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はじまりの鐘

よろしくおねがいします。誰かの心に残ればうれしいですね。

東京とある山奥ここからすべてが始まり、数多くの人々の運命を変えていくことになる。

日本全体を、いや世界全体を変えるほどの、そのなにかを軸に物語は進んでいく。始まりは2009年八月。


東京八王子原子力研究室 

「博士、謎の強力なエネルギー反応を感知しました」

7、8人ほどの人がいる研究室で時は動き出した。

「ふむ。いままでにない協力な力が反応している。すぐに政府に連絡を」

博士と呼ばれている研究者がそう告げると、ほかの研究者達は一斉に仕事に取り掛かる。

一人は政府へ連絡に。一人は車を取りに。一人は研究機材を確認に。博士と呼ばれる者は不適な笑みを。

「いったいなにがそこにあるんだ。これほどの反応・・・とにかく現場へ急ぐぞ」

不適な笑みは、驚きと興奮。研究者ならではの反応。研究したいこの力を!まずは目にしたい!!

自分の興奮を隠すこともせず、博士 楠木源一郎くすのきげんいちろうはその地へ先を急いだ。


東京 総理官邸

秘書と思わしき男性が足早に部屋を駆け巡る。

「総理!さきほど原子力研究所から連絡がありまして。高エネルギー反応を感知したとの知らせが届いております。」

定本国治さだもとくにはる。半年前に日本の総理になった男。50代と観れる顔には疲労も感じられず健康な感じが秘書からは見受けられた。

「結果はでているのか?現場に研究者は?」

淡々とそう告げると、出かける前であったのであろう、途中だった仕度を再開しはじめた。

「いえ結果はまだ・・・研究者達は現在、現場へ向かっているとのことです」

「なら私がどうすることもない。研究者たちの結論がでないことにはどうにもならんだろう。さぁこれから大事な会議があるんだ。お前も仕度をしなさい」

ネクタイを締める動作の中でみるみる総理としての顔に勇ましく変化していた。だが次の一言で定本は動きを止める。

「ただ確実な情報が1つ。その感知された力は未知数とのこと・・・ですので早急に立ち入り禁止区域とし、機材を運んでほしいとのことです。」

秘書がそう告げると定本は考えだし1つの結論をだす。

「至急周りを立ち入り禁止区域に!未爆発のミサイルが発見されたとでもいい非難させろ。区域は研究者達にきき早急にだ。研究者達のサポートを!いわれた物を用意してやれ」

「警察にも協力を要請し早急の解決をするよう伝えろ。なにかわかり次第連絡を!それと赤星に現場へいくよう伝えろ。むこうの指揮は赤星にまかせる」

一気に慌しくなった官邸は事の重大さを誰もが感じ、それぞれの役割を果たすべく歩みだす。


謎のエネルギー反応発見から約1時間。研究者達はその謎の力の付近で待機していた。

まわりにはその力ととれるものが何一つない。ただの山奥という風景だった。ひとつ、くずれかけた地層から空洞の入り口が見える事を除いては。

「この先からですかね?とにかく入らないことにはわかりませんが・・」

研究者がそういうと博士。楠木は歩みだす。

「わたしが先にいく。皆は政府を待ちつつ、機材の準備をしておいてくれ。すぐ戻る」

「しかし、まだなにがあるかもわからぬ所に、危険です!政府が来るのを待つほうがいいのでっ」

研究者の言葉をとぎるように楠木は語りだす。

「お前は研究者か?いまだ観ぬこの未知なる力に興奮しないのか?わたしは無理だ!40年ほどの研究人生はこのときのためにあると信じわたしは歩んでいく」

そう楠木はいうと、もう振り返る事はせずその空洞へ一歩一歩、歩いていく。未知なる力へ 未知なる場所へ。だが恐れはない あるのは研究者としての誇りと好奇心

中に入るとそこは無。なにもない道が広がっていた。ライトをつけ歩いていく。5分、10分が経ったであろうときにひとつのものを楠木は見つける。

「これが正体なのか。・・・なんだ。数値がおかしい!こいつが原因か。」

小型機材の反応をみて彼は笑っていた。子供が玩具をみつけたときのような無邪気な笑顔のように。

謎の力をだしているもの。それはふるびた箱だった。2メートルほどの高さの箱の中心には9つの鍵穴がある。だが鍵はついておらず、まわりにはなにもない。

箱には扉がついていたが、開けることはできなかった。鍵がなければ開くことはないんだろうと楠木は考える。

「戻ろう。戻ってはやく研究しなければ!最大の発見だ!この箱の中にはなにがあるんだ!!はやく・・・はやく解き明かしたい」

興奮を抑えようとしない楠木は走り出していた。来た道を、来る時の速さの倍以上の速さで。楠木は思った。こんな全力疾走はいつ以来なんだろうと。まだこんな力があったのかと。

入り口付近に戻ると政府関係者および警備体制を練る警察官数十人が集まっていた。

「博士!ご無事でなりよりです。なにか原因となるものはみつかりましたか?」

研究者が告げると、とてもうれしそうに楠木は語りだす。

「あぁいますぐに研究しなくてはならない物があった!これは大発見になるぞ!その歴史をわれわれが作ると考えると興奮が収まらない!すぐに運び出す準備をするのだ!」

研究者達もいままでみたことがない顔で興奮している楠木をみて、ことの重大さに気づく。とんでもない物がこの先にあるという事実。それゆえの危険な物という事実に。

研究者達が、作業にとりかかり関係者に指示をしていたころ、楠木は政府関係者 赤星称矢あかほししょうやと会話をしていた。

「あなたが楠木博士ですか。はじめまして総理から現場の指揮をまかせられています赤星です。とわいっても素人。博士たちの要望に答えるようにいわれています。」

楠木の第一印象は、身長は自分より10センチほど高い180cmの長身にサラサラな髪をして紳士な印象を漂わせながら、作り笑いともとれるその笑顔を信じることはできないというのが

印象だった。「あぁそれわ助かるよ。まずはあの箱を研究所へもっていくのが一番じゃ。あとは私たちが研究した結果を待ってくれるだけでいい」

そう告げると赤星は、その作り笑いともとれる笑顔で、ええそう上にも伝えておきます とだけ言い残し、電話をかけ始めるとともにその場をあとにした。

楠木はこのときから赤星を警戒していた。政府の人間というのことはもちろんだが、彼がだす独特の雰囲気に研究者である自分がだした答えは信用しないほうがいいという判断だった。

ただこのときの彼は興奮していた。未知なる研究材料を見つけたこと、それを研究したいがための焦りをもちあわせていた楠木はその警戒心を高めることはなく内に留めてしまった。

自分のすべてをあの箱に捧げる準備をするために考えをやめてしまった。その結果がどうでるかは、誰も知らない。


同時刻とある山奥周辺。

彼には使命があった。父からの使命が。それは箱が眠る場所を監視すること。それに危害を加える者がいた場合の対処の仕方など。

ただ彼・・・望月俊介もちづきしゅんすけは過ちを犯してしまった。まずその使命を知ったのは父が亡くなる直前のおよそ半年前の出来事だった。

望月の父は病に倒れてしまった。そう長くはない命と言われ、覚悟はできていただろう俊介はできるかぎりのことをしようとしていた。

ある日、父が俊介に打ち明けた秘密により人生は変わる。

「俊介、私は長くない。死ぬ前に私の使命ををお前に託す」

信じられるはずのない話を父はし始めた。眠る箱には未知なる力が込められているという。その箱を開けるには鍵が9つ必要という。

その鍵は現在、守護者といわれる人物達がなにげなくもっていると言うこと。その1つは自分がもっているということ。その鍵には不思議な力があるということ。

ボケたのかと疑うほどの内容だった。ただ父の目は真剣で、だけど信じられるはずもなかった。ただ父がだした鍵をみせられたとき思いは変わる。

金色に輝く鍵は、ネジ巻き式のおもちゃのうしろについているような鍵の形をしていた。見る感じ普通の鍵。1つ違うことは不思議な力があるということだけ。

おもむろに取り出した鍵を自分にむけた父は

「これから起きることは偽りの世界。忘れるなよ」

そう父は言うと、手にもった鍵を扉をあけるように回した。

なんなんだいったい?今日の父はおかしい・・・そう思っていた矢先、父がいきなり血を吐き出した!えっなんなんだよいったい!!おぃ親父!!

ナースコールを押しても誰もこない。叫んでいるのにだれもこない。血を吐いた父の体は動かないままだった。自分はどうすればいいんだ?そう思いながらも叫ぶことしかできない自分。

なんでだれもこないんだよっ!

「死ぬんじゃねえぞ!おいっ!」叫ぶと同時に・・・突然真っ暗になった。「えっ・・・」

思わず声をだす。なんだこれ・・・?

なんだこれ・・・どこだよここ!!あれ体が動かない・・・違うない!体がない・・・。

分かるのは暗闇ということだけ。考えることはできるのにいつも動かせる体がない。存在しているのは考えることと、暗闇の中ということだけ。

何が起きたのかもわからない。冷静になっていくほどに湧き上がる恐怖。今まで感じた事のないほどの恐怖。おかしくなりそうだ・・俊介が精神を保てなくなりそうな時、光が入って来た。

ハッと気づいたときには、ベットで鍵を持ちながら、まっすぐ見つめている父の姿だった。戻った・・・ここは病院だ!さっきのはいったい・・・

「どうだ?おそろしいだろ?これがこの鍵の力。いままでお前が感じて、見てきたものはこの鍵が作り出した幻想。この3番目の鍵は、幻術をかけることができる鍵なんだ」

理解したくない話だった。でもするしかなかったと言ったほうがいいのかもしれない。自分で感じてしまった恐怖と真実に逆らう気持ちは持てなかった。

「それをなんでおれに・・・」

嘆く自分に父が言い放った言葉は単純なものだった。それゆえの重さを持ち合わせながら。

「使命を果たせ。私の使命をお前がを果たせ。これから伝えることを受け止め、私がしてきたことを引き継いでいってほしい・・・」

そう告げた後、1週間後に父は亡くなった。64年で閉じた生涯は満足だったんだろうか。父は使命を全うしていた。父の書斎をみて俊介は確信した。

父から譲り受けた第3の鍵以外の8つの鍵を保持する者の詳細が書かれたノート。入院してからここには来てないはずなので、入院する前のいつ書いた詳細なのかは、わからなかった。

なぜ彼らの詳細を知っているのか?これを見るかぎり各地に散らばる者達を1人で纏め上げられるわけがない。いるんだ・・・父に協力していた者が。

その後、書斎をいろいろ調べてみたものの、協力者の詳細は分からなかった。結局、俊介に残されたのは鍵1つとほかの保持者達の詳細がかかれたノートだけ。

会いに行こうかとも考えた。保持者たちに会いに行き、すべてを問いだ出したかった。だが彼はやめてしまう。欲望に負けたというべきなんだろうか。自らがもつ鍵の力を間違ったほうへ導いてしまった。

幻術。自ら味わってしまったその力に俊介は甘えた。考えついたことは単純なことだった。これを使えば楽に過ごして行けるんだ。

父と二人暮らしだった俊介を止める者はいなかった。止めようがなかったのかもしれない。俊介には相談する人たちがいないことがなにより致命的だった。

ただ1人で、自分のためだけに考えてしまうことを、そう追い込んだのは自分。

そして彼は変わった。関わる人々に鍵の力を使い始め、ためらいもなく使い続けることにより過信してしまった。世界は自分の思い道理になるんじゃないか!

そうしていくうちに父から託された使命を忘れ溺れてしまう。結果それが間違いだった、使命を放棄したことにより自らの首を絞め、そして現在に至る。

「ヤバイ・・・早く逃げなきゃ・・・・」

俊介は焦っていた。目覚めたときにはすでに遅かった。箱が眠るとされる場所からすぐ近くにある家に彼は向かっていた。

家を空けて約一週間ぶりに戻った俊介がみたのは箱がある場所に群がる白い服を着た人々や、警察、スーツを着こなす人々の群れ。

俊介は気づく。見つかったんだ・・・箱が見つかったんだ・・・逃げなきゃいますぐ逃げなきゃ。

ただ彼は家に向かう。絶対にもっていかなきゃならない物があるから。詳細がかかれたノート。そして己を狂わした鍵。

「くそっ・・・いつもは持ち歩くのにこんなときにぃぃぃぃ!!!!!」

過ち。流れに任せ遊び、無責任に放置してしまった罰。それがいま重大に圧し掛かる。

「鍵だ!鍵だけでもいい。持って逃げよう!鍵だ!あれは俺の鍵だ!!!!」

息を乱し、一目散に家に入った。

鍵は持った。あとはノートだ。もしものためだもっていかなきゃ。くそっなんでねーんだよっどこだよおぃ・・・

重要なことが書かれているノート。ただ俊介は鍵にだけ執着してしまった。それゆえにノートのことを考えたのはいつ以来なんだろうか・・・

焦る俊介をさらに焦らす事態が訪れる。インタァーフォンが鳴り響く。俊介は固まる。焦りと同じくらいの恐怖を感じながら俊介は考える。

「警察?」

たしかに場所から近いこの家に気づくのはあたりまえだ。だがなんで今なんだよっ。。。くそっ逃げなきゃ!ノートはもういいっ鍵さえあればどうにでも・・・

「裏から逃げよう」

足早に裏窓に向かい、窓を開け逃げようとする。が、いつもみなれた景色とは違かった。黒いスーツを着た人が2人そこにはいた。

さらに俊介は焦る。対峙してしまった彼らが迫る中、ドアをこじ開けはいってくる人たちの足音に・・・そして俊介は手にする。不思議な不思議なその鍵の力を使うために・・・

ドアをこじ開けたスーツの男の後ろを歩く赤星は周りを見渡す。

「誰もいないのか・・・」

緊張の糸を解こうとした赤星にさらに張り詰めることとになる音が響き、聞こえた。

ドォン!

銃声と思われる音がおくから聞こえてきた。ドアをこじ開けた赤星ともう1人の政府関係者は走り出す。音がした場所でみたのは無残は光景だった。

裏にまわっていた1人の男が倒れて、もう1人の男が呆然と座っていた。倒れている男は頭から血が滲みでていた。ダラダラとただ流れながら・・・

赤星が駆け寄る「どうしたんです?なにがあったんですか?」冷静に黙々と赤星は座り込む男に話しかける。

「いっいきなり隣からおっ・・・おそろしぃぃい!!化け物がおっおおっそってきたんだ!!だから俺・・・銃を撃ったら・・・倒れてて・・おっおれ・・嘘じゃない本当だ!!」

気が動転している彼に赤星は「中にだれかいたんですか?いたとしたらどこへ?」座り込んでいる男がビクビクしながら指差す方向に走っている人影は1つ。

「あなたはここに!君ついてきて!」

走り出しながら指示する赤星の後を追いかけるように1人のスーツの男が走り出す。気が動転している彼は動けない。体験したことない状況をしてしま

ったように・・・

俊介は全力で走る。だれかが追ってきてる。ハァハァハァ・・・はやく逃げなきゃ。ただ気持ちとは逆に俊介の体は鈍くなっていくばかりだ。

運動という運動をしない俊介の体はすでに限界だった。久々に走ったこともそうだが、あふれ出す焦りと不安によって心も体もひどく疲れていた。

俊介に音が聞こえた。さっき間近で聞いた音だった。そして遅れて俊介は倒れこむ。あれ・・・いっ・・痛てぇええええええ!!!

右足に味わったことがない痛みがあった。見ると、血がドボドボと流れ出し、痙攣したように足が震えていた。

「ガッ・・アアァ!!イテェエエエエエエ!!!!!!!!」

あまりの痛さに叫ぶ俊介に近づいてきた2人の男。痛さに溺れる中でこいつらに撃たれたのかと俊介は考えていた。

やっやばいぃぃぃぃ!!くそぉどうする・・どうするんだよっ・・・

痛さと不安に押し殺されそうな俊介は無意識に握っていた。この状況をすべて変えてしまう鍵を。

詰め寄るスーツの男にむかい、鍵を突き出す。さっきと同じだ。お前は後ろにいる人が自らが一番恐れる魔物に成り代わって見える!!そう見えてしまうんだ!

赤星は離れて立っていた。撃ったのは赤星だ。ためらいもなく撃った銃弾で倒れた男に仲間の1人が駆け寄った。

「なんだあの小さい物体・・?」

赤星は男がもつ物に見入ってしまった。なんでここであの者はあんなものを・・・仲間の一人が後ろを向いた。みたこともない顔で。恐怖しかないという顔をさらけ出しながら。

「うっうぅあああああああ!!化け物おぉぉぉおおおお」

叫ぶ仲間の行動をみて赤星はとっさに動く。叫ぶ仲間は銃をこちらへ向けてくるように動いたからだ。

冷静だった。迷わず、ただ撃った。仲間として行動していた男に向かって1発の銃弾を。表情すら赤星は変えない。これが当たり前だっそんな顔でただただ冷静に。

倒れこむ仲間の後ろでなにかをもつ男がこちらにそのなにかをもつ腕ごと突き出した。瞬時、ためらうこともせず撃つ。轟音と友に俊介の手と一緒に鍵が投げ出された。

「ァァアアアアアア!!!なにしやがるぅぅ!!」

足と共に手を撃たれた彼はすでに狂っていた。自分が言う言葉すら俊介はあまりわからなかった、ただ叫ぶことだけ。

そんな俊介をよそに赤星は1つの物を手にする。俊介の手と共に投げ出された鍵。見た目は普通の鍵。ただ手にすると変わる。その魅力に。引き込まれるように見入ってしまった。

「かえせぇえ!それはおれのだぁあ!おれのもんだぞ!!かいしやがれぇええええ」

すぐにでも鍵を取り返したかった。ただ足と手を撃たれた彼はひれ伏しうごめくことしかできなかった。

「それほど大事な物なんですね。これを使ってなにをしました?私の部下を2人も殺したんです。話してもらいましょうか」

「1人はてめぇが撃ったんだろうがぁあ!いいからかえせぇてめぇに話すことはねぇんだよぉぉぉ」痛みを堪えながら叫ぶことしかしない俊介を見て赤星は望みを捨てる。

「そうですか。残念ですね。なら実験だけでもお手伝いを」

そういうと彼は鍵を彼に向けた。「こんな感じでしたっけ?」さきほどみた光景を思い出しながら彼はさらに話し出す。

「部下二人は化け物と叫びながら銃を向けてきました。おかしいですねぇ普段みなれた者にむかって。私は部下に慕われてると思っていたんですけどねぇ」

ふと心の中で考える。どうしましょうかねぇ・・・化け物ねぇ彼が化け物みるにはどうすればいいんでしょう化け物をみろって言ってみましょうかねぇ・・・

そう心で思った瞬間。突如倒れて叫んでいた俊介が怯えだす。

「うっううぅぅうううぁああああくるなぁ!くるんじゃねぇえええええ」

赤星を見ながら叫ぶ俊介をみて赤星は笑った。作り笑いじゃない。心からの笑顔

で。

「そうですか。なるほどね。考えるだけでいいんですね。鍵は向ける必要はあるんでしょうかねぇ。試して見ましょう」

鍵をおろし念じる。そうですねぇ・・・目が見えなくなれって感じでいいですかね。

さきほどと同じように心で思った突如

「おいっ・・どこだぁどこいたぁああああアアアアアアアアアたすけてくれぇええええ」

もがき苦しむ俊介をみた赤星は確信する。いい物を手にいれましたね。箱に関係あるのは間違いなさそうですね

「ハァハァハァおいどこだよぉぉたすけてれくれーぁあああ」

叫ぶ声も小さく、憔悴してきた俊介を、笑いながら赤星はみていた。ニヤニヤと悪魔のように。そして告げる。やさしそうな言葉を。

「わかりました。いま助けますよ。ありがとう・・・・・さようなら」

彼はまたためらいもなく撃った。小さな虫を殺すように。撃ち終わった後には顔に笑顔を浮かべながら・・・

「さて・・・・」

人を殺した後とは思えないほど冷静に、冷酷という言葉が似合うほどの美しさを漂わせながら彼は携帯を取り出した。

「赤星です。箱に関係ありそうな物を手にいれました。・・・はい、いまから戻ります。」

電話を終えた赤星の顔は、美しい笑顔で・・・

「次はまだ1人いましたね。後始末は大事ですからね。」そういうとさきほどの家に向かって言った。そして1発の銃声が鳴り響き。1つの生命が消えた。



それから半日が立ったころ、官邸のとある部屋で、議論する者たちがいた。その中で絶対的な決定権をもつ者、内閣総理大臣定本国治は淡々と話しを聞き、口を開く。

「それが鍵か。普通の鍵に見えるが。箱を開けるために必要とすれば、十分な発見だな。死者がでたのはまずいが、やむ終えん。」

「総理、鍵はわれわれで保管していたほうが良いのでは?ちゃんとした場所に管理しとおけばなくなる心配もないはずですし。」

定本総理と赤星以外に部屋には5人の男たちが集まっていた。表では人気のある内閣の面々。欲望が渦巻く部屋で自身の意見を出し合う。

「私も賛成です。未知なる鍵。調べるのもよろしいかと」また1人意見を言う。定本は窓の外を見ながら聞いていが、。おもむろに口を開く。

「赤星、お前はどう思う?」

内閣の面々ではなく、側近としている赤星に定本は問う。ほかの5人は顔からでる嫌気を隠すことはしない。

それでも赤星は動じない。いつもと同じように、笑顔を見せながら定本の問いに答えをだす。

「そうですね。みなさんと同じ意見です。開けるためだけの鍵ですし、保管するほうがいいでしょうね。後の事は私に。ノートに書かれていた人物たちをあたり、鍵を集めてきます」

「ふむ。そうか。なら鍵は研究所で調べたのち保管する。赤星は調査へいけ。誰か鍵を研究所へ。」そう告げると定本は部屋をでていった。

「赤星。鍵を渡せ。私がもってこう」

1人の男が告げる。みなが赤星を注目している。

「はい。よろしくお願いします。」

そう言い、赤星は鍵を渡し、笑みを浮かる。がその中は黒く・・・深い闇に満ちた表情を隠しながら。

「側近は総理のお守りをしていればいいんだ。ニヤニヤ笑いながらおれらと対等に話すんじゃねぇぞ」

その言葉は凶器のように、鋭く赤星に突き刺すように投げかける。

「気をつけます。ですが総理からまかせられた件ですので。この件は私が担当し、私がすべてを指揮します。不満があるなら総理へ申し出てください。失礼しますね。」

そう告げ部屋を出た赤星は彼らに背を向け歩みだす。その顔は笑顔ではない。無表情。話す価値もない、生きている価値さえないものを見たような顔で。

ただ赤星は鍵を預けた。普通の鍵を。不思議な能力もなければ、箱を開ける鍵の1つでもない。普通の鍵を彼らに渡した。研究したって結論はでている。変哲もないただの鍵だということ。

本物の鍵は赤星が首に下げていた。これは私の物。私がうまく使えば、きっといい方向へ向かうんです。私は誰をも支配してみせますよ。それまでは何事にも耐えましょう。

鍵の力は幻術だけではないのかもしれない。独占力。人をひきつけすぎる圧倒的な存在感は、持つ者を変える。望月俊介。彼もそうであったように。赤星も鍵の魅力を感じていた。

「まずはノートに書かれた人物を1人、1人、当たりますか。佐治君に協力してもらいましょうかね。人数は少なく行動したほうが、後始末も楽ですしねぇ。」

赤星は誰も信じない。ゆえに心も閉ざす。それでも総理に信用される理由は誰も信じない、誰にも心を開かないことにより、情に流されず事を運べること。冷静に判断すること。

「佐治君には近い場所からですかね。久保田総一郎。彼のとこへいってもらいましょう。このノートどこまで信じられるかですがね。」動きだす。政府という力と鍵の力を持ち合わせた悪魔が・


最後まで読んでいただきありがとうございます。

これからもよろしくおねがいします。

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