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神牛一刀流〜近未来剣客浪漫譚〜  作者: ひろひさ


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張り子の虎

 時は戻り12日、火曜日。午後16時27分。ナインヘッドアジト、執務室。報告を受けた天木は怒り狂っていた。


「何もありませんでしただとッ!? ふざけんなッ!!」


 自身と同じかそれ以上の重量がある机を蹴り飛ばし、それを意図も簡単に2つに砕く。


「俺は藤村の首を持ってこいって言ったんだぞッ!? それがなんだッ!! なんで40人近く姿を消すんだッ!! 誰か俺にも解るように説明してくれッ!!」


「…………」


 だから藤村に手を出すべきじゃなかったんだ……。


 佐藤と戸塚は頭を垂れながら同じことを考えていた。


「なんとか言ったらどうなんだッ!? えッ!?」


 ただ黙っているだけの2人にさらなる罵声を浴びせようとしたところ、自身のスマートフォンが着信を告げる。


 嫌な予感がする……。


 ポケットから出して見れば『ワン』の二文字が画面に表示されていた。


「…………」


 天木にはこれが自身の立場を危うくする非常に悪い着信であることは容易に想像ができる。出たくはないが、出ないという選択肢はありえない。


 息を整え、急ぎ画面をタップする。


「はい。天木です……」


「用件だけを伝える。午前2時までに派遣した兵を全て帰国させろ。以上だ」


「お、お待ちを……!!」


 謎の男はそれだけ伝えるとすぐさま通話を終えた。最初から天木の言葉など聞く気はなかったのである。


「…………」


 静寂が部屋を包み込む。


 終わりだ……。


 3人は死の足音は聞こえずとも築き上げてきた物が崩れ落ちる音を耳にしていた。


「————逃げましょう……」


 口を開いたのは佐藤である。


「逃げましょう、閣下。今ならまだ間に合います。ここに居ては殺されるだけです。外国に逃げれば、まだやり直せるチャンスが――」


 ただの希望的観測ではあったが、天木もまた敵が多い。これを機に他の組織が乗り込んでくることもあるはずだ。そうなれば血祭りに上げられるのは必然である。


「…………」


 天木は考えた。どうするのが最善の策なのか。しかし頭の中に浮かぶのは過去の栄光ばかりである。


 やはり俺は器じゃなかったのか……。あの時、皆と一緒に死んでたら良かったんだ……。


 こんな形で終わらせてしまい、先達たちに申し訳ないという思いでいっぱいだ。


「閣下……」


 もうその声は届かない。


「1人にしてくれ……」


 掠れた声でそう呟く。


「……分かりました。失礼致します」


 2人が神妙な面持ちで部屋を出て行き、天木は息を吐いてからしばし考え、ある覚悟を決める。


 ————ここまでか……。


 そして、一発の銃声が響き渡った。






「ハァ……ハァ……。急げ……。急がないと……」


 足早に自室へと戻った戸塚はボストンバッグに現金と拳銃、最低限の着替えを詰め込み、制服から目立たない私服へと着替えていた。


 クソッ…………。こんなことになるなんて…………。だからあんな化け物に手を出すべきじゃなかったんだ……!!


 両親が自分の知る限り世界最強の能力者である。その息子もあの歳で単独行動をしているところから只者でないことは当然、理解できたはずだ。


 どいつもこいつも馬鹿ばっかりで嫌になる……!!


 そう悪態を吐きつつも恋人を迎えに行くため部屋を出ようと振り返った。


 絵美!!


 その瞬間、男は影に飲まれ、何も考えることができなくなる。


「…………」


 いつの間にか侵入していた香織に取り込まれたのだ。佐藤も和人の道化師の箱に捕らえられる。4度目の浄化作戦は静かに進行し、そして健太郎は組織解体を翌日の報道番組で知るのであった。

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