邂逅で開口
入学してから約1年半、高校2年生になった僕はというと彼女どころか女友達もいない、それどころか男友達もいない、主人公らしいイベントも一切起きない、毎日学校に行き一応ノートだけはとって帰る(授業は聞いてない)だけの何とも花のない高校生活に慣れきってしまっていた。
ラノベも高校2年生になるころから次第に読まなくなり、流行のケータイゲームをしたりアニメを見たりといった自堕落な生活を永遠と繰り返しているだけだった。
入学したてのころはワクワクしながら通っていた通学路も今となっては朝から億劫にさせられるだけの町内でもっとも嫌いな道になってしまったほどである。
そんなある日の朝、もうすぐ夏休みということで浮かれていた俺は珍しく寝坊してしまい遅刻確定だったため、炎天下の中他に誰もいない通学路で日陰を転々としつつのんびりと登校していた。
「しかし今日は一段と暑いな。」
日陰を歩いているにも関わらず汗をかいてしまう今日の天気はたしか、今年一番のだとか何とかニュースで言っていたことをふと思い出す。
しかしこれだけ暑いと学校にはクーラーがついているわけでそんなことばかりを考えているとわざわざ遠回りしながら歩いていた日陰も飛ばし飛ばしに、どんどん急ぎ足になってくる。そして学校まであと500m、校舎の一角見えたくらいのところ、気持ちが強制的に学校モードに変換された瞬間、突然肩に激痛が走った。
何が起きたのかもわからない、恐怖心さえもまだ感じることができていない中、痛みという誤魔化しようのない事実に僕は、声を張り上げその事実を上書きしようとする。
「いってぇーーー!!!」
まぁそれくらいで痛みが消えて無くなることはないが、痛みの原因を探さ無いわけにはいられず突然の痛みに狼狽しながらも周りを見渡す。
どうやら頭上から何かが降ってきたみたいだったが、僕の周りにあるものといえば黒髪のショートボブカットの見た目中学生くらいの女の子が尻餅をついてるほか何もなかった。
この子......だよな?
「あ、あの大丈夫?」
ひとまず僕は痛めていない左手を彼女に差し出す。
ひどく怯えている彼女は、俺を化け物でもでも見るような目で一瞥され、あまりの嫌悪感に思わず手を引っ込めてしまう。
その後彼女は、俺の体を舐め回すように吟味すると少し警戒心を解いてくれたように浅くため息をついた。
そして、声こそは抑えていたが、気持ちの篭った声音で、話す前から返事を催促するような早口で言葉を発した。
「お願いします!私を匿ってくださいっ!」
............は?