部下泣かせの魔王様は回顧めもりーを語ります
放置しすぎでしたね☆
読みづらくてすみません
◇◇◇
「そして今に至る…と」
「待って!はしょりすぎだから何が何だか分かんないっていうか泳げなかったんだね魔王様!」
ノンブレスもとい、一息で突っ込みを入れる部下テディ=ベアに、称賛の拍手を送るのはこれまた部下のナディアス=キーファ。
今、くまのぬいぐるみを想像した人、ある意味大正解。ナディアス(通称ナディ)がクマのぬいぐるみの姿をしていて、テディ=ベアがゲル状…げふん、スライムです。
……嘘です。ちゃんとぬいぐるみがテディ=ベアで、スライムがナディです。すみません、調子に乗りました。ちなみにお二方とも♂です。
スライムなのに拍手が出来るのか、と思う貴方、何故か出来るんです。ゼリーとゼリーが勢いをつけてぶつかることにより、空気抵抗の関係で……ごめんわかんない。なんかそんなことをアリ―ちゃんが言ってました。あ、アリ―ちゃんて言うのは、ピンク色の蛇さんです。
最初に会った瞬間、思わず腰を上げてしまった私は悪くないと思う。
だって大蛇なのだ、アリーちゃんは。
想像してほしい。パルテノン神殿の支柱ほどもある太さの胴体をもつ大蛇を…しかもピンクなのだ。ショッキングピンク!!!!!!
怖いでしょ?絶対怖いよね?そうだと言ってよおおおおおお!!!!!!
これをクマ(テディ=ベアの愛称。英語の大嫌いな私がティなんて巻き舌出来ないのさ、はっはーん!それに、本人に『奇妙な発音で名前を呼ばれるなら、屈辱な呼び名でもかまわない』と言われたらそう呼ぶしかないでしょー。……そこまでひどかったか私の発音)に言ったら、頭をはたかれて「何言ってやがんだあんた!」と怒られました。ひどい。
そして「ぬいぐるみのくせに」と呟いた私に、さらに一発食らわせてくれやがりました。
いや、私が悪いのはわかってるんだけどさ、一応私、権力者というか王様ね。『魔王』とか呼ばれる存在なのに、部下に暴力振るわれるとか何事よ。
しかも見た目ぬいぐるみなのに、こぶしが固いというか…うん、見た目にそぐわぬ重いパンチ。
ぬいぐるみに虐められている私を見て、ナディが半透明の体をプルンと揺らしながら、思案気な色をした。『考え中』というテロップが体表を駆け巡る。いやマジで。
気になったので声をかけると、ナディは何とも言えない顔で私に質問した。
「魔王様、私の姿はどう見えますか?」
「え、うっすら紫色のスライムじゃないの?」
「「え」」
はもるなそこ。疎外感を感じるじゃないか。……いや、見た目からして疎外されてるが。
「いやいやいや、種族の問題じゃなくてですね、ナディアスの見た目を……」
「いや、だからスライムでしょ。…今は少し黄色っぽくなってるけどさ」
クマが、「まじかよ」とつぶやいた。なんだどうした。
「えーっと、魔王様?テディの外見とかも教えてください」
「くまのぬいぐるみのテディベア。目の色は紺色で、銀に近い色の毛。」
ナディが「ええええええ」とつぶやいた。なんだどうした。
「ってまさか魔王様、だから俺のこと『クマ』って?!」
「それ以外何がある」
「名前からじゃなかったのか?!」
「それも含めてだけど」
クマがよろよろと後ずさった。
『マジありえねぇよ。この人もうやだほんと』とか、ぶつぶつ呟いている。しかしその姿は愛らしい。
こっちこそやだよ。もう何これ意味わかんない。いい加減仲間外れにしないで。魔王様さみしい。
「なぁテディ、私はまだ魔王様に種族を言ってなかったんだ……」
「つーことはつまり、アレか」
「えぇ、確実にアレです。まさか本当にいるとは思わなかったというか、ここまでイレギュラーじゃなくてもいいというか……」
「もうやだこの魔王」
しくしくと泣き始める二人。
うん、すごく貶されてるよね。
とりあえず私にわかるように説明しろ
―――――ということがあったなぁ、と思い返した。
回想が長くて申し訳ない。
まぁ、簡単に今の状況を説明すると、異世界トリップして溺れかけた私がいつの間にか魔王になってたんです。
それで、私はものすごく不条理な存在らしくて、『マジ勘弁してください』と部下に泣かれました。
…普通そこは崇め奉るところでしょ。魔王なんだし。
え、偏見?
いえいえ、この世界は実力社会なのです。
主人公が自由人過ぎて、筆者泣かせです。
部下も泣かす主人公……。うん、それは不可抗力だけどね