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元ヤン君と天使な彼女  作者: Rewrite
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19話

 19話


 俺が家に帰ってきてから1時間後アネキが家に帰ってきた。

 あの後一応アネキに連絡を入れたら、日向が泣きやんだ後心配なので、家まで送っていったそうだ。

 俺も今の日向を1人にしておくのは何かと不安だったのでちょうどよかった。たぶんあの場で俺が残ってもどうせ気の利いたセリフなんて言えなかったし、何か言ってもそれはきっと逆効果になってしまっていただろう。こういう時にアネキは本当に気が利く。

 アネキは俺が日向の様子を聞くと、家に着いた頃には少し元気を取り戻していたようだ。

 強いと思った。

 俺なら暴れるなり、誰かに辛く当たっただろう。

 現に俺は過去に自分の中に溜りに溜まってしまった自分にもわからない黒い感情をクラスの奴らにぶつけてしまった。あの時の感情がなんだったのか今になってもわからない。

 ただ、それはとてつもなく黒い感情で小さかった俺にはどうしようもないくらい重くて暗くてすごい質量を持つ、とんでもないものだったということしか今の俺にはわからない。


 その後アネキが帰って来たので、俺たちは重たい雰囲気で夕食を取った。

 いつもだとここでアネキが「今日は友達できた?」、「自由ちゃんとなにした?」などやたらと俺の学校の話を聞きたがるのに今日は何も聞いてこなかった。

 でも、かといって自分から話しかける気にもなれない。お互いに今日の一件は大きすぎる事件だったのだ。そのことが俺もおそらくアネキも頭から離れない。引き離せたとしても磁石のS極とN極のようにすぐにお互いを引き寄せあってしまう。

 夕食を食べ終えても、自室に戻っても、何もする気にはなれなかった。

 何かしようとすれば今日のあの一件について考えてしまうのだ。それもどんどん悪い方向に―――

 だから寝ることにした。



 この日も夢をみた。

 思い出したくもない、中学の頃のあの夢を―――


 僕は次の日、学校に行った。

 昨日あんなことがあって家を出たくなかったが、親に追い出された。

 学校に着いても落ち着かなかった。

 気づいたら準の席を見てしまう。まだ準は来ていない。

 いつもなら来た瞬間、挨拶してくる友達も、話しかけて来ない。

 でも僕はこんなことにも気づけないほど落ち込んでいた。


「咲良!ちょっと職員室に来い」


 今日僕に最初に声をかけたのは先生だった。

 先生に続いて職員室に入ると、先生は僕の目を見ながら言った。


「昨日、近くの学校の生徒とケンカしたな?」

「はい」


 正直に答えた。


「準のことも殴ったらしいな?」

「はい。でもあれは準が僕をバカにして!相手と一緒になって僕に暴力を―――」


 僕は弁明しようとしたら、先生は抑えきれないといったようすで、口を開いた。


「準はそんなことを言ってなかったぞ!殴られた生徒もだ」


 先生は今までにないほど憤っていた。

 今にも僕の胸元を掴みそうなほどに。

 僕は訳が分からなかった。ただホントのことを言っただけなのに、正しいことをしただけなのに怒鳴られた。

 僕はもう一度説明した。準を守るためにケンカしようとしたこと。準が相手と一緒になって僕を傷つけたこと。ありのままを全部話した。

 でも先生は僕を信じてはくれなかった。

 準が僕に殴られ、僕が他校の生徒ケンカしたという偽の事実だけが残った。

 僕は駆け出した。

 気づいたら自分の教室にいた。

 教室に戻ったら、みんながひそひそと話している。

 みんなは僕の方を見て「こんなヤツだったなんて」、「なんであんなヤツがこの世にいんの」、「怖いなー。どっかいかないかなー」

 そんなことを言っていた。


 何も信じられなくなった。


 先生には信用してもらえず、親友には裏切られ、友達も失った。

 僕は―――すべてを失った。


 僕は暴れた。

 机を蹴飛ばし、椅子を振り回し、近くのクラスメートを誰彼かまわず殴った。

 どうにでもなれと思った。

 このあと先生とアネキが止めに来るまで僕は暴れた続けた。


 僕はこの日


 ―――悪魔になった―――




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