発つ魔王様、あとを濁さず1
すみません終わりませんでした。
よって、「1」です。もしかしたら前回の更新時点で気付いていた方がいたかも☆
「「何で溶けたの?!」」
目の前で『じょわああああああああ』とか音を立てて解けた黒ドーム。誰だよ溶かしたのそうかお前か若鷹。
「兄上、溶解スキルでも取得してたんですか?」
「いや……多分勇者様への憧れが「団長きもいです」ジェームズ素振り一万回」
ジェームズは崩れ落ちた。
止めてくれてありがとう。私のチキンスキンが止まらなかったよ。
そして『溶解スキル』って何さ。
「ユウ様!」
そして迫りくるゲル状の物体X。知り合い?そんな馬鹿な。
ううう、頬のあたりがぬちょっとした感触……体液をつけないでください。ただでさえ君の体は80%水分でできているんですから。
「心配したんですよ…!」
耳元で囁かれる美声。
切なそうに、外見に似合うしっとりとした声が鼓膜を揺らす。そんなに心配させたんだ。不可抗力の転移だったけれど、申し訳ない気持ちになる。・・・・・・・・・・・・これでスライムじゃなきゃ魅せ場なんだけどね。ははっ。
「ごめんね。ところでどうしてナディがいるの?」
「アリーが送ってくれたんです。・・・・・・・・・そんなことよりも、アレを使いましたね?」
わあ、バレてるう。『アレ』とは、先ほどの『干渉』のこと。
私の力なんだから、好きに使ったっていいじゃないか。それとも何だい、君らは魔王を拘束もとい支配しなければ気が済まないの?
ここ数日でささくれた心が黒い感情を生み出す。
「そんなに不貞腐れた顔をしないでください。咎めているのではありません。現に、貴女が使ったことで我らは貴女の位置を特定できましたし。
…ただし、覚えておいてください。干渉は、我らの国でしか完全に作用しません。酷い時には、あなた自身に降りかかります」
「………それ聞いたことがないんですけど。ただ国でしか使っちゃいけないとしか聞いたことがないんですけど」
そうでしたっけ?と首をかしげる(無脊椎動物だけど)スライムに不覚にも癒される。・・・・・・か、可愛いからって騙されないんだから!
あと、ナディはさっきから私のことをいつもの呼び名『魔王』で呼ばない。そこらへんは評価できるね。頭は悪くないってことがここで活かされた。
「知り合いか?」
兎の言葉に、未だ解放されない抱きつかれたままの状況で首肯する。だって言葉にするの面倒くさい。
それに対し「本当だったのか」と呟く獣衆。若鷹は何故か落ち込みだした。ナディが何かやらかしたの?……一応、彼は常識人ポジションにいないので、ものすごく心配だ。クマなら安心できるんだけど。
「不本意ながら」
その言葉に若鷹は持ち直す。……スライム何をしたんだ。
「酷いです!私たちの間には切っても切れない特別な縁があるというのに……!」
知るか。
というよりもまず、私たちの間には本質的な問題として、捕食者と供給者的な関係しか成り立ってないよね。確実にエサとしか見られてないよね、私。部下に餌認定されるなんて、不憫としか言えないのではないかと思う。・・・大丈夫、泣いてないよ。目にゴミが入っただけだから。
・・・・・・あの、ラキアスさん?何故そこで剣を構えるのでしょうか?背後にゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……というような炎が燃え盛っているんですけど?
「修羅場?」
「修羅場じゃの」
「修羅場っすね」
「これが修羅場か」
上から亀、兎、カワウソ、黒靄の言である。実に疎外感を感じているかのような、傍観者ポジションの会話である。
「何で修羅場かは不本意ながらも後できっちりと聞くことにして、とりあえず本題入るよ」
いつのまにか引率の先生的な立場にいた私。
誰か代われや
くるりと黒靄に体を反転させる。その際にナディを引きはがすのはご愛嬌。
自然と場の空気が引き締まり、皆私へと注意を向けた。そのまま、黒靄へ告げる。
「さっきも言ったと思うけど、私は貴方のやっていることに何も口出しはしないよ。」
否定も、肯定もしない。
「でもねえ、私に被害が来るのなら、話は別」
こんっな面倒くさいことに巻き込みやがって。
だから、
少しくらい仕返ししてもいいよね?
はい、尻切れトンボです。
以下、遅くなった言い訳
更新しようと思い、構想を練っていたら・・・・・・少々凹むことがありまして。それまで、前向きにできそうで嬉しかったのにこの所業。
ショック受ける→怒りがわく→ショックを受ける
のループで精神的に疲れて小説読み漁ってました。今もMP徐々に削られてます。
そういえば、餌と表記しましたが、まんま餌です。あはんうふんなかんじの餌ではありませんよー。
それも次回かそのまた後に明かせればいいなあ。
・・・・・・うん、いい加減勇者編終わらないかなあ