34話
そのときドアが叩かれた。入ってこそ来ないが、ヤンキー達の視線は逸れた。
次に上の窓が割られた。どうやら石が投げられているらしい。
「おい! 2、3人外行って黙らせて来い!」
3人ほど外の様子を見に行った。
反撃するなら今しかない。
背中を踏まれているが、意識が外に向いている今ならどうにからなるだろう。
「うおぉぉぉぉぉ」
起き上がれた。身体の節々が痛むが構わない。日向の受けた苦しみに比べれば全然苦しくない。
起きてすぐ背中を踏みつけていたヤツを殴り倒し、一緒に蹴っていたヤツに肘を食らわせる。
外に3人でて、今倒したヤツが2人。さっき倒したヤツが3人、残りは2人だ。
準じゃない方のヤツがすぐに俺に向かってくる。
パイプを持っている。あれで叩かれたら今の俺じゃ一溜まりもないだろう。
だが、今の俺は思考は驚くほどクリアになっていて、冷静だった。パイプを簡単に見切り、相手の顔を殴りつける。重たい拳を3発くらい叩き込んでから日向の元へ向かう。
「無駄に運がいいヤツだな。いいだろう。俺が相手してやるよ!てめーらは下がってな」
「とうとうてめーがやってくれるのか……日向を泣かせたこと後悔させてやるぜ!」
俺から殴りかかった。スタンガンが入っている右ポケットに細心の注意を払いながら、準から消して目を離さない。
初撃は簡単にかわされてしまった。続けて右ストレート、左ストレートとかわされ、回し蹴りも難なくかわられた。
「ずいぶん強くなったんだな。あのときは後ろで見てるだけだったくせによ」
「たりめーだ! てめーをこの手でぶち殺すって決めてから血の滲むような努力をしたんだからな!」
今度は準の攻撃だ。一撃一撃に威力を込める俺とは違い、準は威力は小さいが複数回攻撃することでダメージを蓄積させる戦い方だ。
何発かもらってしまったが、急所に当たりそうなものは全てかわすなり防ぐなりした。
「あ! 悪魔さん! がんばってぇぇぇぇぇぇぇ」
日向の声援も聞こえる。先ほどとは違って元気のある声だ。応援される度、どこからか力が湧いてくる。
「任しときな!!」
俺の拳が準の顔を捉えた。少し無理な体制から放った拳だったので、威力はそれほどでもないが、準は軽く後ろに下がった。
「くそっ! 準様の顔に唾の次は拳を……殺す殺す殺す殺す殺す-ー殺す!」
準は右ポケットに手を入れた。スタンガンを取り出すつもりだろう。俺はスタンガンを出される前に特攻を仕掛ける。
足を体制を崩させるつもりで蹴った。
体制を崩した準は盛大に転け、スタンガンを右手から落とした。
チャンスだ。そのまま準を蹴り飛ばし、馬乗りになってから顔を殴った。
心配している日向の両親の分。
教室で日向の無事を祈っているクラスのヤツの分。
今探し回っているであろう、白鳥達の分。
涙まで流していた鳳の分。
攫われて苦しんで、泣かされていた日向の分。
みんなのために殴った。
「俺だけ傷つければいいのに他人まで巻き込みやがって!」
最後に頭突きを決めた。
俺は立ち上がってこちらに向かってこようとしてた、準の部下達を目で制して日向の方へ身体を向けた。
「待たせた……」
---俺は膝から崩れ落ちた。
俺の腰にはスタンガンが当てられていた。




