30話
職員室に着いた。
学年の先生どころか全学年の先生が集まっている。
皆一様に頭を抱えたり、怒鳴ったりしている。どうやら先生も参り始めているようだ。
鳳は自分の席に着くと、涙を拭いてから俺の目を見て話を始めた。
「あのね……さっきの相手からの連絡には続きがあるの……」
「続き? どういうことだ」
「あのあと……咲良くんが探しに来い。それ以外だったら時間になる前に……うっ……ううっ」
鳳はまた大粒の涙を流した。あの台詞の後は容易に想像できる。おそらく殺すなり暴力的なことを言われたのだろう。
俺の怒りはますます膨れ上がった。
だが顔には出さない。いや、あまりのことに出てしまってるかもしれない。
「だからどうしろと?」
わざととぼけて返す。探しに行けと言われるのをわかっていながら、わからないフリをする。
「どうしろって! 探しに行ってくれないの!?日向さんが誘拐されたのよ?」
呆れるを通り越して怒りに近い声で鳳は言った。
だが、俺は冷たい、むしろ冷めたような言葉を返す。
「俺には関係ない」
鳳の次の言葉を待たずに職員室を後にした。
職員室を出て教室に向かう途中にアネキが立っていた。
「なにやってんだよ。今は教室で待機中だろ」
「そんな場合じゃないでしょ! 自由ちゃんが誘拐されたのよ! 探しに行きましょ!」
焦っているのだろう。早口でまくし立てている。よく見ると目元に涙のあとがあった。アネキも教室で泣いていたのだろう。
だが、俺はアネキの横を通り過ぎる。
「俺には関係ない」
の一言を残して。
アネキは廊下に立ち尽くしてしまっていた。
教室に入ると、またクラスのヤツらに睨まれた。
その中、白鳥だけが俺の元にやってきた。顔を真っ赤にして怒りを露わにしながら。
「おい咲良! 俺は日向さんを探しに行く! お前はどうするんだ?」
「待機中なんだから大人しく待機してる」
白鳥の顔も見ず、興味がなさそうにしながら答えた。
「バカヤロー」
その一言を残して白鳥は教室を出て行った。
クラスのヤツらが何人か白鳥に続いて出て行った。
他のヤツらはどうするか相談したり、自分には関係ない、どうすることも出来ないとあきらめている者もいる。
そして俺も行動にでる。




