場へと歩き出した。


++++++++++


 決勝戦ともなれば、観客の数もこれまでに増して多くなる。それも、一年生が決勝まで勝ち上がるという異例の事態が発生していれば尚更だ。

 そのため今日の闘技場は、試合開始前からいつも以上に喧騒に包まれていた。

「……そっか、やっぱアヤは出れないか。棄権を勧めといてなんだけど、やっぱり残念だな……」

 相変わらずの控え室。アヤからそれを聞いたユウシアは、本当に残念そうに肩を落とす。

「んーん、仕方ないよ。魔法が使えないんだもん。【芸達者】でどうにか、とも考えたけど……接近戦で、ユウ君とあんな戦いしたような人に勝てる訳ないし」

「私も、少し戦ってみたかったですが……万全でないというのなら仕方がありません」

「ふぉわっ!?」

 微笑んで首を振ったアヤの後ろから声がかけられる。全く気配を感じなかったというのにかけられた声に、アヤは素っ頓狂な声を上げる。

「……先輩。俺はまだしも、他の人からすれば大分心臓に悪いのでやめたほうがいいと思いますよ、それ」

「特に、意識してやっている訳でもないのですが……注意しましょう」

 苦笑するユウシアに、首を傾げながらそんなことを言うのは、三位決定戦でアヤの相手になるはずだったシオンだ。

「不戦勝で五国間学生武闘大会の出場権を手にする、というのも不本意なのですが……アヤさん、体調が戻ったら出場権を賭けて決闘をして頂いても……」

「い、いいですいいです! 多分あたしじゃまだ勝てないので!」

「……まだ、ですか。……ふふっ、それでは、勝てるようになったと思ったら、是非戦って下さい」

「え、えぇと……はい、そのときは」

「約束ですよ」

 そう言いながら、手を差し出してくるシオン。

「……はい」

 アヤはその手を握り返した。

「では、私はこれで。ユウシアさん、決勝戦、楽しみにしています。……私に勝ったのです。必ず、優勝して下さいね?」

「……えぇ、もちろん」

 シオンは、小さく微笑んで姿を消した。

「ドア、開いてないような……」

「細かいことは気にしちゃいけないんじゃないかな」


++++++++++


『さぁさぁ、いよいよ待ちに待った決勝戦です! 皆さん、盛り上がっていきましょーっ!!』

 エルナが手を突き上げるのに合わせ、そこら中から歓声が起きる。

『決勝の舞台に登ったのは、優勝候補筆頭! 議会の会長である、アラン・レイノルズ! その圧倒的な力は、この学校始まって以来の天才とも言われています!』

 再び起きる歓声。それに応えるようにアランが手を振る。

『対するは! なんとなんと一年生です! 学年主席の名をいとも簡単に勝ち取ったこれまた天才、ユウシア君! もちろん、私はここまで来ると思っていましたとも! えぇ!』

(嘘臭い……)

 やはり歓声が上がる中、ユウシアが失礼なことを考える。

「……驚いたよ。決勝では、シオン先輩と戦うことになるんだと思ってた」

「そうですか? 俺は負ける気なんてなかったので、順当な結果だと思っていますが」

 言葉通り驚いたような表情を見せるアランに、ユウシアは軽口で返す。

「……へぇ、自分の強さに自信があるみたいだ。でも悪いね、勝つのは僕。これは決定事項だ」

「勝手に決めないでほしいですね。勝つことに妙に執着してるみたいですけど、そんな人に負ける訳がない」

「ほう……言うね。先輩――それも、学校最強相手に」

「アラン先輩は今日から、“元”学校最強になるんですよ」

「…………調子に乗るのも、いい加減にした方がいい」

「乗ってなんかいませんよ。これは決定事項・・・・ですから」

「……さっきの君の言葉、そのままそっくり返すよ。勝手に決めないでほしい」

『では! 決勝戦、開始!!』

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