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元ヤン君と天使な彼女  作者: Rewrite
37/40

36話

日向と一緒に学校に戻ると、みんなが一斉に集まってきた。

クラスメート、先生達。みんなが日向を出迎えに走ってきた。

残念ながら日向の両親は自分達でも日向を探していたらしく、車を使って遠くまで行っていて、ここにはいないようだ。


「日向さーん」

「心配したんだよ」

「大丈夫だった?」


皆、同じようなことを日向に尋ねた。

俺なんかには目もくれず、日向に抱きついたり、隣のヤツと手を繋いだり、みんな幸せそうだった。


「どうやって逃げてきたの?」


大衆の中の1人がそんなことを尋ねた。


「逃げてきてません。悪魔さんが……咲良竜也さんが私を助けてくれました!」


名前を呼ばれて一瞬驚いてしまったが、みんなも違う意味で驚いていた。

俺が日向を助けたからだろう。

皆、一様に「あの咲良が!」、「不良だって人でしょ?」などと話し始めた。

当たり前だろう。日向に対してひどいことをして、事件に興味なさそうに教室を出たのだ。疑われて当然である。

俺が何も言わず立ち去ろうとしたら、日向に腕を掴まれた。


「どこ行くんですか悪魔さん!」

「どこって、家だ。俺が助けたなんて言ったって、今みたいに混乱させるだけだ。それにこの場に俺は必要ないだろ。みんな……日向を待っていたんだ。俺じゃない」

「そんなことありません! 悪魔さんは私にとってヒーローです! 私を助けてくれた正義の味方です!」


なんかこっぱずかしいことを力説されてしまった。

でも、今の日向の力説のおかげか、みんなが俺を称えはじめた。


「すげーな! 咲良」

「アイツヤンキーなんかじゃないんじゃね?」

「俺はわかってた。咲良は良いヤツだって」


少し前までの俺なら、都合のいいヤツらだと笑い飛ばしただろうが、今回は違っかった。


純粋に涙が出た。

報われた気がした。


中学のときは、誰かを守ったら、忌み嫌われた。良いことしたはずが、悪いことになっていた。

でも、今回は違かった。みんなに誉められ、認められた。うれしかった。


「えっ! あっ……悪魔さん どうしたんですか えっと……とにかく……えいっ!」


日向が心配そうに俺を見ていた。そして次の瞬間、俺を胸に抱いてくれた。


泣いている子供をあやすように頭をゆっくり撫でながら、大丈夫、と何度も言ってくれた。

みんなに見られていて恥ずかしかったが、涙は止まらなかった。今までの涙が一斉に出てきたように止まらなかった。それでも日向は泣き止むまで抱いていてくれた。


その後も大変だった。何があったのか先生に問い詰められ、途中泣き出した鳳を宥め、教室では泣きながら日向に抱かれたことを冷やかされながら、何があったのか聞かれ、今日だけで同じ話を何回するんだってくらい話した。


夜の9時を過ぎた頃ようやく俺達は解放され帰路についた。

教室までカバンを取りに行って、2人で校門に向かって歩く。

人影が見えた。それも2つ。そのうちの1つがものすごい勢いでこちらに向かってくる。


「咲良ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「うおっ! 何しやがる白鳥!」


白鳥だった。手を大きく広げて来たかと思ったら、そのまま首を絞められた。

どうにかそれを振りほどき、2人で笑い合った。


「ったく! 遅いんだよお前は! 最初から俺らと一緒に探せってんだ!」

「うっせー! 結局日向を助けたのは俺だったじゃねぇか」

「なんだとー」


久しぶりのやりとりだ。しばらくまともに話してなかったから、とても新鮮に思える。


「仲いいわねぇ~、自由ちゃんも助かってよかったわね!」


もう1つの人影、アネキもやってきた。


「まったく。お姉ちゃんには、俺には関係ない、なんて言ってたくせに、結局自分で助けちゃうんだから」

「うるせー。俺の考えを最初からだいたい見抜いていたくせに!」

「あっ! バレてた?」

「たりめーだ」


アネキとの会話も新鮮だった。俺が作戦を始めてからはアネキとも、ろくに話してなかったから、こんなやりとりは久しぶりだ。


「むー! みなさんばっかり盛り上がってずるいです! 私も混ぜてください!」


日向も輪の中に入ってきた。これで元通りだ。何もかもが元通り。


「よーし! このままどこかでパーティーしようぜ!パーチー!」


白鳥がいつものうざいテンションでそんなことをいいだした。


「無理だ」

「無理ね」

「無理ですね」


俺らの答えは一緒だった。

白鳥は残念そうに、肩を落とした。


「なんでだよ~」

「日向の両親のとこに日向を連れてかなきゃならんだろ。心配してたのは俺らだけじゃない」

「あっ! そうか!」


このまま4人で日向を家まで送った。

帰り道で日向になんで急に冷たい態度を取ったのか聞かれ、黙ってようとしたのに白鳥にも尋ねられ、結局すべて話してしまった。

2人は驚くと思っていたのに、呆れたように肩を落とした。


「なんて不器用なヤツなんだ」

「不器用すぎます! 悪魔さん」

「こういうヤツなのよ許してあげて」


俺が会話に加わる前に全員に不器用認定されてしまった。

楽しく話していたらあっという間に日向の家に着き、白鳥の家は反対だったらしく、日向を送り届けたあと、ダッシュで帰っていった。

俺達も10時には家に到着し、飯も食わずにベッドに入って寝た。

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