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みっしんぐ魔王様―――月竜国では

番外編とかは使いたくありませんでした

そんな話です。




 ――――――月竜国の執務室――――――



「みーーつーーかーーらーーなーーーい!!!」


「煩いよキーファ」


 うごうごと蠢き叫ぶスライムに、大蛇の渾身の一撃が与えられる。

 人型verでの描写では、長髪をふり乱した美形がボォンキュッボン!の美女に回し蹴りされている。

 男のほうは若干艶の薄れた銀髪から覗く隈が痛々しいが、それでも軽く美を超越した美貌は損なわれていない。むしろ触ればもろく崩れ去ってしまいそうな、繊細な美しさを与えている。決して乱暴などしてはならないような神々しさ……美形というのは本当に得である。それにも関わらず、手加減なしでドレスのスリットから覗くその美脚て沈める美女……特殊な趣味を持つ者にとってみれば是非変わってもらいたい状況にある。繰り返すが脚フェチなら崇めたくなるほどの美脚だ。

 そういうわけであるために、彼女のその行為を指でくわえて見守る男共が現在、多数存在する。


 美男美女のやり取りは見る者に眼福を与えるが、これからの記述はあえて魔王様描写風に綴らせていただく。ただの美形わんさかを求めるならば、この小説はお勧めできないのがよくわかってしまう。ええ、作者自身も美形描写に飢えているこの状況でのこの行為。登場人物が主人公を除きほぼ美形であるというのに、決して美形描写がないのは美形好きに喧嘩を売っているとしか思われない。ちなみに作者は美形が好きだ。主に観賞用的な意味で。



 月竜国では、連日連夜…とはいってもこの三日間であるが、国中がパニックに陥っている。

 何故か。

 それは現在、月竜国の魔王が姿を消してしまったからである。ゆえに国力を上げて、目下捜索中(探索中)である。・・・・・・が、見当たらない。

 他国の協力を仰ぎ(強制ともいう)探索の手を広めるが、やはり見つからない。この世界のどこにも月竜国の魔王の痕跡がつかめないのである。魔王が一人でも欠けるということは、世界が成り立たないことと同意義であるので、国レベルでなく世界レベルで一大事だ。

 けっして自分から「魔王になります」なんて言ったわけでもなく、周囲に泣き落としされても脅されても拒否り、仕舞には嵌められて魔王になった彼女であっても、魔王であることには変わりない。最初の方の「しかたないか」という魔王様のセリフは、かつての自分の所業を忘れ去った結果にある。まあ、脅されたことには変わりないが。

 ちなみにその嵌め方といえば、宅配便の受け取りの際、婚姻届にすり替えちゃいました☆と言うようなレベル…。印を押す書類を取り換えたのだ。騙される方が悪いが、まあ魔王様の場合は自業自得だ。



「危ないですねえ。私じゃなければお陀仏でしたよ」

 大蛇からのしっぽビンタをくらいながらも無傷でプルンプルンと震えるスライム。ゲル状のスライムはのほほーんと抗議した。

「この規格外が……!」

 盛大な舌打ちをする大蛇に全く恐れを抱かないスライム……スライムって、直接攻撃に強かったっけ?


「お前ら、イライラするのもわかるが、執務室(ここ)で暴れるなよ…」

 テディは二人に抗議する。重要な書類とかあるんだから。もし破れたり失くしたりしたらテメエらが書き直すのか?ああ”?  というオーラを纏うぬいぐるみに、二匹はしぶしぶ従う。


「で、何の手がかりも見つからないのか?」

「手がかり…ってことでもないけど、私の剣が持ち出されたっぽいのよね」

「剣…っつうと、あの(・・)レイピアか?」

「ええ。あの(・・)よ」


 大蛇と蛇が含みを持たせて会話する。それを横目にスライムはうぞうぞと魔王様のいないこの状況を嘆く。


「剣なんかが魔王様の手掛かりになるものですか。・・・・・・ああ、御労(おいたわ)しや魔王様」

「あのね、一応あの剣は私の血筋か魔王しか使えない代物なの。これに該当しない者は触れただけで肉が腐り落ちるのよ。」

「ということは」

「ええ、魔王様は人間の境界(あちらがわ)にいる。

しかも最悪なことに、狂った血の集う国よ。」


 執務室に沈黙が落ちる。

 人間の境界と言えば、決して超えてはならないという盟約がある。越えられるのは魔王のみであり、一介の配下が超えた次点で死、あるのみだ。

 そして、『狂った血の集う国』とは、かつて大蛇が巫女として存在させられていた国であり、どの世代にも必ず一人は狂う者が王家に生まれる。まるで示し合わせたように破滅と再生を繰り返し、愚の踊る饗宴は開き続ける。狂った者が国を傾け、また別の狂った者が国を戻す。狂う者しか国を統治できない、そんな呪われた血筋――――――。魔王である彼女が居られるような国ではない。きっと、早く助けねば彼女まで狂ってしまうだろう。大蛇はそう確信を抱いていた。

 階渡りをするのを無言で匂わせた大蛇に、スライムは推測を一つ呈する。


「しかし、貴方の血筋でも扱えるというのなら、彼女(魔王)以外の者であるやもしれませんよ」

「そうだとしても、私の血(竜血)を受け継ぐ者が在るのよ。この世界にとっても有益じゃない」

「だが、彼女(魔王)の存在価値と比べれば取るに足らない」

「そうだけど、」

 

 大蛇が更に反論しようとした時、無機質な音声が流れた。



『<選択を受諾>』



 三人に緊張が走る。


「受諾?」


 これは月竜国の魔王のみが行える術。



「ナディアス、どこで行われた?」

「……アリーの推測通りですね」

「ああ、もうやっぱりあの子ったら!」


 怒りを隠しきれない大蛇は尾を床に打ち付け、低く罵った。そしてスライムに向き合う。


「私はこの国から動けない。だから、キーファが行ってちょうだい」

「わかりました。それまで保たせてください」


 その返事とともに大蛇の展開した式に組み込まれ、姿を消す。



「絶対、帰ってきなさいね」



 大蛇が震える声で激励を飛ばした。






 その姿を悲しそうに見るぬいぐるみは、呟く。







「俺、いる意味なくね?」




「団長、気を落とさないでください!」

「そうですよ。団長は肉弾戦中心なんですから!」


 周りの団長を励ます言葉が途切れることはなかった。



こんなんで許してください

今月の忙しさに泣きそうです。


コーヒーでマックスコーヒーよりも甘いブツを作ってしまったり、いろいろありました。

これについて今度詳しく語ります。では

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