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魔王様と若鷹さん

今回は第三者視点を入れてみました。

書きやすかったです。

普段以上にぐっだぐだですが、頑張ったんです。私にはこれが限界です

「来るなバカーーーー!」


 神様、私が何をしたというのです。


 皆様ごきげんよう、そして走っている方、仲間だ。是非私と友達になろう!

 只今全力疾走しております。





◇ラブロマンスを求めて◇



事態は数刻……いや、数日前に遡る。


故あって召喚という名の誘拐をされた私は、ここ数日特訓という名のシゴキを受けていた。

現代の日本で、しかもインドアな花の女子高生にする行為ではないと思うんだ。そりゃあ、異世界補正の男子であるならばまだ判る。しかし、私は女子。

この世界は女性の扱いがなってないんじゃないかな。魔王云々のまえに、女性における権利拡大を進めればいいんじゃないかな。


とまあ何故現実逃避をしているかというと、



「勇者様、わきを締めてください!」

「むーりー!」



若鷹に切りかかられているからだよ。

ちなみに、王様と区別して騎士団長の彼のことは『若鷹』と形容することにした。

今では薄ら禿な王様だが、若いときの武勲を世界に轟かしていたそうだ。

残念なことに王子には、その武才は引き継がれなかったそうで、どちらかと言えば若鷹のほうが若かりし頃の王様に似ているらしい。

まあその代り、王子様は魔術と治政の才に恵まれているとか。


向かい合う鷹は、凛々しい。

今まで見てきた中で一番の美鷹ではなかろうか。


でもね、私が見たいのは人型の美形なんだ。だからごめん、きみの造形に感嘆できないんだよ。どちらかというと母なる自然をたくましく生きるその姿にしか溜息は出ないんだ。

え、分かりづらい?

一言で纏めると、鷹の美醜は私得ではない。

どちらかというと、もっふりしたほうが私得だ。

でもなあ、この鷹すっごい美声なんだよ。ナディ並に腰に来るんだ。耳元でこの声に笑われてみろ耳がご臨終すること請け負おう。声フェチでない私がこうなんだ。もう、歩く卑猥者なんじゃないかこの人。それほどまでの犯罪ヴォイス。



「逃げてばっかりでは、魔王なんて倒せませんよ」


「倒すなんて一言も言ってないし、まず勇者と認めてないから!」


「往生際が悪いですよ…っと」


若鷹が剣先を唸らせながら、私のがらんどうな胴を狙う。おい待て、女の子はお腹が大事なんだよ!

それをとっさに右に下がることにより躱す。あっぶな…


こ、この野郎、本気だな


美声だからって、何をやっても許されると思うなよ!



「えーい、その羽をむしり取ってやる!」


やられっぱなしは性に合わないし、そのばっさばっさしてる翼をもいでやる!



「………上等だ、かかってこい」



そしたら何故か若鷹の空気が凍りついた。






◇別サイド視点◇



 俺はジェームズ。しがない軍人の一人だ。

 普段なら、我々軍人は団長からのシゴキ…げふん、愛の鞭をうけている。

 しかし本日は勇者様と団長が打ち合っている。

 この勇者様、魔王との最終決戦のために我々に協力してくださる、高貴なお方なのだとか。

 それにしては少し…いやかなり、どこにでもいそうな空気をまとった娘だ。

 俺としては本当に勇者なのか信じられないが、巫女姫さまがそう仰るのでそうなのだろう。

 団長の愛の鞭が数日減るだけで、俺にとってはすでに株が上がってるから何でもいいや。個人的に言わせてもらうと、勇者様がんばれ。多分団長は殺しはしないと思う。

 実は団長は『鬼』と呼ばれていて、練習中は初心者相手でも手加減しない。

 勇者様本人は初心者だと言っていたので、我々騎士団員は多大な心配を寄せている。


 それで、勇者様なんだが……あの人絶対初心者じゃない!

 団長からのプレッシャーを受けて動けるってとこからしておかしい。でも、動きはかなりたどたどしい。もしかして、普段は剣なんて使わないのだろうか。そのせいだろうか。

 それよりも気になるのが、勇者様は本当に女のなのだろうか。おとこにはまっっったくと言っていいほど興味のない俺が、団長の顔には見惚れるんだ。その団長の視線を一身に浴びながらも平然と、かつしかめっ面してるなんて、本当に女か?

 この手の年頃の娘なんて、団長を一目見ればクラリとし、ひと声聞けばクラリと倒れ、話しかけられた日には昇天するほどの浮かれっぷり。…………少しは見惚れろよ!

 俺ラブロマンス大好きなのに、そんな空気全くない。団長は勇者様に興味津々なのに、勇者様全くと言っていいほど『恋愛?ナイナイ(笑)』とか言ってる!

 美形騎士に迫られる勇者(村娘)とか、俺の大好物なのに!姫君と騎士よりも大好物なのに!



 そうしたら、




「羽をむしり取ってやる!」



 勇者様がすごいこと言い出した。


 我ら騎士団は、別名『雷鳥の爪』と呼ばれている。

 故に、我らの軍服には翼が描かれている。

 それをむしり取るということはつまり、『貴様は雷鳥の爪の団員にふさわしくない』or『私に服従しろ』と言われてるってことだ。勝ったほうが負けたほうを好きにできるってことだ。決闘的なあれ。

 どちらにしろ、今を時めく騎士団長に言うセリフじゃない。

 ちなみにこの決闘まがいなもの、代理もokである。たまに、どっかの貴族の娘が美形騎士を得ようとお抱えの騎士に『やりなさい!』と命令。実はお抱えの騎士は主人のことが恋愛感情として好きで、アレ何このカオスと言いたくなるような愛憎劇が見れる。この手の話は巷の乙女たちに愛読されていて、文庫版として販売されているから気になる方は是非どうぞ。

 マジでこの二人ロマンスがない。最近の幼子ですら『わたしまーくん大好き!お嫁さんになってあげる(はあと)』とか言ってんのに!あー彼女欲しいぃぃ…



 まあ、そんな宣言をされた団長は、人形のような美貌から表情を全てそぎ落とした。



(こっえええええええええええええええええええええ………………!!!!!!!)


 美形が無表情とか、何それ誰得?!少なくとも俺得ではない!


 ロマンスが音を立てて遠ざかる。






そうして…………





「勇者様、一生ついていきます!」


「来るなバカ――――――!」




 こうなった。


 何があった?

 ごめん語りたくない。他の奴に聞いてくれ。

 もう俺、砂と血を吐けると思うんだ。

 文章で読むロマンスと、実際に目にするロマンスって、大分異なってるんだね。よくわかった。理想をリアルに持ってきてはいけないんだね。



 とりあえず、



 あらゆる意味で勇者様頑張ってください。

 我ら騎士団は両手の掌を合わせて応援しています。




もっとこう、「彼女欲しい」と叫ばしてみたかった。

ちょっと、書き足しました。

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