ACT.7
朝──不可解な失踪
朝のホームルームで、担任が沈んだ声を落とした。
「……昨日から、女子生徒三名の行方が分かっていません」
教室がざわめく。
その名を聞いた瞬間、スイの胸が締め付けられた。
失踪したのは、いずれも体育の成績優秀者――そして、最近ゼンタイ活動の協力訓練をしていた生徒たちだった。
「行方不明の場所、共通してるの。最後に姿を見たのは、保健室よ」
レンカの言葉に、全員の視線が交錯する。
放課後──保健室へ潜入
放課後の廊下。
夕陽が窓を朱に染め、床に長い影を伸ばしていた。
5人は人気のない保健室前に立つ。
「異常な熱反応があるわ」
スイが手首端末を確認する。室内の温度は通常より5℃高い。
ドアの隙間から、薬品と消毒液とは違う甘い香りが漂っていた。
「私が先に行く。……何があっても、脚は引かないわ」
ブルーは深呼吸し、ドアを押し開けた。
保健室──異様な光景
暗い。
ブラインドが降り、窓際のカーテンが風にわずかに揺れている。
ベッドが三つ。
その上に、黒・赤・緑のタイツを穿いたままの女子生徒たちが、眠るように横たわっていた。
脚には機械的な金具――電極のようなものが取り付けられ、
それを繋ぐケーブルが巨大な円筒状装置に吸い込まれていた。
「タイツの締め付け強度と羞恥反応を測定……? そんな実験を……!」
スイが息を飲んだ瞬間、保健室奥の仕切りカーテンが動いた。
保健医・九条ミナミの正体
「よく気づいたわね、水無月スイさん」
現れたのは、保健医の九条ミナミ。
白衣の下には、光沢のあるグレイッシュシルバーのタイツ。
目元の奥が赤く光っている。
「私は“真月団”の生体研究員。羞恥心を数値化し、精神支配のエネルギーに変換する実験をしているの」
「生徒を使って……!」
「羞恥を抱く脚ほど、良いエネルギーを生むのよ。あなたたちゼンタイジャーの脚も、理想的な供給源だわ」
戦闘──拘束されても、破れない脚
床からワイヤーのような触手が飛び出し、5人を包囲する。
脚を絡め取ろうとするその触手に、スイが一歩前へ出た。
「……破らせない。ゼンタイは誇り、羞恥は強さ」
青いタイツの脚がしなやかに捻られ、触手をすり抜ける。
冷静な彼女の動きに合わせ、他の4人も間合いを詰めた。
「全身装着、ゼンタイブルー!」
光が脚から走る。
青の発光が全身を包み、密着スーツが形成される。
触手がスーツを締め上げても、布地は一切破れない。
逆に、圧力を吸収し、青い光が強まっていく。
「痛みも羞恥も、受け入れた布が守ってくれる!」
スイの声が保健室に響く。
クライマックス──羞恥と誇りの融合
「そんな……耐えるなんてありえない!あなたの脚を晒してやるっ!」
九条の装置がスイの脚部に照射を浴びせる。
だが、光沢は剥がれず、逆に輝きを増して反射した。
「羞恥は弱点じゃないの。見せる覚悟があるから、誰にも裂かれない!」
スイが右脚を蹴り上げ、電極装置を粉砕。
火花が散り、実験データが煙と共に消える。
九条は倒れ込みながら呟く。「……羞恥を……制御できるなんて……」
「制御じゃないわ。共に生きてるの。 脚で、心で。」
エピローグ──保健室の朝
翌朝、救出された生徒たちは無事だった。
校長は正式に、九条を懲戒免職とし、学校の調査を開始することを発表。
「でも、また来るよ。羞恥を武器にする連中は、どこにでも潜んでる」
ユヅキの言葉に、スイは静かに頷く。
青タイツの脚を窓の陽光にかざしながら、微笑んだ。
「……なら、私たちはそのたびに履き直すの。
羞恥を、誇りに変えるために。」




