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第 7 話  ディスプレイフライト

 空中に見えない鏡があって、そこで反射するように向きを変えたのだ。


 小型猛禽類のディスプレイフライトを思い出した。

 何か別のモノに変容する過程かもしれない。


 今は……

 日差しを浴びた何も載っていない作業台の上で、二色の目を輝かせていた。

 牙の間から、赤い舌が炎のようにチロチロと見えた。


 無傷で捕らえられる程、優しい相手ではないと思った。


 三度目の跳躍があれば由香里が危ないかもしれない。

 彼女は手加減をするが相手は必死なのだ。

 そして……明らかに、彼女は戸惑っていた。


 

「心配する事はない」


 自分でも、誰に言っているのか分らなかった。

 たぶん、そこに居合わせている私を含めた三人と一匹に聞かせたかったのだろう。


 一番最初に関心を持ってくれたのは、黒い獣だった。

 その視線は、ローマ システィーナ通りのジュエリー店を見る女のように熱かった。


「誰も、オマエをイジメたりはしない」



 急に、獣の視点が私の横に外れた。

 少女が私の隣に立っていた。

 心配そうな表情を浮かべ、優しく異国の言葉で話しかけていた。


 だが、荒々しい闘争心と邪気は消えなかった。

 もう、誰の言う事も聞かないだろう。


 少女の腕からバスタオルが落ちた。

 そして……ギリシア語のスペル。

 魔法?

 


「窓を背にするように移動するんだ」

 私は、抑揚のない声で由香里に言った。

「ソイツの青い目の方から捕まえろ」

 ソイツに言葉が通じない事を祈った。


「私が動きを止める。その時、捕まえてくれ」


 一歩踏み出すと、熱い視線が瞬時に戻った。

 

 やはり……私を恋する瞳では、なかった。

 


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