第9話 厄災の冒険者
僕が初めてあった亜人族は最悪だった。
ざんばらの髪と血走った目は、真っ赤に染まっていた。
髪を突き抜けている長い耳にはたくさんのピアスがついている。
同じく真っ赤な刀身の剣をだらりとぶらさげて、ニヤニヤ笑うたびにギザギザの歯が覗いていた。
「おいおい、この村にはこんなクソザコすら殺せねぇクソカスしかいねぇのかよ?しょうもねぇなァ!おい!」
さっきまで、自警団のみんなが必死になって戦っていた魔獣の首を蹴り上げて赤髪の男はいう。
「あとは、あのクソザコの群れか。」
赤髪の男は剣を肩でとんとん鳴らし、続ける。
「大した金にもならねぇ。おもしろくもねぇ」
真っ赤な刀身が金色に輝き始めた。
「めんどくせぇから一気に殺してやる」
スッと、赤髪の男の顔から狂気が抜け、静かに構える。
「死ね」
剣を横なぎに払うと、金色の突風が魔獣の群れの方に飛んでいき、あっという間に土煙があがった。
「おい、クソガキ。終わったから村長を連れてこい。金もだ、金も一緒に持ってこさせろ」
「え、うん」
「うんじゃねぇ!【はい】だろが!クソガキ!」
力いっぱい蹴られて、僕は転がっていく。
涙目で立ち上がって、村長の家に走り始める。
昼間、鳴子がなった。
魔獣が接近してきたということで自警団のみんなで戦っていたけど、全然歯がたたなくてジリ貧って状態だった。
僕は助っ人を呼びに行かされた。
それが赤髪の冒険者ドナルド・マクベス。
たまたま東の国カグダードに向かう途中、この村に立ち寄っていた冒険者。
助っ人をお願いすると開口一番「は?お前、バカか?」と頭を叩かれた。
「世の中、金だ。クソガキでもわかるよな?」というので村長のところへ行き、村長をドナルド・マクベスに会わせた。
結果はこれ。
どれだけの金額かわからない。
革袋はすごくずっしりしていたけどドナルド「少ねぇ!」と文句を垂れていた。
魔獣が村に入ることを止めてくれたし、スタンピートの本体も潰してくれた。
だけど、剣士と冒険者はここまで違うのかと嫌な気持ちになった。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか「シュンも大きくなればわかるよ」と村長は、僕の頭に手を置いていった。
「足りねぇ分は、魔法薬でいいか。埋め合わせしてもらう」
ドナルドは僕の家の方、僕の家の隣のテオドラの家に向かっていく。
なんだか嫌な予感がして、僕はドナルドのあとを付けていった。
ドナルドは、ドンと足でドアを蹴り破り、テオドラのお母さんのお店の中に入っていく。
ガシャンという音や悲鳴が聞こえて、僕はお店に飛び込んだけど、一瞬で意識を失った。




