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全身戦隊ゼンタイジャー  作者: まとら 魔術


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12/14

ACT.11

始業式──「ゼンタイ部、見直し対象へ」


 始業式の壇上、教頭が告げた。


「本校は“学校活動の合理化”の一環として、

次年度より“実技性の低い部活動”の統廃合を検討しております。

対象には、“全身タイツ部(ゼンタイ部)”も含まれております。」


 言葉は平坦。だが、生徒たちの表情はざわついていた。


「……私たち、“ただ脚を晒してる部活”って見られてるのか」

 ナツミがぽつりと呟いた。

 グリーンのタイツを履いた足が、机の下でぎゅっと指先を丸めた。


校内掲示板──「ゼンタイ部存続を問う」脚線投票開始


 職員会議の結果、ゼンタイ部の存続条件が決まる。


■投票内容:「ゼンタイ部は必要だと思いますか?」

■投票資格:全校生徒

■投票方式:匿名、YES/NO選択式

■結果公開日:来週金曜日


「……全部、他人の目で決まるんだ。

 “履かない人たち”が、あたしたちの布を剥がすかどうか決めるんだ」

 レンカの声が低く、怒りを噛んでいた。


それぞれの揺れ

ユヅキ


「やっと戦える場所が見つかったと思ったのに……また、勝手に“終わり”にされるのかよ」


 赤いタイツの膝に肘を乗せ、悔しさを噛み締める。


マリア


「こんな世界だからこそ、“脚線で語れる場所”は必要なのに……」


 ラメ入りタイツをゆっくり撫でながら、鏡の前で睫毛を伏せる。


ナツミ


「……自分でゼンタイって叫べたの、ここだけだったのにな……!」


 グリーンのタイツのまま、部室の床に座り込んでいた。


スイの提案──公開パフォーマンス


「なら、“あたしたち自身が見せるしかない”」


 青タイツの脚を伸ばしながら、スイは言った。


「匿名の投票で何が残るの?

 見てもらうのが怖くて、布に誇りを包んでるのに――

 だったら、“晒す理由”をこの脚で歩いて伝えるべきよ」


金曜昼──校庭での「脚線宣言」


 昼休み、特設ステージ。

 体育館の備品を生徒たちが貸し出し、グラウンドの中央に組まれた即席の台。


 そこに、ゼンタイ部の5人が立つ。

 制服ではない。スウェットでもない。

 全身ゼンタイスーツ。


 顔まで包み、脚先まで伸びる布が、昼の陽射しを浴びて色と形を強調する。

 それはもう衣装ではなく、裸よりも強烈な“存在”だった。


演説:ゼンタイジャー、最後の言葉


「これは、戦隊ごっこじゃない。

 羞恥を押し込んで、それでも前に出るための、布です」


「体操部のユニフォームが許されて、

 なぜタイツを着てるだけで、“解体”されなきゃいけないの?」


「この布の下には、傷がある。震えもある。

 でも、それすら包んで歩けるのが、ゼンタイなんです」


 ひとりずつ、マイクの前に立って語る。

 布越しの声は少しくぐもっていたが、誰よりもまっすぐだった。


投票、そして放課後


 投票はその日の夕方までに締め切られた。

 掲示板の前には列ができ、生徒たちは言葉少なに投票用紙を箱に入れていった。


 ユヅキは見送るだけだった。

 赤いタイツの脚を、校舎裏の陽だまりに伸ばして。


「選ばれるために履いてきたんじゃない。

 でも、選ばれなきゃ、脱がされる。

 それでも……履いてたこと、誇れるから」


翌朝の発表


■ゼンタイ部存続:YES 306票 / NO 145票


 体育館に貼り出された紙。

 生徒たちが、次々にそれを写メに撮る中。

 ゼンタイ部の5人は、屋上で静かにそれを聞いた。


「これで、“ここにいていい”って言えるね」


「ううん……最初から、あたしたちは、

 “脚にいてよかった”のよ」

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