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フォレストサークル奇譚  作者: 秋之 蠍
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妖狐の一人語り

「…なんじゃ?妾を呼び出しておいて一人語りをせよとは…。異なことを言う。」


暗闇に浮かぶ椅子。そこには金髪和服の狐耳の女性が1人。椅子しかない空間に呼び出されたのでしょうか。

ただ、誰ともわからない人?と会話をしている様に相槌を打つ。―にやり―『妖艶』という言葉がぴったり合うような笑みを零し、虚空の椅子に座る狐耳は続けていく。


「いいのじゃな?妾は嬢に関わる事なら全て見てきておる。勿論、感じてもいる訳じゃが。」


独白では無いようです。ふぅ、と深いため息をつく。椅子に隠れて見難いですが良く見ると狐の尻尾がある…人ならざる『妖狐』と呼ばれるものなのでしょう。妖狐は何も無い空間に向かって話し始める…


「嬢との出会いは別に語る者がおる、と。…とすれば、妾は…そうじゃな。これから語られる嬢達の世界について語ろうかの。」


どこからか声が聞こえているのか。相手の返答を待つ間程度の時間のあとに、また妖狐が言葉を紡・ぎ始める。


「そうさな…この建物は…『学校』と言ったか。大きく校舎が分かれていると言う、凡そ学び舎とは思えぬつくりだったと記憶しておるの。特異なことは色々有るものじゃ。まず、初等部から中等部、そして高等部までが無試験、じゃったか。『えすかれーたーしき』とか言うのじゃったよな。しかして、校舎が初等部から高等部まで分かれているわけでは『ない』と言うところが異な所じゃ。じゃが、校舎は2つに分かれておる。その上、1棟増設中じゃった。それも異なことじゃ。」


此処で妖狐は一息つく。ふむ、と相槌を打って、虚空にテーブルが生まれ。机の上には紅茶…ではなく、こぶ茶が置かれていて。


「よしよし、気が利く嬢じゃ。妾の好みも解っておる。嬢はその学校の高校生、じゃったか。『ふうきいいん』とやらで忙しかった記憶があるのじゃが。…そうじゃ。毎日がいざこざでのぅ。…やり甲斐は有ったじゃと?戯けが。どれだけ自分が酷い目に有ったか…。あれ程の事がある意味嬢を中心に起こっていたのじゃぞ?特異点とでも呼ばれる存在じゃったことを自覚するべきじゃな。単なる学校内派閥の対抗戦が…学校以上のものを巻き込んで、のぅ?―」


紡ごうとした言葉は、虚空へと飲み込まれる。この部屋の意思に反したのか…この不思議な空間が揺れている気さえするのですが。


「解った解った。昔は可愛かった嬢も今や立派な…これも言わないでおいた方が良さそうじゃの。まぁ、あのころに何があったかを語るのであれば、此処から先は妾ではなく嬢がするべきじゃろうて。なぁ、この世界の主、ご主人様よ…。」


すこしづづ世界が明るくなっていく。此処は、精神の中。精神に棲む妖狐。この世界は魔法がはびこる世界。妖怪が跋扈し、人と多くは交わらないけれど―交わることになった二人の人と、二つのアヤカシ。二人の姉妹が奇しくも発端になる、ただのバトルストーリー。そして、ただの運命に翻弄された人たちの物語。


「嬢もようやく話す気なったようじゃの。よいよい。そろそろ一人語りも飽きたところじゃ。…そうじゃ。妾は飽きっぽいのでの。その上面倒くさがりじゃ。嬢が妾との昔話をするのを聞くほうが好きなのじゃ。」


―そう。じゃ、どこからにする?―


「そうさの、ほれ、やっぱり初日に他棟の姉と姉妹喧嘩をして…くくっ!」


―存在を抹消されたいのかしら…?―


「出来るならしてみることじゃの。嬢ほど負けが似合う生徒もおらんじゃろうて。なんていうんじゃったかの?『敗北系ひろいん』とでも言うのじゃったか。くくっ。」


―いいでしょう、その喧嘩、買います!―



・・・・・・・・・・


・・・・・


・・・


「…嬢、弱すぎじゃろ。」


―きゅぅ~。―


「まぁよいわ。そろそろ夜も明ける。嬢もそろそろ語ることじゃ。妾はしばらく眠るぞ。」


魔法学校『フォレストサークルハイスクール』へと舞台を移しましょう。今の二人が、そして世界がどのようにして今に至るか。その話を始めましょう…。

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