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フォレストサークル奇譚  作者: 秋之 蠍
2/5

陽狐と真宵 ― 4月 ―

何でこうなったの、どうして!私は質問攻めにあっていた。


「九重さんすごいな!あそこで呼ばれるってことはAce級ってことだろ?」


「いえ、そ、そんな…」


「謙遜はいけないよ!3年と渡り合うなんて…まぁ、今はそういうのもありなのかもしれないけどさ!共闘するときは是非一緒に頼むよ!」


「は、はぁ…」


「人気者だね、陽ちゃん…でも、できれば私も…」


「サクラちゃんまで?!」


どうしてこうなったのよ…こんなサプライズ聞いてない…聞きたくもないし、知りたくもなかった。


「にしても…おね…」


…そのことは言わないでと思い無意識に睨んでしまった…。言葉が出せずぴくぴくしてる。こんなに人気になるつもりはなかったし、成る要素もなかったでしょう?

…それは、今朝にして4月のメインイベント…入学式で起こってしまった…ううん。起こしちゃった


・・・・・・・・・・


・・・・・


・・・


「それでは!ただいまからフォレストサークル高等部入学式および始業式を行います!こらそこ!初日からハッスルしない!!」


此処は森の奥地にある円形の場所(ミステリーサークル)に学校を構える、フォレストサークル。なぜこのような場所にこんな、およそ人智が及ばないような広大な真円が現れたのか。それも変だけど、まったく解明できないままなのにその土地を買い取り『学校』を建てる、なんて。でも、来て見て解った。此処は魔法的な何かで根こそぎ何かが転移したか、木々を転移したか。そういう力で作られた土地。だからこそ―


「ほら、陽ちゃん、君の番だよ?」


「は、はぃっ!有難うね、サクラちゃん。」


―とと、いけない。私の名前呼ばれてた?!

私の名前は九重ここのえ陽狐ようこ。今助けてくれたのはこの学校で初めてのお友達、恋坂(こうさか)サクラちゃん。このフォレストサークルは初等部1年、中等部1年、高等部1年以外は全員編入生。学校の創立ってめったに立ち会えるものじゃないから、素敵と言えば、素敵かも。異世界の読み物とかだと、運命の出会いがあったりとか、不思議なことに巻き込まれるとか、有ったりするんだけれどね。この学校と言うか、この地域が既に普通じゃない。一つ目の妄想はともかく二つ目は常時発動みたいなものだもの。さっきの司会をしている『ハッスル』っていうのは―


『ぼんっ、がしゃぁ!』


「おう、やるじゃねぇか!俺サマの『紅蓮のぐにぐに砲(フレイムスネイク)』を殴るヤツがいるなんてなぁ!」


「ふぉおっ!あっちぃっ!そりゃこちとら『魔拳闘(ボクサー)』が信条だからな!」


―あらら、折角の創立の入学式だよ?少しおとなしく出来ないものなのかなぁ。

そう、此処へ編入してる人、入学者はほとんど全員『魔法』が使える。それはもう、まじりっけなしの魔法使いだらけだね。魔法学園って感じ。ハッスルっていうのは血の気の多い男子生徒が魔法で戦い始めちゃったんだよね。片方は真っ赤な髪と青のマントをなびかせて蝋燭級の火種を蛇を鞭のように操って攻撃したんだけど…浅黒の茶髪の人がそれをあろうことか見切って魔力のこもった拳で地面へと打ち落としたみたい。すごいなぁ…スッゴい迷惑…だけど。それに、まだ続ける気みたい…。誰か止めないの…?って、あ、


「いい加減にせんかぁっ!」


『ごちん、ごちん!』


「あいたぁ!」


「ぐっ!」


あら、ダンディなおじ様。顔も整っている、とまでは言わないけれど。派手ではない程度の色Yシャツに野性味にあふれた顔ね…やっぱり頼れる先生タイプはいいわねぇ。折角の学校生活、ときめいたら動くを心情に生きて行きたいわ。と、話がそれたわね。足から煙が上がっているところからみると、高速移動で二人の間に割って入って拳の勢いに魔法の勢いまで…殺した?!え?人間業…?


「血気盛ん大いに結構!しかしだ!今は全校生徒の集まる始業式。この拳骨に免じて罰は勘弁しよう。さぁ、席に戻るんだ。」


収まってよかった。ざわついてはいるものの、次第に静かになる会場。このまま粛々と続いてくれればいいけど。


・・・・・・・・・・


・・・・・


・・・


入学式は思いのほか長かった。何せ、今回創立の特殊な状況だもん。全校生徒…もちろん初等部から高等部、A棟、B棟まで全ての生徒が名指された為、とにかく長かった。

あ、A、Bって言うのは、…これも特殊で不思議なのだけれど、校舎が真っ二つに分かれていた。私とサクラちゃんがいるのがA棟。それで学園長を挟んで対象にいるのがB棟だった。単なる名称かと思ったら、そうでもないみたい。



「A棟の皆様、入学、編入おめでとうございます。私が最初ですので説明させて頂きましょう。もう、お分かりかと思いますが、この校舎は、大きく3つ…現在は2つですが、分かれています。そして、それぞれ各棟に別の目標を持たせる形をとります。私たちA棟の生徒が目指すものはA棟の「A」という文字にちなんでおりますが…まず一つ目がAbility…能力ですね。それともうひとつ、Absorb…吸収という意味ですが、A棟の生徒の皆さんは、友人、周囲の力を理解し、それを吸収して己が力として蓄えることができるように、研鑽をしていってほしいと思います。以上です。」


おぉ…さすが先生はいいことを言うね…なんていったっけ、ぐ、グリーア先生だったかな?が壇上から降りてくる…。次はB棟…ってさっきのガタイのいい先生…。えっと…アカツキ先生だったわね…インパクトはあった、うん。


「諸君!B棟筆頭教師、アカツキだ!B棟生徒に私が求めるものをBという単語にちなんで説明せよ!と学園長殿から指示を受けた!」


…あ、やっぱりそうだったのね。後付だったんだ…。まぁ、こういうのがあっても面白いかもね…とは思ってた…けど、次の先生の一言がどよめきの渦になるとは、さすがにこのときは思っていない。


「まず一つ目!BloodのBだ!極端にではないが棟の違いはA棟が技、B棟が力、という配分になっている!我等が目指すべきは他者との切磋琢磨による優劣!そして己が血に流れる力を引き出し、より強くあること!相手を蹴落としてでも力を示すことだ!」


…さすがにこれは…ざわつくのも判るほど、熱血スパルタ…とでも言えばいいのかしら。会場の全員が引いてるのがわかるよ…。それでも、違和感があった…そう、それも先生方から感じる違和感。つまり…。こういうようなことをわざと言うと知っていた(・・・・・)


「だが、諸君は学生の身分だ。必ず勝たないといけない場面はこれより後にいくらでも訪れる。そのための力をつける時期と私は理解する!よって諸君等にはこの言葉を送ろう。BloomのBだ。この単語には花咲き栄えるという意味がある。諸君等はまだ血生臭い戦いをする必要はないが、戦いを理解し後の大成のための礎として欲しい!以上だ!!」


さすがに教師だった。まぁ、わざと厳しいことを言って、後緩めるムチアメタイプなのね。やっぱりいい先生じゃない。その後も式は滞りなく進んだ。進んだのだけど…。

ちなみに今私たちのいる今回、セレモニーは特別大講堂と呼ばれる場所…今建設中を含む3棟の真ん中にある大きい建屋で行われた。行われたんだけど…外からは想像もできないほどにめちゃめちゃ広い。大きいって言ってもねぇ?これは何かある。サクラちゃんならわかるかな?何だっけ、空間系?の魔法が使えるって言ってた。稀少だよね、空間をいじる魔法って。


「サクラちゃん、この講堂ってさ…。」


「…うん。たぶん強化か拡張形の魔法だと思うけど…広すぎるね。私なんて平時で使えるのは鞄の中の拡張くらいだよ…?」


そう。大きいとはいえ物理的に入らない人間量だった。何かしているとしか思えない。

というのも、全校生徒初~高等の全員が2棟分入ったらあふれかえる以外ありえない大きさだったし…。


「…というわけで、第3校舎の落成は間に合わなかったが、C棟の皆もA、Bと親睦を深めて頂きたい。諸君の学び舎での研鑽、結果に期待する。くるものは拒まずが原則だ。一人のときでも研鑽、研究を重ねることを期待する。」


C棟の先生が説明を終える。うん、道具を使うということ意外はあんまり判らなかった気がする…。とりあえずC棟完成後にもう一度説明と移動者を募るみたい。研究という言葉には若干惹かれないでもないけど、もとよりAがいいと思っていたし。


「ええと…遅くても6月にはCも開いて、AからCと、BからCは移動者を再度募る、ただし、AからBへの移動は認めない。でいいんだっけ、あれ?AからBは良いんだっけ?」


「だ、大丈夫サクラちゃん?」


「だ、だいじょうぶだよっ!…っ」


言葉に覇気がないわ、こんなゆるい子な感じではないのだけど…まぁ、さすがに式ももう終わりでしょうし…ま、大丈夫なら大丈夫なのでしょ。大丈夫なのよね?!


「それでは、本日最後の説明と実演となります!ちゃんと聞かないと後悔するわよ~!」


その言葉にシン、と空気が静まり返る。いきなり静かになったら耳が痛くなりそうなほど張り詰めてる…。


「よし!じゃあ説明るするわー!みんなも薄々は感じてるとは思うけれど、この学校がA、Bに分かれているのには校内対抗を行うためなの!この学校がこの森の中に立っているのは森に現れたミステリーサークルが原因なのは気づいていると思う!中心であるココ!特別大聖堂の中央が一番強いわー。個々の魔法の才能はこういうところで切磋琢磨すると格段に伸びるという研究結果から…全世界から魔法の才能を持つ人が集まっているの!最終的には各棟で代表者を3名出し、対抗戦を持って最終目的である『世界魔法大戦』に出場!そして優勝を目指すわー!別に棟内外、そして棟内生徒同士の対戦とかは問わないけれど、各棟基準で採点を行って9月には決定するつもりよーC棟には別途ボーナスポイントが入るから心配しないでちょうだーい!」


なんというか…そんな大掛かりになっているとは…世界魔法大戦って、年齢制限ない世界選手権じゃない。なんか盛り上がって『うおー』とか叫んでる人までいるし…あ、朝一バトってた殴ってた方…えっと、なんだっけ…やかんの様なそうじゃないような名前…ヤカン…ヤカン…あ、そうそう、バカンとかって言う名前…


「あ。あの、陽ちゃん…ちょっと、陽ちゃんってばっ!」


「え?あ、ああサクラちゃん。どうしたの?」


「よ、よば、よばばばば…」


じ、尋常じゃなく震えてる…サクラちゃん…チワワみたい。中央台座からだけじゃない…全校生徒の視線を集めてる…何事?!


「やっと気づいたわねー!話を聞いていないのは自身のある証拠よねー…A棟の教師として頼もしいわー。でも。出番よ、ほら、準備しなさーい!」


「いいいい今の対抗戦のエキシビジョンをするから、A棟からよよ、陽ちゃんが出るように言われたの!」


「……えええええええぇっ?!」


「事情がわかる彼女がいて助かったわねー。ほら、いらっしゃいなー!悪いようにはしないからー!」



何、この行くしかない流れ…泣きそう。彼女って、私は百合か何かですか。仕方なく立ち上がって中央へと歩いていく…ちょっとやめてよ、めちゃめちゃ視線が痛い…。壇上へあがった私を確認して、司会の先生…ミカゲ先生がB棟をみる。マイクを離し私にしか聞こえない声で、つぶやく。


「…ごめんなさいね。サプライズとして、本人には言わないで欲しい、と学園長から指示を受けたの。どうしても2人の実力を見ておきたかった、とおっしゃってたわ。期待されてつらいかもしれないけれど、この一回は我慢して頂戴…。」


…まぁ、この壇上に上がった時点で覚悟は決めた。ちょっとドキッとはしたけれど…。


「折角めぐったチャンスですから。楽しみます。壇上まで来てしまいましたからね。来たからには全力です。」


努めて先生のせいでは無いように振る舞い…というか先生も被害者なのでしょうけれど。


「ありがとう。」


ふぅ、とミカゲ先生が一息ついて、司会モード?へ切り替える。


「よし、じゃあ対戦者を言うわー。B棟3年…九重真宵!さぁ、ステージh」


「ええええええええええええええええええええぇっ!!!」


何、今、なんて、言って?真宵、姉様…?


「なに?姉妹対決くらいのほうが燃えるでしょ?改めてステージへきて頂戴!」


驚かずにはいられない。今の宣言は生き別れの姉に再開をしたのと同義に近い。家のいざこざで行方不明…というか、失踪した姉…が、ここに来ている?どういうことがさっぱりだった。ただし出てきたのは3年以上あっていない私でもわかる姉の姿。


「…久しぶりね。陽狐ちゃん。」


さすがにばつは悪そうだ。出てこないわけにも行かなかったのでしょうけど。焦っちゃだめ。姉様にそういう感情は簡単にばれちゃう。努めて、努めて平静に返答をする。


「姉様…何を、今更。家を捨てて逃げた人に、妹呼ばわりはされたくありません。」


「…そう。何を言ってもだめそうね。じゃ、折角だから、今までの成果見せてあげるわ。」


…平静、平静を…っ、無理…この姉…いい加減に…


「その冷静さ、吹き飛ばしてあげる!…覚悟してください。」


さすがにミカゲ先生が異常な関係に思い至ったのか、先を促す。


「…あら、貴女達…色々ありそうね?まぁいいわルールは簡単!今回はエキシビジョンだから制限時間を設けるわ!あと、だめだと判断したときは、私が止めるので。あとは、『やりすぎるな!』これだけ!じゃ、はじめっ!」


先生の始めの合図で私ともども戦闘体勢に入る。姉様はともかく、私はあまり『攻撃的な魔法』は持っていない。相手の出方を見る必要があった。会っていなかった3年で、どこまで姉様と私が変わったを見極める。そこが問題だった。


「ふふ、まずは様子見、ね?変わらないのね。じゃ、こちらから…っ!」


体が足元から残像を残して消える…周囲の歓声を気にしてる場合じゃない…。姉様の得意技…『拘束移動(クレイボンデージ)』だ。足元に魔力を込め、地面自体が高速移動する技だったはず。…これなら魔力を見れば行き先がわかる…私は前へ飛びのいた。


「…『帝釈廻天(グラビティウェポン』。」


先程までいた空間は重力の刃で捩れていた…加減しなさいよ!でも、手刀じゃなくて黒い塊を出している、ということは、基本魔力戦をすることに変わりはない、と。歓声が逃げるだけかよぉ~。とか言ってる気がするけど、気にしていられない。悪意はないのでしょ、生徒はしらけ始めてるけど、こっちは必死なんだから。この威力、常に守ってはいないとだめね。なんだかんだ行っても制限時間について明言していない。そのプレッシャーもある、と。私は魔力を収束する。


「一重『振動掌握フレクトハンド』!いきますっ!せぇぃっ!!」


魔力を伴った両手、遠目ではわからないかもしれないけれど、近くで見れば私の両手は歪んでいるように見える筈。そのまま駆け足で距離をつめる。相手の魔法の後であれば、連続移動は不可能と考えて、移動先を読んで走り出した先を殴りつける。


「あら、やるじゃない。先読み?でも、まだね!」


移動先に居たにも拘らず重力の剣で受ける姉様。ただそれも予想していて、思いっきり魔力を込めた拳は重力の力を防ぎきって返す手刀で剣を持つ手をたたく。


「つっ!やるわね…。じゃ、そろそろ本気で行くわね?受け切れれば貴女の勝ちよ…陽狐ちゃん。」


重力剣が弾かれて霧散する。ここに来て姉様の表情が変わった…。もう、相手が姉とか、エキシビジョンで観客が居るとか考えられなかった、目の前の『敵』は既に相手を倒すため尋常ならざる量の魔力なんかを練りこんでいる。

私も全力で対応するべく魔力をすべてつぎ込む準備をして…くるっ!


「『闇の盾-放出ブランクブラック』」


イメージが出来上がっている魔法は、脳内でイメージを固め、呪文をつぶやくだけで発動できる。姉の攻撃は闇の衝撃波…普通は盾として使っているのでしょう。それを私のほうに放出することで不可避の攻撃を放ったようだった…とっさに私は口に魔力を溜める…。


「六重『声形の整形ソリッドボイス』…わっ!」


私の手持ちで一番物理攻撃力、そして魔法防御力に優れた魔法…口から放たれた『わっ』という声が実体化し、闇の壁を打ち破る。そのまま姉の居たほうへと飛ばしているはずだった。だけど、今度は姉様が私の魔法を読みきっていたのでしょう。私の文字の砲撃の行く先には姉様の姿はなく。発動した闇の壁に向かって『拘束移動(クレイボンデージ)』を使って廻り込んでいた。


「…隙あり。『石の吐息ペトロブレス』…。」


いけない!と思ったときには遅かった。大地の魔力を多分に含んだ石化の吐息が私の足を撫でて行った…。びしぃ!といういやな音が足から響く…既に膝までの感覚が消失し、石化の範囲は私をまだ蝕もうとしている。普通であれば致命的…だった。ただ、私にはまだ対処はできる…。ただこのまま石になるとそれも…とまずい!もう太ももまで!ありったけの魔力を今私のかかっている魔法に干渉して…。


「魔力干渉…八重!『術式破壊マジックブレイク』!」


ばきぃん!という音とともに、石化が解除される。正確には術に干渉して、込められた力とまったく同じ力をそれ以上の魔力で打ち消す…。理論は簡単そうに聞こえるけど相手の力を正確にすばやく把握する能力と、自分の普段使わない魔力系統…頭も魔力も相当燃費の悪い技だった。もう長くは戦えない…。そう判断した私は、解析し残った魔力をそのまま…打ち返す。


「九重『過共振偽装ユニゾンイミテーション』…行くよ!」


先程姉様が使った『石の吐息ペトロブレス』を、威力は劣化するが同様に打ち出す、私の隠し技のひとつ。今の距離ならもう外さない、と思ったのだけれど。


「ふふ、『帝釈廻天(グラビティウェポン』…降参?」


ふふ、という声が私の後ろから聞こえた。やっぱり後手に回っちゃったのがいけなかった。石化の吐息を発動させたときには、発動を続けていた『拘束移動(クレイボンデージ)』を使って回り込んで、私に重力の剣を突きつけていた…無念…。詰んだわ…。


「…降参、します。」


おおおおおおおお!という歓声が今更降って来た。え?え?なに??


「やるわね。二人とも。私でも簡単に止めれないほどの大技の応酬…という自覚は無いようね。そう見えている一般生徒達は大絶賛なのよ。」


ミカゲ先生が割り込んでくる。試合終了だった。半分姉妹喧嘩で始まった対戦だったけど、思いのほか好勝負ができた…きがする。姉様が本気だったかどうかは非常に怪しいけれど。す、と重力の感覚が消えたときにはもう後ろに真宵の姿はなくて。問いかけも許さない気みたい。一度話をちゃんとしないと。折角学校に居るのだから…許す気はないけれど。私も先生に促され、席へと戻る。


「はい、これで入学セレモニーは終了よー!各棟初等1年から教室に戻るように。」


席へ戻る途中の視線、そして同じクラスのみんなの嬉々とした顔…これは質問攻めが確定した瞬間だった。もう嫌な程疲れてるのに、これから疲れ通しの予感…。


・・・・・・・・・・


・・・・・


・・・


そして、昼休み明けまで質問攻めは続いたのでした。もう、ご飯時間を返して…。


「もう、全部が予想外よ…ありえないわ…。」


「あはは、お疲れ様。陽ちゃん。」


「それにしても元気になったね、サクラちゃん。大丈夫だったんだ。」


「うん、お腹減ってただけ。言葉に詰まったのも、おなかが鳴って…。」


「そう。よかったわ。じゃ、午後はあんまりやる事もないみたい…もうそろそろ終了だって。」


「そっか!じゃ一緒に帰ろうね!」


明日から、大変な校内対抗戦…頑張りましょうか。

色々手探りです。


色々気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。

気づいてほしい、連絡ほしいも有ったり無かったり。


相変わらずの気まぐれ更新ですが、大目に見てください。

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