プロローグ:改竄師とは
この世界には、「魔術」というものが存在する。
「魔力」と呼ばれる特殊な体内エネルギーを保有する者のみが扱える、超自然事象。これを使いこなすには相応の鍛錬が必要であり、その危険性から一般の社会からは隔絶された技術である。
魔術は一般社会に隠しているとはいえ、その裏で一般社会に貢献している。魔術師は「魔術統合機関」の学校で魔術を研鑽し、やがて「魔術職」につく運命にある。
その魔術職の中でも特に重要なものに、「改竄師」というものがある。
これは、まだ魔術があまり発展していなかった昔に起こった「魔術災害」を閉じ込めた本、「魔術原本」の中に入り込み、その災害の元を取り除く職業である。なぜ必要かと言うと、この原本は五百年の時が経つと封印が解け、災害の元になったものが現代に解き放たれてしまう為である。
改竄師に必要な素質はただ一つ、強いこと。
改竄師になるにあたり必要な条件はただ一つ、「魔物」と呼ばれる生物と契約し、共存関係になること。
本日の世界各国の魔術統合機関は、改竄師の育成に躍起になっている。
最も多くの魔術原本を排出した「暗黒の時代」から、ちょうど五百年の時が経とうとしているのだから……