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若鷹・亀王子vs老鷹を観戦するのは魔王様のみ

はっきり言って、今回は後半部分からギャグではなくなります。

人によっては気分を悪くさせることもあるかと…

そんな方は是非とも回れ右でお願いします


三つ巴。


昼ドラにおける定番である。

恋愛における定番でもあるが、昼ドラのほうがドロドロしている感が否めない。もはや昼ドロだよね☆



◇多角関係は複雑模様。それが恋愛関係なら泥沼模様◇



玉座は大広間に存在する。

そこは会議場ともなっていて、国の一大事には必ずそこで行われる。

魔王を倒しに行く勇者のお供を選出するのも『国の一大事』と分類されるようだ。

しかし、それは今現在難航している。

私個人としては誰でもいい。

だから、今回は傍観者側とさせて頂こう。




「それが許されるとでも?」


若鷹が全身の羽毛を膨らまし、静かな声で告げる。

議場には静かな怒声が響き渡り、その場にいるものを委縮させるには十分なものだった。

美声の怒声って、こんなに腹に響くものだったんだ……


「お怒りは判りますが、我はこの戦いにどうしても参加せねばならぬのです」

「ラキアス、そんなに怒らないでよ。」


兎と亀の発言に、猛禽類独特の眼光鋭い目をさらに強める若鷹。

相当な怒り具合だが、二人は平然と……否、飄々としている。煽るなよ。


「貴方たちはご自分の立場を判っていないのでは?」


口調こそ丁寧だが、その分周りの人間に怒りのほどを感じさせている。

とりあえず部屋の室温を下げるのはやめようか。

当事者ではなく、周りで傍観している者達に被害が及ぶとはこれ如何に。

そんな外野の状況を知りもしない若鷹は、くるりと体を反転する。


「王よ!」

「えっ、ワシ?!」


眼光鋭く、王子の父親であり自身の兄である王様にターゲットロックオンする弟の騎士団長。

うむ、老鷹vs若鷹ですな



「国王様、威厳が……」

「神官長よ、そうはいっても我が弟を前にしてそんなことができると思うか?」


古狸が王様に進言するが、ヘタレ王は弟の恐ろしさを語りだす。


「アヤツはな、五歳の時に我を物理的にも精神的にも倒したのだぞ!下手に反抗してみろ、命をとられるわい!」


もうお前、弟に王位譲れよ

この場にいる殆どの者がそう思った。

二十以上も年の離れた男ざかりが、当時一桁の弟に負けるとかおかしいだろ!

これが一国の王の姿である。この国の大臣どもがいかに優秀かが判るというものである。



「まあ所詮、父上ごときですし」


王子―――!?


オブラート?何それ。

そんな態度で父を貶す息子。

え、何これ。親子中冷め切ってんの?


「まあ、ワシとしても早くお前に王位を継いでほしいんじゃが……下剋上出されてもかなわんし」


それ絶対後半が本音だよね。前半は建前だよね。『誰に』とは聞かないけどさ!



「「私(兄上)は王位に興味がないので」」


父親よりも叔父との仲のほうが良好ってどうよ。

丸々太った鷹王の額から冷や汗が流れている。顔が悪い。……間違えた、顔色が悪い。



「いや、どっちかというと息子なんじゃが…」


「まだ私には荷が重い(めんどうくさい)ので、時が充ちたら頂きます」

「その時は手伝うぞ」


何この修羅場。

王子、アンタ自由な時間に飽きたら王位を継ぐって……


王様、ガンバ



「もうヤダこいつら……クルト、王族に帰ってくる気はないか?お前だけが清涼剤だ!!」


「え、嫌です」


バッサリ斬る兎。


「王よ、それでは巫子がいなくなってしまいます」


狸が嗜めるも、王は渋る。


「しかしじゃな、我の気持ちもわかってくれ。

クルトは我が従姉妹にそっくりなんだ。そして、非嫡子ではあるが我が子なのだ」


「…そんなこと言って、本当にクルトが女だったら貴方は政治のコマとしていたはずだ。

災難にも、顔だけは極上のあの女に似ているから、どこの男でも喜ぶでしょうし」


「口を慎め、息子よ」


王子が吐き捨てた言葉を王は一喝する。

なにこのいきなりのシリアス突入。ついていけないんですけど。

そんな周囲の困惑はシカトで四名は話を続ける。


「でも事実ですよね。

リシア伯母上は国一の美女だった。帝王学には興味がないのに権力が大好きで……ああ、クルトの父親は貴方ではありませんよ。」


騎士団長がそれに加勢する。



「何を言っている、ラキアス」


「まさかご存じない、と?

もしかしてクルトに王族の証があったから自分だと?

教えてあげます、クルトの父親は――「止めてください、ラキアス様」クルト?」


若鷹の言葉を遮り、兎が口を開く。


「王よ、私が巫子となったのは自分の出自を知っていたからです。

私は王がご存じだと思っておりました。」


「あれは女狐だからねぇ…ま、普通は子供に実の父親の名前を言って聞かせて育てる、なんてありえないんだけど、相手を相当慕っていたようだし。」


王子が加える。

王の驚愕を観察して楽しんでいるようだ。なんて性格の悪い。


「…それで、相手は誰だ」


唸るように王様は命じる。

先ほどまでの感情が嘘のように冷え切った声色は、彼が一国の王であることを痛感させるものであった。


「お断りします。

クルトが嫌がってますし」


「それに、頼み方というものがあるのではないですか?

私達が貴方をその椅子に座らせてあげていることをお忘れなく。

…別にいいのですよ?今この瞬間に、主を変えても」


王子の軽い口調に、硬質な団長の声が加わる。

確信犯、ね。

魔王に狙われておきながら国を上手く纏め上げられなかった王を『無能』だと称している、か。

それを直接的な言葉を使わずに言うなんて、腹黒の二乗としか思えない。


「だが、今現在はワシが最終決定権を担っておるぞ」


「馬鹿ですか?むざむざ皇位継承権をもつ者を絶やすなんて。

貴方に世継ぎを作る力はないんですよ」


「王子も貴方の血をひいていませんよ。

貴方が無理やり引き離したある夫婦の子供です。

ま、それでも王族の血は貴方よりも濃く、王にふさわしいですが。」


「まさか、あの男が父親だというのか?!」


「何故嘘を吐く必要があるのです。はっきり言って、その方は貴方よりもその玉座につく正当な権利を有しています。……そうでしょう?兄弟殺しの、兄上」


「貴方は、私の母上が欲しかった。

最初に見初めた時、母上は既に貴方の兄の婚約者だった。秘密裏に兄を亡き者にして、彼女を得た。

でもね、母上は知っていましたよ。あなたが裏に居た、と。だから貴方に心を開かなかった。一度きり臥所を共にしただけで孕んだことを不思議に思いませんでした?私が予定よりも早く生まれたのに、未熟児ではなかったことを不思議に思いませんでしたか?

答えは、貴方の息子ではないからですよ。

いくらこの国が出産における治療に優れていたとしても、何も問題なく母体を傷つけず産まれてくるなんてありえません。

知っていました?医者もグルだったんです。」


楽しそうに、

楽しそうに、

亀は嗤う。


父親の仇である育ての親を嘲笑う。



「お前など、産まれてこなければよかった。

知っていたら、目の前に今いなかったというのに…!

ワシを謀った、その者らには後で処分を決めよう」


顔を青くした王に、さらに若鷹は言い放つ。


「偽りの兄王よ、もう一つ素敵なことを教えてあげます。

貴方は本来、その席に座る血を有していません」


「…何?」


「貴方は、母上の不義の児です。

先代の王妃は一時期、帳に隠れた時期がありました。それは、浚われたのですよ。

その十か月後に生まれたのが、貴方です。」



「「さて、謀りの王、これらを知ってもなお反論できますか?」」



亀と若鷹の声が重なる。


王は崩れ落ちた。





とりあえず一言言いたい。


お前らの話が国家機密すぎて、兎が男だったことに驚愕できなかったじゃないか!

その時の周りの反応



(巫女姫が、巫子皇子だと……?!)


「つまり男の娘か」



(皇子って、国王の調子じゃないの?!)


「まあ、鷹と亀だしねぇ…」



(え、王も先代の王の子供じゃないの?!)


「何この混沌とした血液関係」



もう三十年分は驚いたと思いますby聴衆の皆さん






()はギャラリー、「」は魔王様のツッコミです。



一つ伏線ひろい忘れましたが、次回に持ち越します。

実はですね、本当はギャグで始まりギャグで占めるはずだったんですよ。

でもね、恋愛に行けなかったんだ。

若鷹が王様をロックオンした時点ですべてが狂い始めたんだ。

兎の恋模様は次に持ち越しです。すみません!

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