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いちにの華  作者: ゆず華
覚醒編

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第80話 スノームーン

雪のようにすべてを清める強力な「浄化」「デトックス」「手放し」のエネルギーを持つという2月の満月「スノームーン」。


一華はスノームーンを迎える前に、今まで覚醒していた魔力を考えていた。


「変身、共感、共鳴、時間停止、テレパシー、遠聴、自己回復、魔界語、衣装チェンジ、異種コミュニケーションが覚醒してて、浄化と虜にさせる魔力はお願いしただけだったかなぁ?」


「何がだ?」


「覚醒した魔力とお願いした魔力。」


「あぁ、で、どうするんだ?」


「2月の満月には『すべてを清める強力な「浄化」「デトックス」「手放し」のエネルギーを持つ』んだって。だから、不要な魔力ってあるかなと思って。」


「絶対必要な魔力はどれだ?」


「まずは、テレパシーと魔界語は絶対必要。」


「にゃにゃん……(絶対いるにゃ。)」


こたつから顔を出してサンも同意する。術後の経過も良く、すっかりこたつの虜だ。


「自己回復と浄化も必要だ。」


「共感、共鳴って今のところ、人助けはしているけれど、自分が苦しむから微妙だよね。」


「コントロールして、必要性を感じた時だけ発動すればいい。それまではブレスレットで制御だ。」


「うん。」


「時間停止は人助けはしたが、止まった時間に閉じ込められるリスクを引き換えにするほど必要か!?」


「リスクは嫌だけど、時間停止で人助けできるなら、閉じ込められない方法を考える。」


「閉じ込められない方法か!? 強い精神力だな。」


「精神力?」


「自己の魔力で時間停止をしたなら、他の魔力で解除されないようにするんだ。」


「以前の時間停止の時、自分で解除したつもりはないんだけど、シンは解除してないよね。」


「俺は解除していない。一華が無意識に解除していたんだ。」


「シンは閉じ込められなかったのは、強い精神力があったから?」


「俺は、魔王族の血で意識することは無いな。」


「えっえっ? じゃぁ、私も同じだよねー。」


「一華はまだ、覚醒したばかりで不安定だ。一人で時間停止していた場合、悪意ある魔界人に解除されれば抜け出せなくなる。」


「じゃぁ、シンが隣にいない時はしない。」


「あぁ、そうしてくれ。」


「それに、変身の必要性は今のところ感じてない。」


「黒猫に変身したのは意味があるって言っていたが???」


「にゃにゃにゃーんにゃ……(俺、去勢手術うけたにゃ、必要にゃかったにゃか?)」


「人間界では発情する前に去勢させるのは普通なんだよ。ごめんね。でも、人間界では変身できないし、魔界に行くまでは必要性がないよね。」


「サンも手術したんだ。コントロールして魔界まで制御しておいてくれ。あと、衣装チェンジは手放す必要はない。」


「わかった。シンは仁華が好きだもんね。」


「……。」


「それから、遠聴は、盗み聞きだし、悪口とかだと嫌だし、無くてもいいかな。」


「悪口だったとしても、事前に情報を得ることができれば防衛することが出来る。コントロールしてくれ。」


「わかった。必要性がある時だけにする。」


「虜にさせる魔力は必要無いな。」


「そう?」


「あぁ、虜にさせる必要はない。自然と『好き』が一致した者だけが一緒に居ればいい。不自然な『好き』は、いつか歪みを生む。一華を好きな者だけを傍に置いてくれ。」


「でも、悪巧みをする人が好きな振りして近づいてくるかもしれないよ。その時に虜にさせる魔力を発動していれば、防げられると思うけど。」


「最大の防御となるか!? だが、限界を超えてまで崇拝させてしまうことになると逆効果だ。」


「ストーカーを自分の魔力で作り出すって事?」


「あぁ、そう言う事も考え得るだろ。」


「やだー、怖いよ。どうしよー、お願いしちゃったよ。キャンセルもお願いできるかな?」


「いまだに覚醒していなければ可能性はある。それこそが、2月の満月のエネルギーだろ。異種コミュニケーションは覚醒しているんだ、虜にさせるまでじゃなくても、話し合うことで仲良くなればいい。ただ、悪意の有無は感じ取ってほしい。」


「更に共感の魔力を高めるって事?」


「ただし、共感力エンパシーを高めすぎると、悪意ある人を操作する「ダークエンパス」になる可能性も秘めている。」


「ダークエンパスって何?」


「相手の感情を正確に理解できるため、相手の弱みにつけ込み操作し、自分の利益のために利用する人だ。」


「少し、浄化の魔力と似てる?」


「そうだな、相手を操作する所は似ているな。浄化し悪意を無くさせるか、共感し利用するかだな。」


「私の使い方次第って事?」


「魔界では利用する場面も出てくることもあろうが、人間界では「教唆犯」または「幇助犯」というところか!?」


「私、犯罪者になるの?」


「だから、共感の魔力は高めず、悪意の有無を感じ取るのは、表情や言葉遣いなどから対人スキルを高めてくれ。」


「対人スキルは魔力じゃないよね。」


「あぁ、対人スキルを高めることは自己防衛の基本だ。」


「わかった。虜にさせる魔力だけキャンセルする。」


「次からお願いする時は、もう少し検討してからにしてくれ。」


「ごめん。いいアイデアだと思ったんだけどなぁ。」


「魔界で、虜にさせるレベルを操れるなら有効な魔力だ。」


「覚醒させるだけじゃダメってことね。」


一華とシンは次の満月で「虜にさせる魔力」をキャンセルしてもらうことに決めた。シンは一華がキャンセルすることを決意してくれたことに安堵して、次の満月までに覚醒しないことを願いながらその日を終えた。



◇◆◇



今日はスノームーンに「虜にさせる魔力」キャンセルのお願いをする日だ。シンは覚醒することなく、この日、この時間帯を迎えることを待ちわびていたが……。


「シン、今日はスノームーンの日なんだけど……。」


「あぁ、『虜にさせる魔力』をキャンセルするんだろ。」


「そのことなんだけど……、虜にさせるレベルを操れるようになれば人間界でも有効なの?」


「お、お前、キャンセルするはずじゃ……。」


「うん、そう思ってたんだけど、覚醒させるだけじゃダメで、でも、レベルを操れるようになれば魔界では有効なんでしょ。人間界でレベルを操れるまでに覚醒させていればって思ったんだけど。」


「そこまでして、虜にさせたいのか?」


「魔界に行ったら、シンは時期魔王候補としての執務を行うでしょ。いずれ魔王になる時、その隣に私がいて、直系の私を取り込もうとする悪意ある魔界人が近づいてきたら、シンは正しい判断できる?」


「一華は俺に正しい判断をさせるため、虜にして味方につけるというのか?」


「うん、私の味方はシンの味方でしょ。」


一華の健気な提案に、シンは今までになく真剣な眼差しで、魔界の権力闘争の冷徹な現実を冷静なトーンで淡々と説明する。


「一華の敵は俺の敵だが、一華の味方は俺の味方とは言い切れない。」


「えっ? どういう事?」


「一華の隣にいる俺を蹴落とし、入れ替わり、実権を掌握したいと思う輩がいるかもしれない。」


「それは私の敵という事では?」


「仮に、俺たち二人の意見が割れた時、一華に心酔した輩は、俺から引き離そうとするかもしれない。よって、俺の味方とは言えない。」


「そう言う事かー。私がシンを助けたいと思う気持ちさえ、利用される隙になるんだ……。」


「だから、リスクを抱えさせてまで、一華に『虜にさせる魔力』の覚醒は望まない。」


「わかった。今度こそキャンセルする。」


「あぁ、そうしてくれ。」


一華はブレスレットを外し、こたつの上に置いた。「仁華に変身」と唱えて仁華に変身した。シンは防寒のため、仁華にボアチョッキを着させた後、ベランダに出ると、外気は肌を刺すほどに冷たい。青白く鋭い月光のスノームーンを確認すると外に向けて強固な結界を張った。


「一華、いけるか?」


一華はシンの声でベランダに出る。凍てつく空気が刺さりそうだ。シンは一華の後ろに回り、受け止める準備をした。

一華は満月に向けてバンザイをしてスノームーンの月光パワーをめいっぱい受け止めた。

仁華は心の中で強く唱える。


(スノームーン様、自分勝手なお願いだった『虜にさせる魔力』をキャンセルします。代わりに、『浄化』の魔力をお願いします。)


(スノームーン様、一華の心から迷いを取り除き、清らかな力だけを宿してください。)


次の瞬間、月光を浴びた仁華の全身を、凄まじい電流のような衝撃が襲った。意識が白く弾け飛ぶ。


シンは衝撃に耐えながら、すぐさま仁華を抱きかかえてリビングに運び入れた。

仁華をソファに横たえて、窓を閉めて結界を解除した。


シンは仁華を撫でながら声を掛ける。


「一華、大丈夫か!?」


サンもこたつから這いだして、仁華に顔を寄せて声を掛ける。


「にゃにゃーんにゃ……(一華、お疲れにゃ?)」


意識を取り戻した仁華は、弱々しくも答える。


「にゃにゃ…… (大丈夫にゃ)」


「本当か? 何か変わったことは?」


「にゃにゃ~ん、にゃ……(今のところ、にゃいよ、ね?)」


シンはソファの仁華に「一華に戻るか?」声を掛け、ボアチョッキを脱がす。


「にゃ~ん……(一華に戻るにゃ)」


仁華は、閃光を放つことなく、静かに一華の姿に戻った。


「にゃにゃーん…… (よかったにゃ)」


「体はどうだ? 疲労感は?」


シンは一華にブレスレットを着けながら体調を確認する。


「今までと変わらないけど、スノームーン様に、余計なものを洗い流してもらったみたい……。」


「そうか。このまま、寝るか?」


「うん」


「じゃぁ、部屋に戻ろう。」


「サン、おやすみ」「サンちゃん、おやすみ」


二人はサンに声を掛ける。シンはリビングの照明の電気を消して、一華に付き添ってリビングを出て行く。

二人は部屋の前で「「おやすみ」」と言って自室に戻って行った。

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