24話
24話
アネキたちが居るであろうF組まで戻ってきた。
中に入ると、泣いている日向をアネキが宥めている。それ以外に生徒はいなかった。
少し躊躇われたが、このまま話しかけられるまで待っていても仕方がない。こちらから声をかけた。
「今戻った。」
二人がこちらを向く。
アネキは落ち込んだ顔を、日向は泣いていたのがわかるほど目元を赤くしている。
青山に対して怒りを覚えたがこんなところで二人に八つ当たりしても意味がない。それこそ怒りをぶつける相手を間違えている。
「悪魔さん」
涙を手で払いながら日向が俺を見つめた。
何か言ってやろうかと口を開きかけたが何も言葉が出てこない。前までならそれでも問題ないと自分で思えていたが、今は違う。何も言ってやれない自分が憎らしい。
関係のない日向をこんな目の合わせてしまっている自分が憎らしい。
それでも言葉は出てこなかった。
「すいません……私取り乱してしまって……」
俺が何も言ってやれないままどうしようもなくただ立っていると、日向が申しわけなさそうに頭を下げてきた。
なぜ、日向が謝らなければならない。こんな俺に、この状況を作った張本人である俺に謝る必要があるんだ。本当に謝らなければいけないのは俺じゃないか。
確かにこんな状況を作った原因は俺一人ではない、青山だってそうだ。だから俺や青山が日向に謝るならまだしも、日向が俺に謝る必要なんて微塵もない。
「頭を上げろ。大丈夫だ。気にしてない。それより笑え! お前が泣いてるとこっちまで調子がくるうだろうが」
「は……はい! これでいいですか!」
日向はにっこりと笑った。あの向日葵のような元気で真っ直ぐな笑顔で。
「あぁ。お前は笑顔の方が似合うよ」
「えっ! あっ……はぅー」
日向が顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
何か悪いことをしてしまっただろうか。俺としては励ましたつもりだったのに。
そんなことを思っていたら、アネキがすぐ横まできて、小声で話しかけてきた。
「あんたも少しはまともなこと言えるようになったじゃない」
「はぁ? 俺はただいつも通りにホントのこと言っただけだろうが」
「はぁ。鈍感ね。自由ちゃん可哀想」
「なんだよ。俺別に鈍感じゃねぇぞ」
アネキは呆れたように頭に手を当てた。
さっきまで顔を真っ赤にしていた日向も文芸部創立のためにやる気を出している。
この日はこのまま何もせずに解散した。
家に帰り、アネキの作った夕食をとる。その時にアネキがこれからについて相談しようと話しかけてきた。
「それにしてもどうしようか。このままだと文芸部作れないわよ」
「あぁ、そのことか。大丈夫だ。俺がなんとかする」
「あんたが? 大丈夫なんでしょうね? ダメだったら承知しないわよ」
アネキが疑わしそうに俺を見てくる。
まあ、俺を信用しろっていう方が無理か。
それでも俺は少し自信を持って答える。世の中に絶対なんてことはない。だから俺は簡単に絶対大丈夫なんて口にはしない。だから少しぼかして答える。
「あぁたぶんな。アネキにも協力してもらうかもしれんからそのつもりで」
「上等よ!」
アネキの勢いをつけたやる気に満ち溢れた声がリビングに響き渡った。




