21話
21話
俺は驚いた。なぜなら中学時代の俺を知ってる人間がこの学校にはいないはずだからである。
アネキや先生なら知ってるだろうが、簡単に言うはずがない。
クラスのヤツらが俺らの方を見ている。
日向はあまりのことに反応できておらず、ただあわあわしている。
「なんで知ってんだ。白鳥」
「下の掲示板に貼ってあったんだよ! 咲良竜也は中学時代ヤンキーだったって」
「なんだと」
席を立って掲示板に向かった。
白鳥と日向も後ろから着いてきている。掲示板の周りには人だかりができていた。
ほとんどが1年だ。たぶん俺の名前を知ってるのが、ほとんど1年だからだろう。
人ごみを無理やり押し分け、やっとの思いで掲示板の前まで来た。
周りの生徒は本人が来たからだろうが、全員走って逃げてった。
そのおかげで白鳥も日向も簡単に掲示板まで来れた。
「ほらっ! ここだよ」
白鳥が指差した場所には確かに、咲良竜也は中学時代ヤンキーだった。と書かれていた。
細かな詳細こそ書かれていないものの、俺が中学時代にクラスで暴れてクラスメートを傷つけたことや俺がどういう目で周りから見られていたかが詳しく書かれていた。
今となってはもう気にしていないからいいものの、こういう風にみんなの笑いのネタにされるのは無性に腹が立つ。
「悪魔さん。これは」
「咲良! ホントなのか?」
2人の視線が俺に向けられる。
俺は正直に答えた。
「ホントだ。俺はヤンキーだった。ケンカもしたし、他人に迷惑もかけた」
2人は驚いた顔をしている。日向に至っては少し顔に青みがかかっている。まぁ、当然の反応だろう。知り合いがヤンキーで、いろいろやらかしてれば、こうもなる。
それに日向は純粋だ。知らない何かがあれば興味を示すし、それがなんなのかを知ろうとする本当に子どもみたいなやつだ。だからこそ今回の1件は相当こらえたのだろう。
少しの間沈黙が続いた。その中、日向が口を開く。
「でも『だった』ですよね? 今は違いますよね?」
日向は俺を信じきった目をしている。心から俺を信じてくれてるのだろう。
「そうだよ! 今は違うんだよな?」
白鳥も少し希望を持ったようにしていた。
「あぁ。今は違う。ケンカもしてなきゃ他人に迷惑かけたりもしてねぇよ」
2人の顔が安堵に包まれた。
でも今まで通りとはいかないだろう。
俺と2人には絶対に心の距離が生まれる。俺はそれを通学の時に知りたくもないのに学んだ。
2人に背中を向けた。
面倒なヤツらではあったが、迷惑はかけたくない。
「悪魔さん! どこに行くんですか!」
日向が俺の腕を掴む。
「中学時代のことがバレたんだ。俺と一緒に居たら、お前らも変な風に見られる。お前らには関係ないんだから迷惑はかけない」
本心だった。
正直に言えば、コイツらとのやりとりは割と楽しかったので、残念だが仕方あるまい。
歩こうとしたら前に白鳥が来て、両腕を広げ、道を塞いだ。
「そんなことで俺らが友達じゃなくなるかよ! 前はヤンキーだったかもしれんが、今違うならそれでいいだろ!」
「そ……そうですよ悪魔さん! 今は違います。逆に私を助けたりして良いことしてるじゃないですか!」
「あのなー、俺と関わっているだけで変なヤツに見られたりヤンキー扱いされるかもしれないんだぞ。それでも俺と一緒にいるのかよ」
「いる! (います!)」
即答されてしまった。正直少し悩むだろうから、そのまま立ち去ろうとしていたのに、予定がくるった
「勝手にしろ」
結局、肯定してしまった。もう他人に迷惑はかけまいと思っていたのにこいつらの優しさに甘えてしまった。こいつらが同じ中学だったらと柄でもないことを考えながら俺は歩き出した。




