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元ヤン君と天使な彼女  作者: Rewrite
29/40

28話

放課後また鳳に呼び出された。今回は俺だけだ。昨日の放課後からの日向への暴言についてだ。

無視しても良かったが、明日になれば同じだ。どうせ呼び出しを食らう。なら今日行ってしまった方が楽だ。


「どうしちゃったの咲良くん? どうして日向さんにあんなこと言ったの?」

「もとからうっとうしかっただけだ。それ以外に理由はない」


鳳は悲しそうな顔をした。哀れんでいるわけでもなく、同情とも少し違う。

本当に心から悲しそうな顔をしている。

鳳が生徒達から人気があるのは、たぶんこういうとき、生徒の気持ちになって考えてくれるからだろう。普通の教師なら話し始めから俺に怒声を浴びせているだろう。


「そんなことないんじゃない? 咲良くん、日向さんと居てとても楽しそうだったわよ」

「楽しそう? 笑わせるな。迷惑だっただけだ」

「そんなことないわよ。先生、咲良くんとても楽しそうに見えた。日向さんも咲良くんといて楽しそうだった。先生思ったもん。お似合いの二人だなって」


先生は聞き分けがない子供に話しかけるよう、ゆっくりと気持ちが伝わるように話している。

でも、その優しさに甘えてはいけない。

ここで俺が折れればすべてが台無しになる。


「そうですか。話はそれだけか?」


冷たく返す。ヤンキーらしく、他人を傷つけるように。


「うん。でも何かあったら先生に話してね」


鳳はにっこり微笑んだ。でも俺は笑わない。

職員室を後にした。



あれから三日がたった。今でも日向は毎日暇さえあればF組に来て、話しかけてきた。

謝ったり、昨日あったことをただ話したり、とにかくいろいろ話しかけてきた。

でも俺は取り合わない。話しは完全に無視。途中で席を立つこともあった。その度、日向は悲しそうにするが、すぐに次の話題に変えて俺の機嫌を取ろうとする。

白鳥もあれから呆れたのか俺に話しかけなくなった。いつも俺に傷つけられた日向をアネキと一緒に慰めている。

クラスでも俺の悪口が増えた。今まではただ傍観してただけだったくせに、一丁前に人様の悪口は言えるらしい。

アネキともあれからろくな会話をしていない。最低限の会話はするが、夕食のときの会話もなくなり、朝起こしに来ることもなくなった。

青山ともあれっきりだ。別に会いたいわけじゃないので構わないのだが。


これで正真正銘あのときの俺に戻った。

他者から忌み嫌われ、存在事態を否定された……あのときの俺に……


別に誰も恨んじゃいない。何がどうであれ、いずれはこうなっていただろう。

文芸部の方は俺がいなくなり、日向が俺に虐められていた。という解釈になったため、悪くなっていた文芸部のイメージは、逆に日向を同情する生徒から応援され始めていた。

このままいけばガーデニング部との部活創立争いも勝つことができるだろう。

文芸部は作られ、日向にも友達が出来て、日向は楽しい高校生活が送れることだろう。


これですべてが丸く収まる。


―――はずだった―――


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