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第四話 【リオ目線】それはいただきます

オリヴァーから言われて、この家の人達が私に色々なものを食べさせて来る。


無理はしなくていい、美味しいと感じるものがあればそれだけだけ教えてという、それは 私の生態調査というものらしい。



「オリオリの角は美味しいの?どんな味?」


どんな味かと聞かれても、私はオリオリの角しか食べたことが無いからどう言えばいいのかわからない。


「苦いの?甘いの?」


甘いってどういう感じ? 苦いって言うのはどんな味?


比べることができないからわからないの。


「じゃあ、これを食べてみて」


黄金色の粘っこい液体をスプーンという道具で掬ったものを手渡されたから、舐めてみた。


「!!」


口の中に広がる感触が気持ち悪くて吐き出した。すぐに口をゆすいだ。


もう、これはいらない。


「ええ、美味しいのに~」

「これは、美味しいの?」

「大抵の人には、そうですよ」


私専用の侍女、赤毛のそばかす顔のマチルダはそう言いながら頷いた。


これは「蜂蜜」というものらしいけれど、私には合わなかった。


「今度はこれを食べてみて」


艶やかな褐色の四角い土の塊みたいなものを手のひらに乗せられたから、恐る恐る口に入れてみた。


「!!!」


香りは嫌ではなかったけれど······。


ドロッ、ベタッっとしていたから、急いで飲み込んだ。


「どう?クセになるでしょ?」


確かにクセは強いわ。これは「チョコレート」というものらしい。


その後オレンジ色の「カレー」というものも味見させられた。


なんだかここにいる人達の食べるものはみな、ベタベタ、ドロドロとしたものが好きなの?


食べる度に私が顔をしかめるから、みんな困っているみたい。


「美味しくないの?」

「······」


私はオリオリの角しか欲しくないの。


栗の渋皮を「苦い」、ベージュ色のマスタードという種は「辛い」という言葉で表すというのはわかった。


肉や魚も食べて見たし、その他の色んな果物と野菜も試した。


黄色い三日月型のバナナという果物が美味しいと感じた。


でもやっぱりオリオリの角が一番なの。


食べても調子が悪くならないから。


「赤ちゃんは何を食べるの?」

「オリオリの角の粉だよ」


角を削って粉にしてから、水と混ぜで飲ませるの。

私のお乳は出ないし、母乳を飲ませて育てることはしない。


「そうなんだね」


オリィは興味津々で色々聞いて来る。


キオはそれを時々見に来ている。


私の子ども達は、オリィにもキオにも懐いている。


子ども達にオリオリの角の粉を水で溶いたものを飲ませ、口のまわりをそっと拭いてあげる。


オーとリリはげっぷと欠伸をして眠りについた。


オリィは、それを魔道具というもので撮影し記録している。

レンズが二つついた黒い長方形の箱のようなものだ。


子ども達が目覚めるのは多分一月後。



マチルダがオリオリの角の粉をミルクやココア、コーヒー、紅茶というものに混ぜ解いてくれた。

どれも食べることはできたけれど、抹茶という緑の粉と混ぜたものが私は一番好き。


オリオリの角の粉無しでも、濃い目の抹茶がお気に入り。


オリオリの角と、この抹茶があれば私は幸せ。


甘ったるい飲み物やお菓子はいらない。



······ああ、私も眠くなってきたわ。


この家は、とても居心地がいい。


皆さんおやすみなさい。


一月したらまた会いましょうね。


また美味しい抹茶が飲みたいわ。

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