魔王様ちょいす勇者の武器
ちょっと頑張りました
こんにちは、魔王です。
乾いた笑いが止まりません。
◇初期装備は、聖剣ではありません◇
結局あの後、お城の玉座に無理やり連れて行かれました。
薄らハゲてでっぷり太った鷹みたいな王様の前で跪かされそうになったり、それに鼻で笑ったら牢屋に連れて行かれそうになったり、官僚たちからの値踏みする視線を集中砲火されたりと散々だった。
とりあえず言いたいのは、王様もったいない。
ちなみに王子っぽいのもいたけど、彼は亀だった。
何で鳥類から爬虫類が生まれるんだ。
…………本質の違いか。
今更であるが、この世界においては相手の本質がその者の姿をかたどって私の脳に映像を送っているらしい。実に面倒な機能である。
ちなみに話によると、王子様はリアル王子フェイスで超美形らしい。
これはメイドさん情報なのでかなり信憑性がある。
彼女らによると城にいる人間で王子レベルの美形はもう一人いて、彼は騎士団長を務めるほどの腕前だそうな。
うっきうきしながらその姿を探すと、…………鷹でした。
まじか王様と同族かよ、と思ってたら、これまたメイドさん情報で鷹騎士さんも王族の血をひいているそうだ。先代の王様の孫みたいで、現王様とは従兄弟の関係にあたるらしい。つまりこの国は世襲制で、国王の位が息子飛ばして孫にいったんだなぁ。
で、
「さあ、この中から武器を選ぶのじゃ!」
バニー巫女がハイテンションで私に言う。
え、何このテンプレ。異世界召喚らしくて涙が出てくるよ。これで会う人が皆人型だったら言うことないよ、私。
ちなみに状況説明ですが、只今宝物庫・勇者専用とかいう部屋に連れていかれました。
っていうか、普通勇者の武器って剣じゃないの?もしかして最近では複数の誘拐が流行っているの?そして皆その役目を押し付けられてるの?
もうさ、召喚術なんて封印しちゃえばいいんじゃないかな。
――――――――と、個人的感情は置いておいて、
宝物庫の中には七本の武器があった。
赤青緑茶白黒……と、包帯巻き。
なんか一つおかしいのないか?!
「なにあれ。ねえ、武器に包帯とかおかしくない?!せめて封印とかのせいでお札とかだよね?!」
「あれは特別で、勇者の武器には含まれとりませんぞ」
狸が私の叫びに答える。いたのか貴様。
え、武器じゃないのあれ。なら何でここにあるんだ。
「諸事情というやつです」
「御託は良いからとっとと選べ…………ああ、武器に選ばれなきゃ使えんからの」
「それ、選べじゃないよね。選ばれろだよね」
「基本的に勇者というものは複数の武器に好かれるからの。選ぶことに変わりはない」
で、
「ねえ、全敗なんだけど。
おい兎、複数に好かれるんだよね。何これ。全部が私に拒否反応とかおかしいだろ。説明しろや」
「『基本的に』と我は言ったぞ。
というより、我は初めて見たぞ。ここまで拒否される奴は」
焦げたり水浸しになったり、壁に亀裂が入ったりともはや部屋の機能を果たしていない惨状が目の前に広がっていた。
まさか私が魔王ポジションにいるから、奴らは嫌がってんのか?!
「巫女様、最終手段だが一応アレも試してみませんか?」
狸が兎に進言する。
兎はそれにフムと考え、ニヤリと笑った。怖いよ。
「よっし勇者よ、あの包帯のも試してみろ!」
「いいけどさ、何でそんなに楽しそうなのか教えてくれない?!」
そんなこんなで包帯に手をかける。
「み、見えない………だ…と……ってあれ、見えんじゃん。さっきまでのは何だったんだろ。…へー、綺麗な銀色のレイピアだね。持ち手が鱗みたいで面白いし。」
「、なん……だ…と…………?!」
お互いが驚きの声を上げる。
「スケルトンを扱える奴がこの世にいるとは……
それは、建国の際に尽力した巫女・アリー=タータンリート様の愛剣であるのに……!」
なんというか、知り合いによく似た名前だなあ。
「ていうか、その剣は闇属性の中でも群を抜くほどの暗黒―――凶暴さを持ってるんだけど、お前本当に勇者か?!」
「少なくとも勇者と名乗った覚えはないね」
つーかそんな物騒な代物をここに放置するな。
武器が決まりました。
知り合いの女性を髣髴させるようなレイピアです。『毒』と名のつく特殊効果があるそうです。
消毒もできるそうなので、いろいろと活躍しそうです。
とりあえず、どうでもいいですが早く帰りたいです。
今回のタイトルは悩みました。
もうひとつは「魔王様、勇者見習いになる」です。
しかし何も勇者として訓練をしていないので却下しました。
さあ、訓練するかそのままごーとぅー魔王城か悩みますね…
お気に入りしてくださった方、ありがとうございます。
駄文ですが、精進いたします。