鍵となる人物達
ひさびさです。ちょくちょく書いていきたいと思いますので読んでいただけたら幸いです!
東京とある高校で1人の男が退屈そうに外をみていた。
あぁ~つまんねぇ~。こうも退屈だと逆にいろいろ考えちゃうんだよな~。なんで学校にいるんだろう?なんで授業を受けなきゃいけないんだろう?なんで俺はここで退屈そうにしているんだろう?
ちいせぇ~おれちいせぇーな~。なんにも成し遂げてない。おれはこの先もこんな感じなんかなー。あぁやべぇ不安しか思い浮かばねぇ・・・
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少年は日々考える。そして落ち込む。ネガティブになりがちな少年は目標がない。夢を持つこともない。それじゃダメだと心の中で思えるのに少年は結局なにも変えられない。
少年、沖田慶介は高校3年生だ。高校最後の夏だ。思い出作りも、これからのことも、いろいろ決める時期。人生で重要な時期だが沖田は焦らない。
今日もこうしてネガティブに考え込んでいるとこに声が掛けられる。
「沖田くーん。授業中です。集中してくださいね」
眼鏡をかけたベテラン風な教師がやさしく沖田に声を掛ける。教師もなれたような言いようだ。普段から沖田はこんな感じだった。
「ほーい。わかりましたー。」
グダグダと語り、見せ掛けのように教科書を開きながら沖田は全身から退屈オーラを出し続ける。
そんな沖田を後ろから見ている女子生徒が、グーパンチをお見舞いする。
「いてっ」
小さく叫んでしまった沖田だが、驚きはしなかった。いつものことのように振り返る。
「あれだよあれ。咲はかるーーーーく殴ってるかもしれないけど、なかなか痛いんだぜ!体の芯にまで来るような痛さってやつ」
仲のいい友人に話しかけるように沖田は後ろの席の女性、小町咲に投げかける。
「私が殴らないとけーちゃんまじめに受けないでしょ。私に感謝しないとね。ほーらさっさと前向いてマジメにしてください。」
咲はいつものようにいじわるそうな笑顔の中で慶介を心配していた。中学校から友人として毎日のようにつるんでいたメンバーの中で慶介は時に楽しく場を和ませるが、時折みせる希望もなくただ生きているだけのような雰囲気を課持ち出す、
不安定に表情や、雰囲気を変える慶介を咲は心配していた。それと同時に淡い恋心を抱きながら。
「へぃへぃ。」
前を向く彼の背中を見つめてしまっている自分がいる。いつからだったか芽生えた感情に咲は戸惑っていた。
ずーとそばにいすぎたのかな~?いつのまにかスキになっちゃったー・・・困ったなー困ったなー。皐月にはバレバレって言われちゃったもんなー。けーちゃん気づいてるんかな・・・
咲もまた葛藤する。青春の時期。誰もが経験する恋。親友になってしまった同級生をスキになってしまった現実に向き合うことができなかった。
チラっとドア側の席を見るとニヤニヤと笑っている親友がいた。
大鳥皐月。慶介や咲や仲良し5人組の1人にして咲の理解者で、恋の相談相手。
「バカッ!」
ジェスチャーを交えながら皐月にメッセージを送る。バレバレなのかー!バレバレなのか私・・・。
前の席では人生に悩む少年。後ろの席ではその悩む少年に恋をした少女が悩む。さらに2人は、表情や行動でそれを表しているため、回りからみれば えっ2人なんかあったの・・・?喧嘩かな?などいろいろな思いが交差しまくっている状態だ。
そんな2人を見つめる皐月はさらに笑ってしまう。
「似たもの同士なんだけどなー」
どうにかして2人くっ付けたいけど、これはこれでおもしろい・・・ダメダメ。親友のためだ!私が一肌脱ぎましょう!
大鳥皐月。世話好き。誰かの恋愛を見てサポートするのが一番の趣味。それを見ているのが好き。
1人でなにかしら決意を固めた皐月に気づかず葛藤する2人。5人組のあとの2人はというと
違うクラスで、1人は暴走する男、柳生宗助
1人はまじめな優等生で勉強する柊孝之
まるっきり性格が違う彼ら、だが彼らは親友という絆でつながっていた。
その絆が悪い方向へ傾きつつある。1人が物語りに巻き込まれたことによって起こる連鎖に親友達も巻き込まれる。運命を共にし、先の見えない未来へ一歩ずつ・・・
キーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に学校からぞくぞくと帰宅する学生で群がる。慶介も足早に学校から帰宅しようとしているところだ。そんな彼に声が掛かる。
「慶介!宗助みなかった?」
眼鏡を掛け優等生感をかもちだす柊孝之は、5人の中とゆうより学校の中でも上位に入るほど頭が良い。先生方の評価も悪くなく、だれが見ても優等生っと捕らえるに十分だった。
「いんやっ今日はみなかったかなそういえば」
考えることに飽きてまぁっいいかなんとかなるっといつもどうりに自分に言い聞かせてダラダラしている慶介とシャキッとした表情をし一緒に歩く柊。正反対だからこそお互いに分かりあえるものがあった。
そして仲良くなり青春時代を共に過ごしている。
「最近はまってるって言ってたボクシングジムいったんじゃないのかな?」
後ろから割って入ってくる咲の声に2人は共感する。咲と共にた皐月も同じだった。
「あぁなるほどな。あいつがあんな続けれるとはなぁ。いいことだぁいいことだぁ」
覇気を感じない声でしゃべり続ける慶介を咲は直視できずにいた。それをみて憂い憂いしいなぁ~もうっとニヤついてしまう皐月はさきほどの決意を実行に移すことにする。
「おーい慶介。この後なんかあるのかぃ?」
突然この後のことを聞く皐月に、慶介は
「ん?まぁ別に。家に帰ろうとしてた感じかな。なになに?おもしろいことあるの?」
ダラダラモードを解除して興味深々に皐月の返事を待つ。
食いついたーーーーー!!
心の中で小さくガッツポーズする皐月は咲に目をやる。咲はというと ん?っとなぜこちらをみながらニヤニヤしているんだろぅ?っと考えていた。
「実はね!映画のチケットもらっちゃってさぁ2枚あるんだよねぇ!(休み時間にコンビニで買ってきたんだけどね)私これから用事あるからさぁ咲と2人でいっておいでよ!」
エエエエエエエエエエエエ!
心の中で咲は叫ぶ。いきなり投下された爆弾に咲は動揺していた。
「えっちょっとどうしたのいきなり!」
オドオドする咲に皐月は小声で「キューピットってやつになろうかなって思ってね!ウフフ」
咲も精一杯の小声で叫ぶ
「も~~~~!!」
そんな2人のコソコソ話をよそに慶介は
「おっいいかもね。でも柊どするん?」
当然と言える発言を投げかけた。それに動じることをせず一瞬の閃きで皐月は「ひーちゃんはこのあと塾って言ってたもんねぇー!」言葉を発すると同時に柊に目を向ける。
THE優等生は雰囲気を読むのもうまかった。その雰囲気を察した柊は
「そーなんだ!だから二人で楽しんでおいでよ。」
「そっか!じゃ早いとこいっちゃお!咲いくぞぉー!」気分よく歩きだす慶介に咲もオドオドとついていく。後ろからみれば普通の仲良さそうな男女だ。
「いやぁ~さすがひーちゃん!100点満点だね!」
ポンポンと柊の肩をたたきながら皐月は柊に感謝していた。
「咲ちゃんがんばってほしいねぇ。皐月ちゃんもエライよ!ナイスアシストだね!」
2人は笑った。心からの笑顔で。慶介と咲がいい感じになるように祈りながら2人は慶介達を見送った。
3時間後
「全然集中できなかった・・・」
咲は嘆いていた。2人で映画をみるのははじめてだった。5人で映画を見たりしたことはあるし、慶介の隣の席でみたこともあった。けれど2人きりという独特な雰囲気に完全にのっとられてしまった。
黙々と映画をみる慶介をチラッとみてしまう私がいて・・・。見惚れてしまう私がいて・・・。
気がついたら映画は終わっていて・・・。映画の内容はあんまり残ってなかった。一番残っているのは俊介の横顔でいて。。。。。。。
いまこうして一緒に歩いて帰宅している時も俊介の横顔は見える。映画館でみた横顔とはまた違う横顔だった。その顔に咲は安堵していた。
「元気でたんだ・・よかった」
ボソッと本音がでてしまった。
「えっなんかいった?」覗き込んで迫ってくる顔に咲は過剰なまでに反応してしまった。
「えっなんでもないよっ!アハハッ。」
やばい私いま絶対顔赤いよぉ~!もう隠せなくなって来てるよねこれ。。。一緒にいるだけでドキドキしちゃってるんだもんね。決心しなきゃ・・・そうだよね・・・いけ!いくんだ私っ!
「あのねけーちゃん話がっ」
決意を固め、自分の気持ちを伝えようとした可憐な少女の目に老人が倒れこんでいる姿がはいってきた。
「大丈夫ですかっ!」
いち早く発見していた慶介が走り出し老人に駆け寄る。咲の言葉は聞こえてないようだったが、咲も今はそれどころじゃないと一緒に老人のもとへ駆け寄っていった。
「もしもし聞こえますか?大丈夫ですか?」
慶介の問いかけに老人はじっと慶介の目をみていた。
「ハハッ・・すこし体を動かしたものでね。もう年だねぇ70年目の全力疾走は体に堪えるよ。」
自力で起き上がろうとする老人に2人は手をさしのべ手助けをした。
なんだったんだろうずっと見られたけど・・・てかっ70歳かよっ !
心で関心している慶介とは違い、
「あの・・どうかされたんですか?」咲が老人やさしくこの状況になった原因を聞くと老人が語りだす。
「これも運命なのかのぉ。私が請け負った運命を偶然通りかかった君に託すこと自体がすべて決まっていたかのようでね。」突然語りだす老人の言葉の意味が2人は分からなかったのでキョトンとしてしまっていた。
「いやじぃさんとりあえず家まで送るから。場所おしえてよっ」
ボケたのかこのじいさんと思い早めの行動にでた慶介に向かい老人は、
「家かぁ。あそこはもうダメだのぉ。突然見知らぬ男がきたと思ったら押さえつけようとしたもんでのぉ。慌てて逃げてきたんじゃよ。」
平然ととてつもないことを語りだす老人に2人は言葉にできなかった。
おいおいそれ大事だろ。犯罪にでも巻き込まれたのかこのおっさん。てか逃げるってすげぇな。こんな息あがっちまってる70歳だろ。どんな裏技だよ・・・
心の中で状況を整理しようと黙り考えている俊介と咲にむかってなおも老人は語る。
「40年ほど守ってきたがのぉ。誰に託そうかと思っていたころにこれじゃよ。残酷なもんだねぇ。私が死ぬまでそっとしておいてほしかったわ。」
「わしゃもうすぐ死ぬ。ただもってるだけと思っていたがなかなかこの使命はたやすくないもんじゃの。その使命君に託そうかと思うんじゃがどうかね少年。受け入れる覚悟はあるかぃな?」
ふっととりだした変哲もない鍵を差し出しながら老人は慶介に問いただす。慶介はまったく理解できず、ただその鍵に目が言ってしまっていた。
託すってこの鍵をってか?使命ってなんだよ!てか死ぬって。あ~また悩みだしてとまらねぇ~~。
理解できない状況の中でぐちゃぐちゃになった頭をフル回転しはじめた慶介。
「ちょっと待って!その鍵ってなに?金庫とかの?守ってきたって強盗かなにかから?」
思い立ったことを言葉にして老人へ投げ込む
「誰からだろうねぇ。わしも襲われたのは初めてでねぇ。確実なことは動き出したんじゃよ。運命がね。私の運命も。少年!君の運命もね。」
おいおいなにいってんだ・・・シカトして帰っちゃおうかな・・・退屈ではないがめんどくさいオーラがこみ上げてきた慶介のことを無視するように老人の話は止まらない。
「老人の頼みじゃ。聞いてくれんかのぉ。そうなればわしも楽になるんじゃがのぉ。」
「あの・・・私が預かりましょうか?」
オドオドと話を聞いていた咲が老提案をするが、老人は爆弾を打ち込む。
「君じゃいかん。。命を掛けなきゃこれは守りきれんし、この先も大変になる。」
「えっ・・・」
どういうことなのかな・・・からかわれてるだけなの?全然わかんない。どうしよう・・・
「おっさん!悪いけど先いくわ!ナイスなボケだったぜ!気をつけて家に帰ってな。」
そういうと慶介は咲の手を掴み、そのとき咲はポワッと赤く顔を染めたがそれにはきずかず足早に立ち去ろうとした。
直後
老人が、さきほどまで倒れていた老人とは思えない動きで慶介と咲の前に移動した。そう2人の上、空中をトーンと回転しながら飛び体操選手のようにスタッと着地をして。
「え・・・」
2人同時にでてしまった。目の前で起きたことに唖然としてでてしまった。飛んだ?誰が?老人が?どこを?おれらの上を?どうやって?
いままで以上に頭が混乱している2人に向かい老人はスタスタと歩みよる。
「ハァハァ・・・いまのでもう疲れがでてしまうわぃ。どうじゃビックリしたじゃろ?ほしくないかぃ?この力。命を掛けるなら君に託すがのぉ」
そういいながら先ほどみた鍵を慶介に向かい差し出した。
「この鍵がいまのようなことをできるようにしてくれたってこと?」
冷静に慶介は聞いていた。目の前で見たことにたいしての率直な疑問をその行動をした老人に率直に聞いていた。好奇心がすべてだった。
「九番の鍵じゃよ。こんな老人でも肉体を強化すればいまのようにできてしまうのじゃ。転んだ時のかすり傷もすぐ直るしのぉ。限界を突破したくないかぃ?少年。この先の未来変えて見てはどうかの?」
未来・・・おれの未来か・・・このおっさんに関わらない人生をとるか関わる人生をとるかかぁ~・・・命か。
よくわかんねぇけどまっあとから考えればいいかーーーー!!!
「いいよっ!その話ノッた!!」
ドンッという効果音が似合うほど勢いよくビシッと発する声に驚いた咲だが即座に言い返す。
「ちょっと!けーちゃん!よく・・・よくわからない話なんだからもっと考えてよ。」
心配100%の表情と言葉で慶介を諭すが慶介の顔にはウキウキ100%の顔が浮かび上がっていた。
「必要とされたんだよ俺が!ならそれに答えるように行動しないとさ!退屈な人生から抜け出せるかもしれないだろ?」
「ちょっと~退屈とかそうことじゃないんだってば!もう・・・すこしはマジメに。。。」
心から心配する咲の顔をみた慶介は黙ってしまう。はじめてみた咲の顔に、自分をこんなにも心配するんだという咲に、慶介はすこし見惚れてしまっていた。
「この先、いろいろなことが起きるじゃろう。それに逃げず立ち向かうことを誓えるかのぉ?」
いままで見せていた目とは違う。力が篭った目でみつめられた慶介は戸惑うことをしなかった。
「誓うよ。なにがあるのか知らないけど、誓える!」
「ファッハハハ。そうかそうか。なら授けるぞ。わしの使命。受け取りなさい。」9番と数字が掛かれた鍵が老人の手から慶介に渡った。
「うおっ・・・おお・・・」
すげぇ~・・・見た目普通なのに持つと違う。感じる・・・引き込まれそうだななんか・・・
「鍵に負けないようにのぉ。見せびらかすのもよくない。首にさげときなされ。」
「おっ・・おう!」
生きているかのように存在感をだす鍵。その鍵には力があった。不思議な力。人生を変える力。
「ではこれでお別れだのぉ。巻き込んでしもうてすまんかったのぉ。だが少年、君なら大丈夫じゃ。さぁ行きなさい。」
老人は笑っていた。やさしく微笑むように。
「追われてるんだろ?一緒に行こうぜ。なんかやばそうじゃん!」
「ハハハッ。わしが一緒に行ったら鍵を渡した意味がなかろう。大丈夫じゃ。鍵もない老人になにもせんじゃろ。これからのことは・・・そうじゃな。玲子さんとこへ行きなさい。場所は・・・」
会話の最中に3人は路地から歩いてでてきたスーツ姿の男達を確認した。まだこちらには気づいていないようだ。
「おでましじゃのぉ。場所はいまのとこじゃ。さぁ行きなさい。わしは信じているぞ。君の運命がすべてを包みこみすべてを解決してくれることを。」
「えっおじぃさんも一緒に行きましょう。さぁ」
咲が心配している声で老人に告げるが老人は動かず2人へ はやく行きなさい。 というだけであった。
気づかないでいた3人のスーツの男達もこちらに気づいたのか いたっ と声を張り上げこちらへ走ってくる。
「行くのじゃ。また会おうのぉ。行け!」
迫力ある声で2人へ投げかけるその言葉に慶介は咲の手を掴み走り出す。振り返ることはせずただひたすら前へ前へ突き進んだ。
その2人が過ぎ去るのを眺めていた老人にスーツ姿の男達はつめより激しく言葉を掛ける。
「さっきの子供は誰だ?なにを話していた!」攻撃的に老人へ言葉をかけるが老人は動じず、ゆっくりとそばにあったベンチへ腰掛ける。
「さてなんのことじゃろうなぁ。さて君たちは私になにか用かね?」
イライラしだした男達に向かって、じっくりとマイペースに会話を進めていく老人に完全に男達はペースを握られていた。
「鍵?さてなんのことじゃろうなぁ。わしゃ知らんのぉ。すまないねぇほかをあたってくれたまえ。」何食わぬ顔でそう告げると立ち上がりよぼよぼと歩き出す。
「おいまてぇコラ!とぼけてんじゃねぇぞ!こっちは情報掴んできてんだよ!」
「ハハハッ。君たちは偽の情報に踊らされてしまったんじゃないのかぃ?あまり老人にむかって叫ぶのも良くないよ。ほら待ち行く親切な人々がこちらへ目を向けておるぞ?」
老人に向かって数人の男達が詰め寄っている場面に遭遇した人々は、心配そうに老人へ目を向けていた。数人かは携帯電話を手でもちいまにも警察へ連絡しようかとしていた。
「くそっ・・・いったん戻るぞ。警察はやっかいだ。」
そういうと男達は足早にその場を去っていった。残された老人に数人が駆け寄り、やさしく言葉を掛けてくれていた。
「警察とは違うのかのぉ。やっかいなことじゃ。すまんが少年後は頼んじゃぞ。」
姿はもう見えない。だが目にやきついている少年の顔を思い浮かべながら老人は、感謝と罪悪感を持ち合わせながらも期待を胸に歩いていった。
久保田総一郎宅付近
ひとりの男の電話が鳴る。
「そうか・・・久保田が1人になったとこを取り押さえろ慎重にだ。へたなことはするな。老人は丁重にしろ。学生・・・また情報が入り次第連絡をしてくれ。」
会話を終えた男は考えこむ。
ノートは信用できるのか?家にはほかになにもなかったしな。老人しか住んでないとなると・・・。次を当たるか・・・
携帯を取り出し電話を掛ける。
「佐治です。久保田の家には特になにもありません。久保田本人とは接触したものの逃げられていま監視中と連絡が・・・はい・・・では私はそちらへ向かいます。はいわかりました。先にむかってます。」
佐治は電話をポケットへしまうと車に乗り込んだ。次に指示された場所へ車を走らせるために。
「佐上玲子か。細かい場所は特定してないんじゃ聞き込むしかないな。」
車は走り出す。
佐治康弘。赤星の部下にして物語に巻き込まれた男。尊敬する赤星に指示され任務をこなす。発見された箱に関わる重要な鍵をもつ者のところへいき、鍵、情報を集めること。
政府での仕事のため警察に関わらぬようにとのこと。重大な任務。佐治は正義感が強い。自分にまかされた任務を全うすること。それだけを考えて佐治は行動する。赤星の闇の心を知らぬままに。
同時刻
「ハァハァハァ・・・・ちかれたー・・」
後ろを振り向き追ってきてないことを確認し安堵する慶介だが、咲の顔には複雑な表情が浮かんでいた。
「ハァ・・ハァ・・おじぃさん大丈夫かな・・・やっぱり心配だよ。。。」
「大丈夫だって。あのじいさんなら。行けって言ったんだあのじいさんわ。自分よりもおれらを逃がしてくれたんだから。いまはおしえてくれた場所に行かないとじいさんのために。」
「うん・・・」
返事はしたものの、表情は変わらず心配そうにしていた。それでも慶介は先に進むことにした。あのじいさんが狙われたように・・・いまから会いにいく人物も狙われているかもしれないという思いがあったからだ。
「佐上玲子さんか。とにかく行かなきゃ。咲はどうする?」
「えっ・・・なんで?なんでそんなこと聞くの・・・」
泣きそうな顔になる咲に、とまどう慶介は言葉はすぐでてこなかった。
「・・・・・なんでって・・・もしかしたらあぶないかもしれないから・・その・・・おれ1人で行ったほうがいいかなっ・・」
「ばか!!」
慶介の言葉を遮るように叫んだ咲に慶介は驚いてしまった。初めて見る咲の顔に・・・はじめてみる悲しそうな涙を流す咲に。
「あぶないから帰ったほうがいいって?じゃけーちゃんは?わたしはけーちゃん1人を行かせたくないの!心配なんだよ・・・そばで・・・そばにいたいのに・・・」
言葉がでにくくなるほど咲は泣いていた。
なんで・・・こんなに泣いてるんだろう・・・おれのために泣いてるよね・・・なんなんだよ・・・わかんねーよ。。。
その思いを慶介は留めておくことはせず言葉にして咲へ思いをぶつけた。一歩一歩お互いに近ずくように。
「なんで泣くんだよ・・・おれも咲が心配だから・・・だから俺1人で行こうって思ったから」
「心配だからそばにいたくないの・・・?それは足手まといだからそう言ってるんじゃないの?わたしは違うよ」
涙を流しながらもまっすぐと慶介を見つめるその目は嘘偽りのない純粋な思いだけが募っていた。
「好きだから・・・好きな人が心配だからそばにいたいの・・・・」
初めてだった。女性に真剣な目で好きと言われることが。いつも一緒に笑ってふざけあってた人から。うれしい・・・・わからない・・・わかんねぇよ。
「いまそれ言われたら・・・その、どうしたらいいかわかんねぇよ。」
怒って泣いてそして告白されて、数分で濃密すぎる時間が流れた。そしてわずかにできた沈黙で2人は理解していく。はずかしながらも大切な時間だったことを。
「アレ・・・わたしその・・・やだ!ちょっと・・・もう~興奮しててなんだかわかんないよぉ」
「なんだよそれクックッアハハハッダメだ笑っちゃうよ」
二転三転する雰囲気の中で結局2人は笑っていた。素直に心から。ぶっつけあった気持ちを分かち合うために2人は笑った。
「ふぅ。あ~~なんだその。。。返事は必ずするから・・・だから」
最後まで聞かずに咲は
「いくよ。絶対いく。一緒にね。なにかできることがあるかもしれないから」
決意。
揺らぐことのない思い。言葉にすることによってさらに深まった思い。それを投げかけられ、受け止めてしまった慶介は、咲と共に目的の場所へ歩みだしていった。
この先の未来に不安も期待も持ち合わせながらも歩くことは止めない。戻ることもない立ち止まることはあるが、進むしかない未来に。1人の未来と、2人の未来を考えながら。
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次の話は玲子に会いにいく慶介と咲 追う佐治と指示する赤星の動向です
第一の鍵 幻術 所持者 赤星
第二の鍵
第三の鍵
第四の鍵
第五の鍵
第六の鍵
第七の鍵
第八の鍵
第九の鍵 身体強化 所持者 沖田