第52話 2学期始業
夏休みも終わり、2学期が始まった。
始業式も無事に終わり、クラス別にホームルームが始まった。担任から連絡事項が伝えられる。9月下旬の学年対抗体育祭、10月初旬の文化祭、その後の中間テストが伝えられた。
高校生にとっては2学期に開催される体育祭と文化祭は1年でもっとも楽しみのイベントだ。
他の高校では、体育祭と文化祭を毎年交互に行うところもあるが、うちの高校は毎年、両方を開催する。
い~い学校だー。
2学期の担当係も決めた。一華とシンは大人しくやり過ごした。
早々に、クラス委員が主導し体育祭の係を決めていく。
企画・運営は生徒会が実行委員を務める。放送係は放送委員、ポスター作製は美術部で、救護係は保健委員にお願いして、他の会場設営係、記録係、用具係、競技係などを決めて行った。
一華は、会場設営や用具係は重い物を持つ自信がないから、順位判定や採点をする記録係ならできるなと思っていたが……。
「シン君、記録係お願いできないかな?」
担任が口を開いた。
「え? 俺ですか?」
「うん、判定役もできそうだし、採点も問題ないでしょ。」
(判定役はできるが、ほとんど、一華から離れるな!?)
「……一華も一緒なら、引き受けます。」
「えっ、私も?」
「判定役は俺が、一華を記録担当にしてもらえるなら。」
「一華がするなら、私も記録係がしたいでーす!」
理那が記録係に挙手した。
「じゃ、俺も!」
浩輔までもが挙手してくる始末だ。
「そんなに人数はいらないんだけど、困ったわねぇ。」
担任がシンを指名したために、人数が増えていく。
「シン君と浩輔君には判定役をしてもらって、記録係は一華さんと理那さんでいいかしら。」
「他のクラスからも記録係が選出されるんだけど、他の先生には、他の係にまわしてもらうようお願いしてみるわね。」
「***(なんで、私まで……目立ちたくなかったのに!)***」
「***(護衛のためだ。……、判定役に一華が選ばれたらと思ったら……俺は何するか我慢できない……)***」
「***(わかった……やるよ……。)***」
二人は前を見据えたまま、秘密のテレパシーで会話を交わしていた。浩輔と理那が振り向いて、声をかけてくる。顔は作り笑いをして、返答する事はなかった。
「会場設営と用具係は係になっていない全員でじゃんけんな。」
クラス委員は誰もなりそうにない係はじゃんけんで決めることにした。シンと浩輔は楽な係で良かったと安堵する。
「競技の参加者については、競技が決定次第、決めるとして、次は文化祭の出し物について決めます。」
みんなが口々に言い出した。
カフェ、お化け屋敷、メイド喫茶、焼きそば、たこ焼き、かき氷、ポップコーン……まぁ、誰もが思いつくものばかりだ。体育祭と併せて準備するため、簡単なものがいい。
男子生徒が「射的は?」を提案した。
「なら、射的だけじゃなく、縁日関係のものをいくつか用意したら?」
「射的に、金魚すくい、輪投げ、ヨーヨー釣り、スーパーボールすくい、綿あめ……」
「景品用意してな。」
「綿あめは、白一色じゃなくて、レインボーカラーとは言わないけど、いろんな飴から作ってみたい。」
担任が「射的銃はダメよ、火を使うのもダメ! それに金魚もダメよ。お菓子に変えるといいわよ。」とダメだしする。担任としては問題が発生しそうなものは排除したいのだろう。
(悪ふざけする人がいないとも限らないし、金魚はお世話が大変よね。)と一華は思う。
「輪投げにお菓子釣り、いろんな飴の綿あめに、反対の人ーー?」
反対なしで決定した。
「輪投げ、お菓子釣り、綿あめで決定しました。」
「機材のレンタル費用、景品、釣り用お菓子、綿あめ用の飴やザラメなど、必要なものの購入費用の予算を算出してくれる方を決定してください。」
担任が口を挟む。
(予算ってどうやって算出するんだ?)
「はい。」
浩輔がここでも挙手をする。
「他にはーー?」
他に挙手する生徒はいない。
「じゃ、決まりね。来週までに概算費用の算出をお願いね。」
2学期初日のホームルームは散会した。
ホームルームが終わると、浩輔が誘ってきた。
「今日、昼めし食って帰らないか?」
理那、真由、直哉はいつも行動しているから「行く」と即答した。
もうすぐ昼時だ。お腹は空いてきているが、サンちゃんが待っている。どうするか?
一華はシンと顔を見合わせる。お昼には帰ってくる予定だったから、何も準備してきてない。
「***(どうする? サンちゃんが待っているよ。)***」
「***(そうだよな? サンがお腹すかしてるよなぁ。)***」
「***(無理だよねぇ。)***」
「今日は無理だ。」
「そうか……文化祭の予算のことも相談したくてさ・・・。」
「やっぱ、俺たちをあてにしてたのか。明日の昼休みになら聞くが?」
「わかった。今日は四人で行こう。また明日な。」
「あぁ」
一華は申し訳なさそうにバイバイと手を振って、シンと一緒に教室を後にした。
お腹を空かせてる子が心配で頭がいっぱいだ。
「明日から、サンちゃんのご飯どうする?」
「ペットショップに寄って、相談してみるか。」
子猫のパパとママは、帰りにペットショップに寄ることにした。




