23話
23話
放課後にまた俺たち文芸部は職員室に呼び出された。内容はなんとなくわかっている。朝の一件による文芸部に対しての話だろう。
そして今回はアネキも一緒だ。朝の件について聞きに来たついでに、職員室までついてきた。
職員室についた。
前回はいろいろあったから挨拶なしに入室したが、今回は挨拶をして入室した。
「「「失礼しまーす」」」
呼び出したのは今回も鳳だ。俺たちは鳳の前に三人並ぶ。やはり職員室では朝の一件について詳しい話の要求をされた。朝の件については青山との会話も含め、すべてホントのことを話した。ただ昼休みの一件については伏せておいた。
朝の時点で日向は「すぐ先生に言いましょう!」とか言っていたが止めた。どうせ後で呼ばれることはわかっていたので、自分から行く必要はないと俺は判断したのだ。
それに中学のときと同じだ。アネキや日向たちは信じても他のヤツらは青山を信じるだろう。
いや、今回は少し違うか。今は日向たちが信じてくれてるんだから。
鳳は俺達の話を聞いた後、言いづらそうに何度か言葉を選び直しながら、重たい口を開いた。
「あのね……文芸部にとってとても残念なお知らせがあるの……」
「な……なんですか?」
俺たちに緊張がはしる。俺はたいして緊張なんてしてないが、日向は違う。自然と身体に力が入ってしまっている。アネキも日向ほどではないが、少し力んでいた。
「あのね……朝の一件があったでしょ。そのせいで文芸部が作れなくなってしまったの……」
鳳はとても悲しそうに話してくれた。でもまだあきらめるには早い。
「俺は文芸部創立を手伝ってるだけで、関係ないだろう。関わってるのが問題なら手伝いも止めるこれじゃダメなのか?」
「えぇ。もう咲良く……あっ!えっと、竜也くんと舞ちゃんは入部扱いなの」
「なんでだよ! 俺もアネキも入部なんかしてねぇぞ!」
あまりに突然な話しに少し声を荒立ててしまった。
アネキの方は別に入部でも構わないらしく、反論しなかった。
鳳は少しビクッと身体を震わせたが、理由を話し始めた。
「ガーデニング部は三人居たでしょ。だから対等に戦うためには三人の部員が必要だったの。だから私の独断で竜也くんたちを部員扱いにしてしまったの。ご……ごめんなさい!」
鳳が頭を軽く下げた。鳳は俺たちのために行動してくれたのにすごく申し訳ない。
俺がどうしようか悩んでいたら、アネキが口を開いた。
「気にしないでください先生。私たちのためにやってくれたのに、あのバカがすいません」
さすがアネキだ。俺なんかよりコミュニケーション能力が高い。
でも問題は消えない。
「てことは、悪魔さんがいたら部活が作れなくて、いなかったら部員が足りず作れないってことですか?」
日向が鳳に質問した。
「えぇ。そうなるわね……」
日向の顔に青みがかかる。日向は感情豊かな分、こういうときの感情の変化も大きい。
それでも日向は口を開き反論した。
「おかしいじゃないですか! 前はヤンキーさんだったかもしれません……でも、今は違うじゃないですか!私を助けたり善行をしてるじゃないですか!」
日向が珍しく声を荒げた。それも目に涙を浮かべながら。
正直、嬉しかったが、鳳は悪くない。庇ってくれたのに鳳に当たるのは筋違いだ。
悪いのは俺だ。
俺は日向を止めた。まだ何か言いたそうにしていたが、無理やり止めた。
「アネキ。悪いが日向を連れて先に出てくれ。俺はまだ話がある」
アネキは心配そうに俺を見たが、次には日向を連れて職員室を出て行った。
こういうときにアネキがいると助かる。すぐに俺の意図を悟り、動きやすいように行動してくれる。
本当に頼りになる姉だ。
だからこそ俺はそれに答えた行動をしなければならない。
「鳳。つまりは俺なしで部員三人以上、なおかつ文芸部が俺と関係なければいいんだよな」
「えぇ。ごめんなさいね。私が不甲斐ないばっかりに」
「いや、張り合えるまでにはしてくれたんだ。それだけで充分だ。サンキューな先生」
鳳は嬉しそうな顔をした。目も少し潤んでいる。
「俺の他に誰かが入部したら対等に戦えるんだよな?」
「いいえ。今回の件で先生方の間で文芸部のイメージが落ちてしまっているの。おそらく張り合えても対等とまではいかないわね」
マズい状況だ。正直俺がいなくなればどうにかなると思っていたが、甘かったらしい。おそらく創立後に俺が入部して問題を起こしたら、とかそんなところを心配しているのだろう。入部する気なんて全くないのに。
「あとここだけの話しなんだけど、ガーデニング部を作って花壇の世話をさせようって話になってるの。だから先生方はガーデニング部を応援してるのよ。でも先生は文芸部の味方だからね!あきらめないで頑張って!」
状況はもっと最悪らしい。てか花壇の世話させるためにガーデニング部を贔屓するとか酷すぎるだろ。
これ以上何を言っても状況は変わらないだろう。職員室を後にした。
「中学の担任がアイツだったら、俺の人生も少しは変わったのかな」
柄になくそんなことを呟いた。




