ACT.4
朝の通学路──崩れる日常
「……繰り返します。ゼンタイ素材、及び同素材を用いたカラータイツの販売・所持・着用は、本日より一時的に制限されます。条例第44条──“視覚羞恥公害対策法”によるものです」
電柱に設置された街頭スピーカーから流れる声が、空気を凍らせていた。
通学路を歩く少女たちの脚が、いっせいにすくむ。
スカートの下、色とりどりのタイツを履いた脚が、罪人のように揺れていた。
「はぁ!?なんだよコレッ!!」
ユヅキの叫びが響いた。赤いタイツの脚で道路を蹴り、校門前に仁王立ち。
「ゼンタイを禁止だァ!?ふざけんなっ、あたしらの正義を脱げってのかよッ!!」
街の惨状──タイツ狩り発生
放課後。制服姿の女子生徒が泣きながら走ってくる。
「や、やめてくださいっ……やめてよおおお……っ!」
商店街の脇道。
数人の男たちが、彼女を取り囲んでいた。
その手には、破かれたタイツの切れ端。
下半身はスカートだけ。露わな太ももに、タイツを失った生脚の冷たさと羞恥が浮かんでいた。
「条例違反だよねぇ?証拠押収させてもらうねぇ?」
その“タイツ狩り”の中心にいたのは、黒スーツの女──タイツ狩官リョウカ。
彼女は指で脚をなぞるように指す。
「君のその布は、もう街にとって“毒”なのよ」
放課後の作戦会議──脚に纏うもの
部室では、5人が無言だった。
「ゼンタイスーツすら、使えなくなってる」
レンカが呟く。
彼女の黒タイツは、起動信号を失い、ただの布と化していた。
変身機構は、タイツ素材を媒介に起動する。
つまり、奪われれば、戦士ですらなくなる。
「でも……脱げないわよ」
マリアはラメ入りのタイツを撫でた。太ももがほんのり赤くなっている。
「この脚が、私の矜持。たとえ敵が全部脱がせようと、絶対、私は……この布をまとい続ける!」
夜の決行──非合法タイツ輸送
「――来たわ」
港のコンテナ群。その隙間から、**“違法タイツ輸送団”**のトラックがゆっくりと現れた。
「頼むよ……この布がなきゃ、あの子らはもう“自分を守れない”んだ……!」
運搬員の男が震えながら語る。
後部ハッチが開くと、そこには各色のゼンタイタイツが、丁寧に梱包されていた。
「ゼンタイジャーに届けるって、約束だからよ……!」
その瞬間、空から伸びる白い布の触手が――!
「っ!!やっぱ来たか!!」
敵襲──タイツ狩官リョウカの正体
「正義の名を履いた布……その矛盾が、私は許せないの」
リョウカのスーツが裂け、タイツ・リペーラーと呼ばれる怪人体が現れる。
白く光る布が全身を這い回り、纏っては破き、再構成し、また裂く。
「破かれる快感と羞恥……お前たちが大切にしてるものを、一枚ずつ剥いであげる」
「ふざけんなッ!!」
ユヅキが叫び、赤タイツの脚を前に突き出す。
「変身できなくたって、見せてやるよ!!タイツの強さってヤツをな!!!」
決死の変身──布が無くても、誇りは残る
彼女たちは変身できなかった。
でも、布を、脚を、羞恥を、誇りに変えることはできた。
「布が破られても、脚が晒されても──」
「この脚には、覚悟が宿ってる!!」
青、緑、黄、黒の4人も並ぶ。
「たとえ生脚になっても、あたしらはゼンタイジャーなんだよ!!」
ラストバトル──素脚とタイツの狭間
リョウカの白い触手が、ユヅキの太ももを巻く。赤タイツが引き裂かれ、破れた箇所から肌が露出する。
「ッ……ひるむな!!今こそ──見せてやれ、あたしの脚ッ!!」
裂け目から覗いた生肌が、夜の光に濡れて光る。
羞恥も、快感も、その全てを蹴り飛ばして。
彼女の脚は空を斬る。
「赤脚蹴烈――ゼンタイブレイク!!」
戦いのあと
「条例、撤回されるみたいだよ。やりすぎだったって」
「そう……でも、また来るわ。タイツを奪おうとする奴は、必ず」
5人は、制服の下に新しいタイツを穿き直す。
再び、脚を隠し、晒すために。
「ゼンタイがなくても……ゼンタイは、あたしたちの中にある」




