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全身戦隊ゼンタイジャー  作者: まとら 魔術


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9/14

ACT,8

朝の放送──“タイツ禁止令”ふたたび


「……本日より、火災リスクの高まりを受け、校則を一部改定します。

 防災指導に基づき、化学繊維製タイツの着用を当面禁止とします。

 繰り返します──女子生徒は“タイツを脱いで”登校してください」


 その声がスピーカーから流れた瞬間、教室が凍りついた。

 タイツに包まれた何十本もの脚が、視線を避けるように震える。

 スイは、自分の青タイツを膝下で撫でた。

 まだ冷たい。燃えてなんかいない。

 だけど――


「……命令されてまで脱ぐつもりは、ない」


全校集会──布と炎と無関心


 体育館。全校生徒が並ぶ中、教師陣が順に注意を始める。


「今朝、区内の民家で衣類発火事故が発生しました。

 ナイロン素材、特に高密着のタイツやストッキングが高温で発火する事例が複数……」


 スクリーンには、黒く焼け焦げた布の写真。

 だが、ゼンタイジャーの5人は視線をそらさなかった。


「……これって、本当に偶然か?」

「誰も敵なんていないのよ。誰かが私たちを守るためって言ってるの。でも、“脱げ”って言葉は、守りじゃない。」


選択──スカートの下、何を履くか


 昼休み。生徒たちの脚元はまばらになっていた。

 生脚。ハイソックス。ジャージ下。レギンス。

 その中で、5人の脚だけが、変わらず“タイツに包まれていた”。


 ユヅキは、赤いタイツの脚で階段を登る。


「履いてるだけで、危険だって言われる。でも、脱げって言われた方がムカつく」


 ナツミはスカートの裾を押さえながら笑った。


「燃えたっていいよ!焼けるくらい、私たちの脚、誇ってんだから!」


午後の異常──黒煙の予兆


 放課後。図書室の隅で異変が起きた。


 生徒の鞄から煙が立ち上る。

 中に入っていたのは、予備の黒タイツ。

 触れた瞬間、化学反応のように熱を帯び、糸が焦げていく。


「発火……!? でも、なんで……」


 マリアが駆け寄る。

 黄色いラメ入りのタイツが陽光に反射して光る。


「これって、素材じゃなくて“意志のない布”だけが燃やされてる気がする……」


 無造作に畳まれた、履かれていないタイツが、ひとりでに発火する。

 まるで――**“履いてないタイツは、意味がない”**と言われているかのように。


ゼンタイスーツ起動──誓いの脚は、燃えない


 夕暮れの屋上。突風が吹く。

 スイは制服のスカートを押さえながら、深く息を吐く。


「誰も責めてない。敵なんていない。

 でも、“見えない圧力”って、こういうものなのね……」


 隣でレンカが呟いた。


「脱ぐか、履き続けるか。

 選ばせるフリして、“従わせる”だけ。……そんなの、正義じゃない」


 5人はゆっくりと並び、脚を前へ出す。


「全身装着――ゼンタイレッド!」

「ゼンタイブルー!」

「ゼンタイグリーン!」

「ゼンタイイエロー!」

「ゼンタイブラック!」


 脚から光が走る。

 今回、光は特に強く、炎のように揺らめいていた。


 でも――

 スーツは燃えない。

 どれだけ光に包まれても、熱に曝されても。

 それは、誓いで織られた布だから。


ラストシーン──炎の中の誓い


 図書館で燃えたタイツの残骸の前に、

 スイは自分の青タイツの脚をそっと重ねた。


「布が燃えても、私たちの脚は焼けない」


「だって、私たちは――見せるためじゃない。脱がないために履いてるんだから」

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