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住所
名刺の住所に着くと、雑居ビルだった。
どうも、いやな感じがするが、頭を振ってそんな考えを捨てた。
雑居ビルの3階にその住所の場所があるが、そこにはレンタルオフィスと言えばいいだろうか。
小さなブースに区切られた部屋が階一杯にあるようだ。
「こんにちは」
受付を見つけると、俺は受け付け人に挨拶する。
「どうしましたか」
その人は、ぶっきらぼうに俺に言った。
それどころか、新聞を読み続けていて、顔すら向けようとしない。
「この名刺の人、ここにいますかね」
借りた名刺を見せると、面倒な顔をしながらも、調べてくれた。
「ああ、借りてましたね。今はどこかへ行っちゃってますけど」
「どこに行ったかわかりますか」
「郵便等の転送先はここですね」
教えてくれたのは、私書箱の番号だ。
「わかりました。ありがとうございます」
礼を言ってから、その私書箱へ向かってみることにした。